タンバジムで、勝利を収めた俺達。

ナナミという女にその弟の事も伝えた事だし、用件は片付いた。



・・・・あの女と言えば、腹の中で何を飼っているのか、非常に興味深いとか氷月が言っていたな。



俺にとってはどうでも良い事だが。
――――寧ろ、関わり合いたくは無いタイプだと思っている。


この件については他の連中も、も同意見だろう。




・・・・・もっとも、縁は切れなさそうだがな。








        【 思ひ出ぽろぽろマ○コポー● 】







シジマさんに挑戦してから早くも数日。
あれ以来、時々タンバジムを覗きに来てます。
理由としては――――折角なんで組み手の相手してもらったりとか(最近ケンカしてないし)
シジマさんの奥さんの、おいしーご飯を食べにとか(←をい)

まぁ、そんな感じで。

グリーンに会いにってのも、理由の一つなんだけど。
だって反応が可愛いんだよねーvvv

あたしが会いに行くと嬉しそうに駆け寄ってくるしv

でも素直にそれ出さずに憎まれ口叩く姿が萌えvvvvv


ほんのり頬が赤いのがいいんだよ奥さん!!
(←興奮)

初々しい奴めが畜生!その可愛さ!?


お姉さん我を忘れちゃいそうになるよ!いやむしろ棄て【 強制終了 】



我が友よ、あたしはいつか犯罪犯す気がしてならん。


押し倒せるなら本望だけどNe!(←危険/つーか押さえて下さい頼むから



 ■   □   ■   □



「・・・・・。これ、どうして片方しかないんだ?」



そんな事を尋ねられたのは、ある日の午後の事だった。



何となくなのか前から疑問に思っていたのかは知らないが、まさか尋ねられるとは思わなかったな。
その視線の先には、奇麗なレモンイエローの石のイヤリング。

イヤリングは本来、二つで一つ。
本来両耳にあるべきそれ。

―――――しかし、アクセントとして片耳だけ、というのや、人によっては片耳ずつ違うのをしている人もいるし、別になんも言われんだろーとか思ってたんだがなー。

その目ざとさに半ば感心しながら、無意識のうちにそれに触れる。
あたしと同じ様に異世界に飛んだ、がくれた餞別の品。


繊細で緻密な紋様の彫金されたシルバーの土台。

透き通るような優しい輝きを放つ、角度によって微妙に色調の異なるレモンイエローの輝石。

石自体には加工されていないが、むしろそれが、自然な美しさを保たせている。


とても奇麗で、不思議な石のイヤリング。
いまでもその片割れは、の耳に収まっているのだろう。

遠く、今は記憶にしかない姿に心を馳せて。

「半分ずつ、持つ事にしたからだよ」

元気でいるかなぁ、あいつ。
なんかものすっごい苦労してる気がするよ。

ほのぼのとした気分で、そんな事を思う。


「・・・・・・・・・・

耳元で、妙に低く押さえられた声がした。

そして目の前にはものすっげ黒いモノまとわせた笑顔が・・・・・・・



ってBになってるーっっ!!!(汗)


何故!?
あたしなんかしたっ!?!?



冷や汗たらして戸惑うも、原因は思い当たるはずも無し。

ってか無糖化は止めてくれ。
物事は穏便に!穏便に進めないと・・・・・っ!(←お前が言うな)

「それ、まさか男じゃないよな?

「いや違うから!耳元で囁くなぁぁっ!!」

まさしく悪魔の笑顔で、耳元に低く囁くグリーン。
生暖かくてくすぐったくてオーラが間近に感じられて恐怖倍増 です。

ナナミさん以上に恐いぞ、おい!(滝汗)

逃げようと、じりじり後ずさるあたし。
しかし上から覆い被さるような形でせまるグリーン。


あらいざらい聞き出すつもりのようでつ。


さらに退こうとするが、背中が壁にぶつかり、行き止まりだと気付く。
助けを求め、視線を辺りに彷徨わせる。
すると、おそらくグリーンを呼びに来たのだろう、部屋に入ろうとしていたシジマさんの奥さんと目があった。
助かった・・・っ!とばかりに目を輝かせる

だが、彼女は―――――大事な事を失念していた。


つまり。


グリーンから逃げるために後ずさって、壁に押しつけられた状況の

そんな彼女の手首を握り、片手を壁に押しつけ、覆い被さるグリーン。

しかもその顔はの耳元の辺り。



さて、もうお判りではないだろうか。
はたから見れば、押し倒されているようにしか見えない、と言う事実に。
ばっちり目が合ったシジマさんの奥さんは、当然ながら一瞬固まった後、無言で二人を凝視。



「・・・・・あらまぁ」


口元に手をあててそう呟き、
何やら理解したように笑顔で親指押っ立てて、一言。


「頑張って下さいなvv



何事もなかったかの如く退場。




ぱたむ、




扉の閉まる音が、嫌な静寂に満たされた部屋に響く。



「ちょっと待てぇぇぇっっっ!!!!(汗)」



その一瞬後に放たれた、力一杯、これ以上ない程に切迫した絶叫は。

見事なぐらいに、あっさりスルーされたのだった。



 ■   □   ■   □



「あー・・・・・・・ヒドイ目にあった・・・・」

げっそりとした表情で、ばったりと机に突っ伏す。
ひんやりとした、冷たい感触が気持ちいい。
あーうーとか意味不明の言葉を発しつつ、ごろごろと頭を転がす朱華。

あの後、グリーンをなだめて口先で丸め込みごまかした後、誤解を解きに行ったのだ。
シジマさん夫妻はけっこうあっさり理解してくれたのだが、グリーンを丸め込むのにひどく気力を浪費した。

シジマさんに「式はいつにするんだ?」笑顔で聞かれた時にはめまいがしたぞ。


『お疲れ様です、ご主人さま』

心底からの労りを込めて、紫苑が苦笑する。
その言葉に、机に顔を突っ伏したままでへにゃりと表情を崩した。

「ありがと紫苑〜」

優しい言葉は癒しです。
ホントに良い子だよ!(ほろり)

のろんのろ とやる気のまったく感じられない動作で身体を起こし、愛用の黒いザックから、アサギで買った地図を引っ張り出して広げる。 ゲームなんかだと冒険に旅立つ時にもらえたりポケナビとかの付属で付いてたりするが、異世界トリッパーなあたしは、そんな都合良くはいかなかったのだ。

いいんだけどね、よく地図に載ってないよーな横道にそれてるから(笑)

「さーってと。次はどの町にいこっかな」

ここはもう大体見て回ったし、特に用もない。
それに、あんま一つの町に長く留まってると、身体鈍るし退屈するし。

「『うずまき島』、『アサギシティ』、『エンジュシティ』・・・・・」

一つ一つ確かめるように呟きながら、地図の上に指先を滑らしていく。

アサギはどーせ通るしなー・・・・
うずまき島って言ったらルギアだけど、会えない確率の方が高いし。



ルギア。

いと深き海、銀色の翼――――――



ふっと、マンガでの記憶が蘇る。
何度と無く読み返した、ポケスペ・・・・・【 ポケットモンスターSpecial 】の物語。
無論、完全に暗記する程に読み込んでいた訳では無いが、それでも、なんとか大筋は覚えている。
四天王の将・ワタルとの戦いで、最後に出てきたのが初登場。
思えば、ルギアとホウオウを捕らえた仮面の男の正体は解らずじまいだった。

結局、正体知る前にこの世界に来ちゃったんだよね。
まぁ、この手で仮面引っぺがしてやりゃいいだけなんだけども!(笑)

ルビー&サファイア版でもやるだろうって話だったから、期待してたんだけどなー。
結局どんな話だったんだろ、あっちは。

時間軸が解らないので、関与のしようは無いのだが。

「寄るだけ寄ってみるかな」

意外と、会えるかもしれないし。
出会う事で、何かが変わってしまうのかも知れないが―――――それは、あたしの知った事じゃない。

遠慮するのはガラじゃないし、とことん好きにやらせてもらうさ。

地図の上の一点で止めた指先を、トントンと叩く。
問題は、エンジュの次だ。

ルートは三つ。
エンジュからコガネへ行くか、キキョウに行くか、チョウジに行くか。

「どーしよっかなー・・・」

首をひねって、うーんと唸る。
特に急ぐ旅路では無いし、あてもなく放浪しているだけなので、別にどう行っても支障はない。
どのみち、時間をかけて全部見て回るつもりだが―――――どこを優先するかとなると、やはり悩んでしまう。

「紫苑は、どこがいいと思う?」

そう問われ、紫苑は困ったように首を傾ける。

『よくは知らないので、私からは何とも・・・・』

「うーむ。・・・・・あ、自然公園なんてどうよ?」

『わぁ・・・行きたいです!』

発見したその単語に、顔を上げて問いかけてみれば、ぱっと表情を輝かせて紫苑が頷く。
海ばっか見てたからなー、最近。
森が基本生息地な虫ポケモンとしては、やはりそっちの方が居心地がいいんだろう。

「んじゃ決定ね。ここ入れたルートだと・・・・コガネか」

そう言えば、ここってリニアの駅あったよな。
カントーも見てない所の方が多いし・・・・・一度、あっちに戻るべきか。

あ、でもリニア開通してるんだっけ・・・・・・・・・?

ふっとそんな疑問がよぎり、マンガでそれ系の事書かれてた気もするな、と記憶をたぐり寄せる。
だが――――どうも思い出せない。

「ま、それはこの目で確かめればいっか」






次の目的地は、コガネシティだ。






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