扉が閉まったその瞬間、神はいないと確信した。 もしくはいても愉快犯だ。 いや今は神様役に立たねーとか あたしと同類かよ 収拾つかねーじゃん!とか言ってる場合じゃない。 それより問題は―――――― 「、聞いてるのか・・・・・?」 目の前のブラック降臨中なグリーン閣下の方だ。( コワイコワイコワイ ) いやホント勘弁してください超怖いんですけど背筋に悪寒はしってんの今すぐ鳥になれそーなくらい鳥肌立ってんだって誰でもいいからへるぷみー!!!!この急接近で超絶近いどアップは腐女子としては非常に嬉しありがたいのですが状況が状況だけにまったくもって萌えも喜べもできませぬ。 「いやはい聞いてる聞いてますしっかりどっきり聞いてるからもうちょっと距離とって」 「いやだ」 「即答!?ちったあ考えんかい!」 じりじりと距離を縮めようとするグリーンを渾身の力で押し返すが、年齢的にまだまだあたしの方が力は強いはずなのに距離はひらかず拮抗し続ける互いの距離。 ブルーの時も思ったけどさ、こいつらあたしより年下だよね?まだぴっちぴっちな1ケタのお年頃だよね? な ん で こ ん な 力 あ る ん だ 。 あたしケンカとか放浪とかしまくりだから普通より力強い方なんだけど!!(おかしいっつうの!!!!) 「絶対いやだ。全部話すまで・・・・・離さない」 「だ・あ・あ・あ・あっ!産まれた時は他人で生きてる途中で知り合って死ぬときはでも別々なんだぜってな昔っからの大親友で大悪友な美少女ガールからいただきましたはいこれでいーっしょだから声低くして囁くのやめぇええい!!!!」 子供特有の高い声が抑えられてると迫力倍増なんだっつの! まぁ色気あるかなグフフとか思っちゃわないでもないんだけどもブラックな微笑みとあいまって恐怖しか産まんわい!! 「うさんくさい」 「どうしろと!?」 真実否定されたよ! 「簡単だろ?これ、外せばいいだけだ」 目がヤバいんですがこの子。 頬が引き攣った。何だこの展開。責任者出てこい。 そもそもなんでこんな目にあってんだあたしは。理不尽にも程があるだろ! 「あ、あのさグリーン?」 「ん?」 「なんでそんなにコレ気にすんの?」 「ムカつくから」 うわぁ。 あっさりすっきりめちゃくちゃ言いやがってくれましたよこの緑っ子。 でもいくら黒笑顔が恐怖だとか明らかに目がヤバくてぶっちゃけ逃げたいとか迫ってくる力の強さが反則なので抵抗するこっちが不利とか低く抑えた声とか言ってる事が理不尽にイっちゃってるとかで 正直降伏してしまいたい というのが本音だったとしても。だとしても! やっぱし親友との絆の証を外すほどに屈するワケにはいかん!! 「グリーン!」 「うん。外せないとか言わないよな?」 笑顔で切り返されました。 やっぱこぇえええ。 どうしようこれ絶対正攻法じゃ無理だ! えーっとどうしよさっき正直に話したら却下されたし真っ向勝負は負け確実だし。 後残ってんのは色仕掛け――――って効くはずねぇよ9歳児!!(そもそもあたしにそこまで色気は無い!) どうする、どうするあたし・・・・っ!? めまぐるしく顔面引き攣らせて考え抜いた結果、あたしはふっと視線を落とした。 僅かに目を伏せ、昔コワかった事とか悲しかった事を引っ張り出してくる事で瞳を涙で潤ませる。 「ごめん、グリーン・・・・・・これだけは、駄目。譲れない」 拮抗していた力が緩んだ。 視線をそらしているからどんな表情をしているかは分からなくても、動揺しているのだけは気配で分かる。 よぉおおおっしやっぱ黒くてもちみっ子!ナナミさんや博士よりはまだ御しやすいと見たっ!! 「これね・・・・親友の、・・・・・・・形見、みたいなものだから。外したくないんだ」 グリーンが、息を呑む気配が伝わってくる。 うん、二度と会えないからな。形見みたいなもんだよね! 許せ親友!!あたし嘘はついてないから!!!いいよねこのくらいの曖昧表現は! ちゃんと「みたいな」ってつけてるしね☆ そこであたしは、ゆっくりと顔をあげてみせた。 瞳を潤ませたままで、わずかに首を傾けて憂いを表現しつつグリーンに視線を向ける。 「聞いてはいけない事を聞いてしまった」と言わんばかりの罪悪感に満ちた顔がちょっぴりカケラな良心とそんな弱った表情も萌ゆるなとゆーヨコシマな腐女子魂刺激して止まないけども、そこらへんは理性を総動員して押さえつける。ここで展開台無しにしたらまた元の状態リバースだもんよ。必死にもなるさ! そっと手を伸ばし、グリーンの手を握り締めて。 「でも、本当にその子、女の子なんだよ・・・・・?」 切なげに、瞳を曇らせ。 「それとも、」 言葉を切って。 「あたしの言う事なんて・・・・・・・・・・・・・やっぱ、信じられない?」 悲しげに、そう、呟けば。 「っそんな事無い!ごめん、オレ、の事疑って・・・・・」 「ううん、信じてくれるのならいいよ。ありがとうグリーン!」 すぐさま返った否定の言葉に、満面の笑みを浮かべて少し浮かんだ涙を拭う。 内心あたしが「おっしゃごまかしきった!」とガッツポーズを取ったのは、グリーンには絶対秘密だ。 |