タンバシティを後にしたあたし達。 いやー、グリーンのB降臨は恐かった(遠い目) グリーンもシジマさんも奥さんも名残惜しそうだったけど、立ち止まってなんていられない。 だって―――― あたしは・・・・あたしは、 女の子なんだもん!!(←どう関係があるんだ) 目指せ、萌えキャラコンプリート!!! 【 海を渡って三千里ー♪ 】 ・・・・・・・ぴちゃん・・・・・ぴちゃん・・・・・・・ぴちゃん・・・・・・・・・・・ 断続的に、水の滴る音が暗闇の何処かから響く。 反響に反響を重ねて、その音は空気に、鼓膜に、波紋を残して広がる。 光の無い世界。 そんな単語を当てはめるには、多少物足りない感はあるが――――その場に満ちる闇は、それに慣れた目にすら、うっすらと周りの輪郭が解る程度で。 少し離れれば、もう形すら解らないだろう。 足元から這い上がるような冷気が、湿気を含んで身体にまとわりつく。 片手を岩盤に、片手を帽子に。 何故か仁王立ちしている辺り、とにかく無駄に偉そうである。 ただし口元に浮かべるのはいつもの不遜な笑みでは無く、何処か開き直ったようなそれ。 そのままの姿勢で、彼女は口を開き――――― 「・・・・・・・・・・・迷っちった☆」 えへっvとペコちゃん笑顔でごまかすに、白夜がため息をついたのは言うまでもない。 帰り道わかんねぇー!(汗) ■ □ ■ □ 海に浮かぶ<うずまき島>―――――その洞窟に、達は居た。 目的は当然、ルギア観・光!(←何か違う) が、彼女は大事な事を失念していた。 即ち――――メンバー全員、フラッシュは使用できませんvという事を。(“うずしお”は、テキトーに野生で使える奴に話つけてみました。スキルフル活用☆) しかし、その逆境に逆に 結果、手探り洞窟ツアー☆出口は何処だよコンチクショウ! が開催される事になったのだった。 「何処だここー!!!出口どこだー!?!?」 『洞窟って落ち着くよなー・・・・・流星の滝を思い出すぜ』 うがー!と叫ぶに、何やら懐かしそうな天空。 ぬぅ、洞窟出身者の余裕か!? 『ご主人さま、あの、少し落ち着かれた方が・・・・・』 「それもそうだね!」 ボール内の紫苑におずおずとそう言われ、くるりと態度を方向転換する。 ふぅ、熱くなってしまったよ、いかんいかん。 あたしはCOOLなオンナなのに!(←絶対違う) 『落ち着いたなら、とっとと行くぞ』 長居は無用、歩き続ければその内出口が見えるだろうといった様子で、スタスタと歩き出す白夜。 だが、そんな君に一つ言いたいのだがね相棒。 「白夜ー」 『何だ』 「そっち、さっき歩いてきた方なんだけど」 ぴちゃーん。 暗闇に響く水音が、一際大きく聞こえた一瞬だった。 方向音痴は健在か。 一瞬立ち止まり、すぐに戻ってきて笑いを堪える天空を無言で蹴飛ばす。 『わ・ら・う・な・・・・っ!』 うわぁ、ドスが効いてるねお兄さん!(笑) なおも笑いを堪える天空に、容赦無く追撃をかける白夜。 うーん、天空進化してから、防御力めっちゃ上がってるからなぁ。 ダメージは今ひとつのようだ! 「だいじょぶじょぶ、方向音痴な君も素敵さ☆」 白夜の肩(?)を叩いて笑顔でグッ!と親指を立てる。 『もういいから黙れお前』 半眼できっぱりすっぱり斬り捨てる白夜。 イヤン、つめたーい。ってまぁいつもの事か。 『それにしてもさー』 むくっと復活した天空が、首(??)を傾げて言う。 『なんか、すっげー熱くなってたよなーお前』 洞窟探検。 『いつもの事、という気もするがな』 「失礼な。無理って言われれば言われる程したくなるのがチャレンジャーなりよ!」 『つまりは、無謀で後先考えないと言う事ですか』 力いっぱいこぶしを握って力説するあたしに、さらりと水を差す氷月。 そんなハッキリ言わんでも・・・・・! 「ふっ・・・・・こんなに熱くなったのは、ジョンと戦って以来だね・・・・」 『誰だよジョン』 「イトコの姉のトコの隣の家のはす向かいにある佐藤さんちの猛犬」 即座に淀みなく、すっっぱりと言い切る。 ジョンとの戦いのメモリアルは、未だにあたしの戦歴の中でもベスト5に入るものの一つだ。 とにっかく!しつけの悪い犬だったし。 通行人に襲いかかるのに放し飼いだったし。 ・・・・・おかげで何度戦った事か(遠い目) 一度本気でバラしに行きそうになったしなぁ。あの頃は若かった(いや、まだ若いだろ) 『で、勝ったんですか?“ジョン”とやらには』 「いんにゃ、10戦5勝5敗で引き分け。かつて無く強敵だったよ・・・犬にしとくのが惜しいほど」 デカかったしなジョン。 とにかく大型犬の上にデブ犬だったし(だがその割に動きは素早かった) 苦戦させられたなァ・・・・・奴には。うん。 『ご主人さまと引き分けなんて・・・・・すごい犬さんだったんですね』 『どうして決着付けなかったんだ?』 素直に感心する紫苑。 興味津々、といった様子で問う天空。 「ああ。実は長年拳交える間に」 『間に?』 「愛がめばえて」 ドガゴンッッ! 思いっきり足を滑らせ、天空が岩盤にめり込んだ。 が、次の瞬間には体勢を整えて即座に突っ込む。 『マジかよオイ!』 「じょーだんじょーだん。だってジョン、メスだし」 『真に受けてどうする』 ケラケラ笑って否定する横で、呆れた口調で突っ込む白夜。 うぅん、解ってるねぇ!(笑) つーか、めばえてたまるかレ●じゃあるまいし。 『ちょっと信じかけちゃいましたよ・・・』 「はっはっは。友情ならめばえたぞ!」 恨みがましい声で訴える紫苑に、爽やかに笑う。 結局、何かしらめばえるんですね・・・・と苦笑する紫苑。 その隣のボールで、それまで沈黙を守っていた氷月が口を開いた。 『ところで主殿』 「ん、何?」 『この道は、数分前にも通ったように思うのですが?』 「げ」 む、無限ループ!? そんなはず無いでしょう。 主殿が気付かなかっただけですよ(酷) ―――――結局の所、洞窟から抜け出せたのは三時間後でした(爆) ■ □ ■ □ 「っしゃー!!抜けたあぁぁぁぁっっっ!!!」 やっと戻ってこれた太陽の下、力一杯凱歌を上げる。 おめでとう、そしてやったぜあたし! でもルギアには会えませんでした(どーん) ・・・・・まぁ、予想はしてたけどさ。なんか悔しいぞ。 「ああっ何だか空気が新鮮ザマス!」 『外ー!!!』 るららら〜♪と浮かれるあたしと駆け回る天空。 『いいから落ち着け』 冷ややかな眼差しに呆れをたっぷりと込め、白夜が突っ込む。 ふははは白夜、それぐらいじゃ今のあたしは止まらないノサー!!!(笑) 青い地平線が〜見える〜♪♪ くるくるーっとバレリーナ並の高速回転を披露しつつ飛び跳ねる。 よっぽど出られた事が嬉しかったらしい。 だがその行動は、唐突にばたっとぶっ倒れる事で中断された。 『どうした!?』 慌てて駆け寄る白夜。 しかしは、口元を押さえ、涙目で一言。 「ひ・・・・・貧血と吐き気が・・・・・・・っっ 」 だぶるこんぼ・・・・!と呻くに、白夜は自業自得だ、と眉間にしわを寄せて言い切った。 ちなみに、ボールに入っていた紫苑と氷月は巻き添えである。 はふー、と寝転がったまま深呼吸。 はい吸ってー吐いてー。 吸ってー吐いてーせーのーひっひふー(←ラマーズ法!?) 冗談はともかく。 さて、次はどこにいこっかなー。 ブルーとシルバーも、もうアサギには居ないだろうし・・・・・・・ あれからけっこー、タンバに長居しちゃったし。 通過ついでにジム襲撃でもするか。 ほとんど速攻で決断。ジムバッチってそれなりに便利だしねー。 「そんじゃまー、次はアサギジムにお墓参りといきますか!」 『お礼参りだろうが』 いえーと空へこぶしを突き出したに、淡々と白夜が突っ込む。 見上げた空は、雲一つ無い快晴だった。 ■ □ ■ □ 徐々に島から遠ざかり、小さくなっていく達。 賑やかに騒ぎながら前へと進む、ふり返る事の無いその後ろ姿。 其れを――――――うずまき島の洞窟から見守る、一つの影があった。 『――――――――・・・・・・・・』 いや、正確には―――――その視線は、ただ一人に注がれていた。 愛しそうに。 嬉しそうに。 ただ一心に、彼女の姿を見つめる“彼”。 それでいて、存在を相手に気取られぬようにする配慮は忘れない。 その姿はまさに、熱烈片想い中の、意中の相手を見る乙女だ。 『・・・・・・・』 そっと、壊れ物でも扱うような慎重さで――――名を、紡ぐ。 躊躇いがち、とすら言える声音は、・・・・ひどく、甘い。 『―――――時が満ちるのは・・・・近い、か?』 ふっと、口の端に笑みを浮かべて。 嬉しくてたまらない、と言わんばかりの口ぶりで。 『楽しみ、だな』 “彼”と彼女が出会うのは―――――もうしばらく、先の話となる。 TOP NEXT BACK |