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(180)「裸の習慣」
一人の美しい女優が、診療の予約を取り消すために、医者に電話した。 「先生、今日の午後またお宅で服をぬぐ勇気がないのです。考えてもみてちょうだい。今朝、あたしは映画監督の所で服をぬぎ、その役に合う服を注文しに服装店へいって服をぬぎ、それから、家主と家賃の相談に行って服をぬぎ、もう行った先で脱いでばかりなんですから・・・」

(179)「女の化粧時間」
奥様が化粧室から、夫に声をかけた。「あなた、あたし仕度ができたわよ。いつでも出かけられるわ」
「そうか、それじゃヒゲをそるから待っててくれ」
「あら、ヒゲならさつきそったのじやなくて?」
「うん、だけど、お前の仕度を待っている間に、また伸びちゃつたのさ」

(178)「五分の長話」
主人が椅子にすわって新聞をみていると、細君が台所から首を出して言った。
「ちょっとお隣りの奥さんのところへ五分ばかりお話しに行ってきますから、その間、シチューのおナベを見てて下さいな」
「ああ、いいよ」
「なんでもないのよ。三十分に一回ずつかきまわせばいいのですから」

(177)「チヤンス到来」
細君が急に気を失って倒れてしまった。亭主はあわてて医者を呼んだ。 医者は診察して言った。
「何でもありません、軽い神経の発作です。二っ三っビンタをくわせてあげれば、お気がつきますよ」
医者は頬をたたくため、右手を上げた。すると、亭主はあわてて言った。
「ぜひ私にやらせて下さい、二十年間、こういう機会を待っていたんですから」

(176)「立派な衣装」
大学教授が、ある時、新調した服を着て散歩に出かけた。道であった人々は、いつもより彼に丁寧にあいさつした。帰宅して、ぬいだ服をつくづくと眺めながら彼は言った。
「この服の方が、どうやらわしより数段、偉いらしい・・」

(175)「二重の罪」
あるサロンにて。中年の貴婦人が、隣りの牧師にたずねた。
「あの・・・あたくし、よその方から美しいと言われますと、とても嬉しい気持になるのですが、それも、やはり罪でしようか?」
「もちろん罪になりますよ。神は、「いっわるなかれ」と言われましたが、人に嘘をつかせてよろこぶのはもっと大きな罪になります」

(174)「深いきずな」
二人の男の会話。
「僕は、もう気が狂いそうだ。こんなに彼女を愛しているのに結婚してくれないなんて・・・もう死にたいくらいだ」
「君なんか、まだいい方だよ。僕なんか、離婚したくっても、女房が絶対に許してくれないんだもの」

(173)「招待状」
葬儀場の出ロでは、参列者に御礼のハガキを配っていた。封筒の右すみを見ると番号が打ってある。
「もし、もし、この番号はなんですか?」
「はい、抽せんをいたしまして、一等の方を故人があの世にご招待したいという遺言でして・・・」

(172)「女の思案」
男性についての女性のつぶやき。
体操の女教師「彼は、どんな体かしら?」
銀行の事務員「彼はお金をどれくらい持っているかしら?」
文学少女「彼はどんなものを読んでいるかしら?」
商売人の女性「彼はどの程度、仕事ができる人間だろうか?」
女中「彼は、どんな家に住んでいるのかしら?」

(171)「名医」
重病の男が有名な医者の診察をうけた。医者は診察して言った。
「どうも、申しかねますが、手おくれですな。まあ、あと半年の寿命でしようかな」
それから半年後、医者はその患者が街を歩いているのに出くわした。
「これはどうしたことだ、あなたはまだ生きているのですか。きっと誰かがデタラメな治療をしたにちがいありませんな。まつたく」

(170)「毛皮」
若い維君が甘えて、夫に言った。
「ねえ、毛皮をみにいかない。ねえ、あなた」
夫は読んでいた新聞をたたんで答えた。
「もちろんオーケーさ、いい考えだ。でも、急がなけれぱいけないよ。動物園は六時にしまるから」

(169)「人相」
気違い病院で。客と病院長の会話。
「廊下にいた女の人、ひどい人相でしたが・・・危険ではないですか」
「まあ、時にはね」
「じや、なぜ放っておくんです」
「止むをえんのです」
「だって、あの人はここの患者なんでしよう」
「いや、患者ではありません」
「じや、一体何者なのです」
「わたしの女房です」

(168)「不用の品」
一人の女が泣きながら、武器商の店にはいってきた。
「実は、宅の主人が昨日交通事故で亡くなりましたの」
「それはまことにどうも、ですが私には何のお力にもなれませんが?」 「いいえ、なれますの」
「どういうことでしようか?」
「このピストルを買いもどして欲しいのです。主人がいなくなれば、もう不用の品ですから・・・」

(167)「不気味な声」
「あなたの主人は、寝言をいわない? うちの人は、とてもひどいのよ。毎晩うるさくて眠れやしない」
「わたしの夫は、寝言はいわないけど、もっといやだわ。だって、しよっ中、眠っててクスクス笑うんですもの」

(166)「悪妻」
墓地で一人の男が、嘆いていた。
「どうして君は死んだんだ。君が生きていてくれれば、僕はこんな風にはならなかったんだぞ」
墓守りは、不審に思ってたずねた。
「この墓は、あなたとよほど親しかった方のようですね」
その男は、首をふって答えた。
「いや実は、この男とは一度もあつていないがね。私の女房の前の亭主の墓なのさ」

(165)「復讐は完了」
ひん死の病人が、医者の手をにぎって言った。
「先生、申しわけありません。死ぬ前に先生におわびしたいのです。実は、私は先生の奥様と・・・密通したことがあったのです」
医者は、病人を制して静かに答えた。
「そのことならご心配なく。もうすんでるんですよ。私がそれを知らないで、あなたのかかりつけの医者になるわけがないじやないですか」

(164)「自動車事故」
十字路で自動車事故があり、二人がひき殺されていた。そこへ、子供の手をひいた婦人が、急ぎ足てやってきた。
「僕、みてくるよ」
「駄目です。急ぐんだから」
「ちよっとだけだよ」
「駄目! 急ぐんだから・・・・それに先へ行けば、いくらでもみられるんだから」

(163)「ぺテン」
「ねえ、ねえ、さいてよ。私、ペテンにかかったのよ。あの人ったら私に、結婚を申し込んだとき、七十八才だっていうもんだから、私もよろこんで結婚したのよ。それなのに、本当は六十二才なんですって。ひどいわよ! これじや、私は何のために結婚したのかわからないわ・・・」

(162)「薬の味」
昔風の老婦人が、ある時、生まれて始めてビールを味った。一のみするやケゲンな様子をしてつぶやいた。
「変なことがあるものね。主人が三十年間欠かさず飲みつづけてた薬と全く同じ味がするんですもの・・・」

(161)「バスの中で」
ひどくやせた紳士の脇へ、ふとった婦人が割りこんできて腰を下した。 やせた紳士は、肩をちぢめてつぶやいた。
「バスも、目方で料金を決めるといいのに・・・」
その婦人は、これを聞くと、やせた紳士に向って言った。
「何を言っているんです。もし目方で払うんだったら、あんたなんか乗せちゃくれませんよ! ガソりン代にもならないでしようからね」