笑話集の書庫にようこそ
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(100)「複製画」
若い貴族と老執事の会話。
「執事! 私は破滅寸前だよ」
「残念至極です。ご前様」
「しかたない、先祖の肖像画を売ろう。有名な画家のだからいい金になるだろう。世間体があ るから、かわりに複製画をかけておけぱいい」
「ご前様、それは出来ません」
「何ぜ出来ないんだね」
「先代さまのお言いつけでとっくに処分ずみで、今ある肖像画は複製画でございます」
(99)「結婚願望」
百万長者の家へ若い男がやってきて言った。
「あなたのお嬢さんを愛しています・・・・たしかに私は、金もなけれぱ地位もなく、将来の 見通しもありません。しかし、私の愛は強く何ものもとめることはできません!」
「お前さんが愛しているのは、三人の娘のうちの誰かね?」
「おお、すべてあなたのおみたてにまかせます」
(98)「沈没」
船が突然、沈没しかけた。船客は、われ先にとボートに殺到した。
そのとき、船長が大声で叫んだ。
「落ちついて下さい。順番にお願います。まず、船賃あと払いの乗客を先に救助いたします」
(97)「チョコレート」
少年が、友達に得意顔で言った。
「僕の姉さんは、とても運がいいんだよ。この間、パーティーに呼ぱれたんだけど、男 の子は女の子に接吻するか、チョコレートを一箱やるかする規則だったんだよ」
「それで、どうしたの」
「姉さんはチョコレートを十箱ももらって帰ってきたんだよ。僕とても嬉しかったよ」
(96)「ラジエーター」
南米でのこと。観光客と運転手の会話。
「いやあー すばらしく大きなレモンじやないか」
「なあに、キンカンですよ」
少し行くとヒマワリが咲いていた。
「見事なヒマワリだね」
「いや、タンポポですよ。旦那」
やがて広い河に出た。すると、観光客が叫んだ。
「おや、運転手君、大変だ! ラジエーターがもれているよ」
(95)「恥を知れ?」
ある男は無一文で、着るものはほとんど着にみ着のまま、ただ最低の生活のために寝具と机、そし て目覚し時計だけ。ある朝、男が目を覚ますと、すでに太陽が高くあがっていた。
机の上の目覚しを見ようとしたが、それがない。部屋には、どうも、泥棒がはいったようだった。
机の上に一片の紙キレが置いてあった。
「俺がわざわざおし入ったけど、時計以外に何も取るものがないじゃないか、少しは恥を知れ」
(94)「パパの部屋」
男の子が二人の友達に、今度引越してきた家について説明していた。
「今度の家はすげえんだぞ、ようやくぼくだけの部屋がもらえたし、妹も自分の部屋ができ たんだ。だけど、パパはかわいそうに、やっぱりママと同じ部屋なんだ」
(93)「年齢」
医者は診察を終わると言った。
「奥さま、お年は30才とおっしやいましたが、そのお年に対しては、血圧はまったく 正常で、申し分がありません」
「ありがとうございます」と婦人は礼を言ったが、遠慮がちにつけくわえた。「仮りに、 年をもう15才ふやしましたら、どういうことになりましようか?」
(92)「弁当」
人夫は弁当を出して叫んだ。
「またコロッケか、いやになっちやうな。一ケ月も同じものばかりだ!」
「どうして奥さんに言わないんだね。何か変わったものを頼んだら?」
「奥さんだって」と人夫は叫んだ。「冗談いうな。俺はまだ独身だよ」
「それじや誰が升当を作るんかね」
「自分でさあ−」
(91)「無一文」
船が港についた。税関吏の前に小さなトランクをもった男が立った。
「どこからだね?」
「イタリーからです」
税関吏がトランクを開けると、シヤッとサンドウィツチがはいていた。
「これがあんたの全財産かい?」
イタリア人が答えた。
「そうてす!ほかにまだ何かあったら、なんで祖国をすてたりなんかするもんですか!」
(90)「商人」
一人の男が、商人にたずねた。
「あなたは、どういった関係の仕事をしていますか? 取り引き関係てすか?」
「いや、私はきれいで真面目な仕事しかしません」
「ほう、それじや、もうけはたんまりと言うわけですな」
「どうして?」
「だつて、競争相手が全然いないじゃありませんか」
(89)「姉妹」
パーティで一人の青年が、二人の女の子と知り合った。そのうちの一人とダンスしながら、彼が 言った。
「あなたと一緒にいた、あの醜い女性は誰ですか?」
「私の姉よ」
「おお、すみません。とてもよく似ているのに、直ぐ気がつかなかっものですから・・・」
(88)「スリ」
あるスリが現行犯でつかまった。裁判官は、50ドルの罰金を課した。
「残念ながら、この男には罰金を支払う能力はありません」と警官が言った。「私は、彼を身体 検査をしましたが、たった20ドルしか所持していません」
裁判官は、おごそかに言つた。
「じや、この男を通りに連れて行つて放しなさい。すぐに罰金を支払う能力ができるだろう」
(87)「老年とは?」
人から「お若いですな」と言われたら、老年に入った兆しである。次に、もっと年をとると、 トイレにはいってから、ズボンのチャックを上げるのを忘れるようになる。そして、さらに、年 をとると、チャックをおろすのを忘れるようになる。
(86)「人多き人のなかにも人ぞなし」
その昔、ソクラテスがアテネの町の十字路に立って昼間からランプをつけ、何かしきりに探し 物をしていた。
そばを通った弟子が「先生、何を探しているのですか。落とし物でもしたのですか」と訊ねる と「人を探しているのじゃ」と答えた。
「人なら、そこらあたりにいくらでもいるじゃありませんか」というと、「あれは皆、人では ない
(85)「記者魂?」
橋の上に一人の男が、しよんぼりと立っていた。その男のまわりを、アメリ力人の記者が時計をみながら、いらいらしていた。
ついに我慢しきれずに記者が言った。
「言っときますがね、いま水に飛びこまないとタ刊には間にあいませんよ!」
(84)「うわごと」
死期の迫った実業家が、二人の息子を枕元に呼んだ。「息子達よ、これがわしの遺言じゃ、いつでも正直でないといかんぞ。ピジネスでは持にだ。正直だけが、お前達に富と名声をもたらすんだ」
長男が何か言おうとしたが、弟がとめて叫んだ。「やめろよ、おやじは気が狂っているんだ。自分が何を言っているのかわかっていないんだ!」
(83)「男と女(三)」
最初の日には、男は女に自分の妻のことを全部話した。妻が自分を理理解していないから一緒に暮らせなくなったことを。
二度自には、女は男に自分の夫のことを残らず話した。夫が自分を理解していないので一緒に暮らせなくなつたことを。
三度目に、男の妻と女の夫が会った。二人はお互いに理解し合った。
(82)「男と女(二)」
最初の日に、男と女はまた会う日を約束した。二度目には、三度目のデートを約束した。
こんな風に男と女は、もう十二年もデートの約束を続けているが、二人とも何のためにそうしているのか、さっぱりわからないでいる。
(81)「男と女(一)」
二人が知り会った最初の日、男は女に白分のことを全部話して聞かせた。
二度日に会った時、女は男に自分のことを全部言って聞かせた。
三度目のデートのときには、もう何もいうことがなく黙りこんでいた。