不幸なぴっちぴち四歳児です、まだ生きてるよ。やったね。
とりあえず無事に悪魔の実食べて逃げ切れたので、警備の甘さについては感謝の念を捧げておこうと思う次第。
警備担当者はひょっとしたらお仕置きEND遂げてるかもしれないので、一応冥福も祈っておく。なむなむ。
クソ餓鬼に見つかった時はどうしようかと思ったけど、とっさの判断で全力体当たりをくれてやったらコケて頭打って気絶やがりましたとも。うん脂肪が厚い上に普段奴隷に運ばれてれば運動神経も悪くなるよねー。ざまぁ。
時間さえ許せば全身の骨という骨を砕いてやったんだけど、まぁ捕まったらENDするのは自分なので自重したわたしは、とても自制心に満ち溢れていると思う。ついでに踏んでいったけど。ただ、やっぱり計画が雑っていうか行き当たりばったりなだけあって巡回してやがった海軍に見つかるのも早かったんだけどもね!
明らかに傷だらけの四歳児を捕縛しようとするの、かなり人間としてどうかと思う。
奴隷の逃走くらい見逃そうよー船融通してくれとは言わないけどさー、たかが奴隷一人を武器ちらつかせながら探し回るのとか本気で犯罪臭がするぞ正義の集団。しょせんは宮仕えって事ですね分かります。
正義の定義が問われるよね。金輪際海軍は信用しないでおこうと心に決めたよ。
権力が正義なんだろ分かってるともさ、死にさらせ天竜人の犬ども。
悪魔の実の力が無かったら今頃拷問真っ最中だ。今度こそ黄泉直行コースで。
神様がわたしの事を嫌ってるっぽい分、悪魔がわたしの味方をしてくれたんだろう。
博打だった悪魔の実は、これ以上なく逃走に有用なものだった。
悪魔の実ロギア系。
今のわたしは、ドロドロの実を食べた“泥人間”である。泥幼女でも可。
ならし運転ナシのぶっつけ本番だったというのに巧くコントロールできたのは、やっぱり実の悪魔が気を利かせてくれたおかげかも知れない。命かかった瀬戸際で集中してたから、っていうのもあるだろうけど。
でも、めでたく逃げられたからって喜んでもいられないんだ。
現在地が海王類の腹の中っぽいからね。
死亡フラグとそろそろ縁を切りたいんだけど、まだ付き合わないといけないらしいよ。めげていい?
【 03.逃げ出したらピノキオする事になった。深海では出たくない。】
うんまさかね、海に出て一日と経過せずに食われるとか思わなかったんだよね。
海賊にエンカウントくらいは覚悟してたんだけどこれは想定外だったわー。
ていうか何故タルを食べるのかな海王類。もっと質量あるもの食べれば良かろうものを。胃にたまらないだろうに。
「ひっさーつ! まっどかったぁー!!」
手と腕の泥をしゅぱーん! と勢いよく振りきれば、でろんと滴ってくる血液っぽいもの。まだまだ威力が足りないらしく、せいぜいちょぴっと切ったくらいの傷でしかない。まだまだ脱出の日は遠い。いや出方も考えないと深海で亡骸をさらすハメになるんだけども。水圧とか考えると、泳げても泳げなくてもあんま変わらないよねハハハ。
血液っぽいものを泥に取り込み、水分や栄養素の一部を補給する。
いやだって口径摂取は生臭いしのど越し最悪だし味の良いものでもないし。
繰り返すが、今のわたしの現在地は海王類の胃袋の中である。
だから、当然まともな水や食料なんてものはない。
ここから出るにしても、海に弱い能力者のわたしが生還しようと思えば、まず最初に確実に放り出されるだろう海水対策しないと死亡以外の結末が無いのは残念な事に疑問を挟む余地の無い事実。
入ってたタル? とっくに消化されましたとも。わたしは泥だったから胃酸平気だったけど。ありがとう悪魔の実。
モノが泥だけに、出るだけなら簡単なのだ。流れに沿って下か上に行けばいい。
でも出れば出たでデッドエンド以外が待っていないっていうか。
わたしとしてはまだまだ死にたくない気持ちでいっぱいなので、いい案を思いつくか消化されなくて浮くようなナイスアイテムが入ってくるまで待つかの二択しかない。今生のわたし詰みすぎじゃない?
で、話は戻るけど生きるために水分と栄養の補給は欠かせない。
胃袋に来たものを食べれればいいんだけども、ぶっちゃけ日が当らないからまっくらで何が何だか分からないし、食べられてきたものの中には小型の海王類がいたりして、こっちを逆に食べようとしたり攻撃してくる始末。
ロギア系で本当良かったと思う。ありがとう実の悪魔。
そこで選んだのが、この海王類自体を食糧とするプランだったのですよ。どーん。
……うん、寄生虫みたいだよね存在的に。自覚はしてるの。
傷口を広げるのもどうかと思うので、日々あちこちからちょっとずつ血肉を拝借させてもらっている。
加工できないから常に生だけどね。これ食べないと死ぬからね。
最初の方おなか下してのたうちまわったりもしたけど今は平気だよ!慣れってすごいよね。
あと、最近胃酸を漂ってるからかな? 泥状態の時に肉を溶かせるようになったんだ。
泥を通して取り込むと、食事してる感は無いけどマズさも感じなくていいから重宝させてもらってる。
全世界のまっとうな食事に不満を述べる連中はみんなわたしと同じ境遇になればいいと思うよ。
「カイワ、したいなー」
まともな話相手がいない状況が長いからね。っていうか、もはや周囲に他人すらいないからね! 最近言語を忘れそうな自分がいるのが怖い。独り言でなんとか記憶繋いでるけど。わー孤独ー。発音とか大丈夫かなわたし。ていうか、出た時言語障害起こしてるんじゃなかろうな。
延々退屈と生存本能と鬱思考が入り混じる、それが孤独空間クオリティ。
外に出る手段だけはある辺り、なんかこう衝動的にいつか自殺に走りそうだよねわたし。わぁ奈落。
「……………………のーりょくけんきゅーしてよ」
そんな最近のわたしの趣味は、悪魔能力磨きと体力トレーニングと。
「まっどしょーっと!」
「どろばくだーん!」
「いっけーどろどろぱーんっち!」
あと、ネタな一人遊びかな。
寂しい人だって同情してくれるなら、是非ともここまで来てください。
胃酸で消化されるまでは大歓迎で迎えるからさ。
待ってるよ、お客さん。
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【 補足めも。 】
「ピノキオする」=ピノキオが鯨に食われて体内でしばらく過ごしたエピソードが元ネタ。ピノキオごっこだぜいえー。