拝啓どうもこんにちは、いやこんばんわ?
まぁいいやとにかく産まれて以降災厄にしか見舞われてない気がする不幸な四歳児です。
誰かチェンジしてくれないかな。ワンピース世界への転生トリップだよ?
暗い過去ってオリジナル主人公に必須のアイテムだけどその辺りもクリアしてるし、基本の容姿スペックもフツーにほにゃらら十八禁な展開を売り文句で用途にされる程度には良いよ?
世のトリップに憧れる乙女達にとっては良い商品だと思うんだ、この身体って。
きっと原作キャラと恋愛ルートにも入れると思う、頑張ればおそらく。
だからね。
「……だれ、か。ボディこーかん……して、くれな……か、な」
このままだと早々に死ぬ。
死にざますら幻視できるくらいの強い確信を抱いた、それは天竜人に買われて早四週間目の出来事である。
【 02.死亡フラグが身近すぎるのでトリップ希望者と入れ代わりたい件について。】
さて、買われてからの私の用途を端的に表してみよう。
人間サンドバッグ。
もしくは、初心者のための拷問訓練用人間。
こ れ は ひ ど い 。
奴隷に基本的人権は無いようです、まぁ私の買われ先が悪かったのかもしれないんだけども。
どうも加虐趣味があるご家族らしくてねー。まず連れて行かれたのがリアル拷問部屋(末路的な先客付き)。
おびえる顔を見て楽しまれた私の気持ちを是非とも察して頂きたい。最初はかるーく☆ 鞭打ちからって事で、ゴシュジンサマぱぱんの指導の元、初日から吊るされてビシバシされた訳だんだけども。
初回から気絶するまでとかないと思う。
うん、元ハタチ越えのプライドとかかなぐり捨てて許しを請うたのは当然の成り行きじゃなかろうか。
拷問経験のある一般人って、それどんなハード世界?
まぁ全身全霊知りうる言葉の限りを尽くして止めてくれと懇願してみたんだけどね。
すっごい嬉々とした笑顔で鞭打ち続行だよ、お前に人並みの情は無いのかと。
買われて以降、傷の癒える間もなく拷問拷問拷問と。
正直、なんで生きてるのかが不思議すぎる。
「……にん、げん。こわい、なー……」
古来から品性は金で買えんとは言いますが、いくらなんでも犯罪臭がしすぎだろうどう考えても。
確実に選民思想と権力がトップギアで悪趣味を助長するというナチス理論循環が行われてるね笑えないね。
嬉々として拷問道具の解説と実践をナチュラルにされるとか。
さらには一部人間の皮製だったりするグロっぷり。しかも明日はそれが我が身な訳で超絶泣ける。
どうも私、あのボンボンに(悪い意味で)目をかけられているらしく。
時々ご一緒する奴隷仲間からすら憐れまれるとかね。もはや反応する気力すらないわ。
そんな状況下な私が、せめてもの助けであるスペック、前世頭脳を使って脱走を計画したのは無理もない話であると思われる。これでも前世はワンピース読者だったりするんだよね、私。
現状、かなり役に立たないけど。
……まー四年も前の話だしね。
好きは好きだったけどしょせん単なる一読者、知識レベルも一般ですよ。時系列とか知らんっつの。
だいいち現在が原作前なのか後なのか真っ最中なのか、その辺りすらも知らないのにどうしろと原作知識。
天竜人って言ったら魚人が来て奴隷解放? みたいな事するっていうのは覚えてたりもするけど、いつ来るのか分からない上にもしかしたら来た後かも知れない助け手を待つわけにもいかない。
アンラッキ―“四”歳まっさかりの私が運を天に任せるとか、確実にそのまま召される自信があるよ。
……例えば“四”ヶ月目の“四”日目とか、ね。鬱だわー……。
ただ、坊ちゃんに拷問されたり連れまわされたり拷問されたり拷問されたりしていて良かった事も二つくらいある。
一つは、屋敷とかその周辺の道がある程度だけど覚えられた事。
結構な頻度で坊ちゃんに鎖付き散歩(暴行有り)を強制されてる件について? ははは、今更今更。
もう一つは、なーんと! 馬鹿坊パパンが悪魔の実コレクターだと分かった事!(どどーん)
悪趣味なサディストってだけじゃなかったみたいです。いや、悪魔の実集めてるってのは充分ダメな趣味か。
逃走経路に逃走手段。
この二つさえ揃えば、あとは早い内に闇に紛れて抜け出すだけだ。
どの悪魔に当たるかが博打なのは痛いけど、実を一口でも齧れば私も能力者の仲間入りができる。一般人な私に能力封じの対策はされていないから、よっぽど運が悪くない限りはこの物騒な首輪を外して逃げ切れるはず。
と、いうかね。早く脱走しないと動けなくなる一方だし。
現状だって片腕複雑骨折の上、爪が全剥ぎされたから力がうまく入らないんだよ。傷だらけなのがもはやデフォ。
買い主が買い主だけに、寝食だけは最低限文化的なレベルにあるのが救いといえば救いかも知れないけど。
「……ふぁい、おー……」
え、作戦決行? 今夜ですが何か。
ちなみに入れ代わり希望者は、なるべく早めに連絡よろしく。
死ぬか生きるかの瀬戸際って、トリップの醍醐味だろうからね!
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