元の世界にいた頃―――――いつだって楽しかったけど、刺激に飢えていた。





平和と退屈の隣り合わせ。
学校は・・・・・・・多分嫌いじゃ無かったけど。

けど、抑圧されるのは大嫌いで。



だからだろうか?

ここへ来てから、不思議なくらい・・・・充実してると感じられるのは。


こっちの生活が、合っていると言う事かも知れない。
それでも、時々元の世界を思い出す。




還るべき家。



家にいる事の方が少なかった、放任主義の親。





からかって遊んだり、お茶した先生達。





ノリのいいクラスメートに、友達。





変わり者で有名なイトコ。





そして―――――――そこにいる、二度と会えない無二の親友を。











      【 怪奇!散歩の罠!! 】








ポケモン世界に来てー!

旅をするようになってー!



早寝早起きになっちゃいましたー!!!!
 (だからどうした)





いやぁ、健康的だな☆(爽)


まぁ、そんなワケで。
最近は、ポケモン達との早朝散歩が日課となっておりますっ!(ビシッ)

紫苑は・・・・・まだいいとして。 白夜や天空、カントーやジョウトにはいないから目立つし。
早朝なら、あんま人もいないし目に付かない!(多分)

それに、昼間にうろつくと変な目で見られるんだよねこれが(爆)
いやもう、思いっきり不審者を見る目(笑)

ヘタしたら通報されそうな感じが!(アッハー☆)

もっとも、帽子取ったら取ったでウザイのは目に見えてるんだけど。



目を細め、空と大地の境界線に意識を向ける。

静かな水底の如き夜。
その青々とした静寂の闇は西の空へと駆逐され、濃い紫が段々と薄くなっている。

白々と輝く太陽は、その周りを暖かな色彩へと変化させて。


何度見ても奇麗だと思える、空の営み。
明け方特有の、冷めた空気が身体に心地良い。

「・・・・・・・ん?」

しかし、そんな爽やかさ抜群であたし多分似合ってねぇよなだって黒ずくめだもんよ あははははとかなんとか感じられずにはいられない光景の隅っこを横切る、何だか何処かで見た覚えのある、いっそ懐かしいそしてやっぱり朝が似合わん部類の格好した人々。

はてどこで見たんだっけかと考える事数秒。
思い当たったその正体に、自然と眉間にしわが寄る。

『ご主人さま、どうしたんです?』

いきなり難しい顔になったに、手乗りハムスターならぬ肩乗りキャタピー状態の紫苑が不思議そうに問う。
取り敢えずの視線の方向を追い、そしてこちらを見上げる白夜。
あれがどうかしたのかって目で聞いてきている。
天空はこちらを気にせず地面駆け回って転がってころころころって犬かボールじゃねぇのお前むしろ転がしたいよな

―――――――って思考それすぎだ自分。

「いや、ちょっと・・・・・・・・・・・」

生返事を返し、彼等の消えた方向を見つめる。
そこに広がるのは、延々と緑で構成された広大な森。
まだ明け切っていない夜の気配がそこかしこに漂い、ちょっと不気味な雰囲気すらある。

・・・・・・あれってロケット団だよね?トキワの森で、何やってんだろ。

「・・・ま、行けば分かるか」

考えるのをあっさり放棄して、後を追う。
それにしても、トキワの森に妙に縁のあるのは何故だろう。

・・・・・・・何かの陰謀か?



妙に薄ら寒い感じがした、今日この頃(恐)



 ■   □   ■   □



「―――――いいか、ここにいるのは間違いない!草の根分けても探し出せっ!!」


こっそり茂みから覗いてみれば、そんな事を叫んでいたのは――――――



・・・・・・・えーと誰だっけ(爆)

確かR団中隊長sの一人で名前はー・・・・・あーマジで出てこん。
個性無いしさあいつら。
だから仕方ないさ忘れるのは。うんきっと大自然の摂理。

覚えてないのは個性薄っぺらトリオなあいつらが悪いっ!(←ひでぇ)

まぁそれはともかく。
なんかポケスペ一巻を思わせる展開だなー。
もしや探してるのはミュウですか?


にやり。



の顔に、笑みが浮かぶ。

「・・・・・いっぺん見てみたかったんだよねぇ」

なにせ、ミュウはレアポケモン。
実はゲーム内ですら、お目に掛かったことは無かったりする。

 

「さてさて、ミュウ探索と参りますか♪」



至極楽しげに、そう呟いて。
音を立てないように、はその場を離れた。



 ■   □   ■   □




【 ミュウ探索中 】




『おーいミュウやーい』

『・・・・呼べば出てくるとは思えんが』

「あ、アーボ発見。ミュウ知らない?そーか知らないかー」

『(何だかこのアーボさんこっち見てる・・・っすごい舌なめずりしそうな目で見てます・・・・・っっ!)』




【 探索中探索中・・・・・ 】




 ■   □   ■   □



そんなこんなで1時間後。



『あ゛ー・・・見つかんねー・・・・』

『・・・・・・・無駄骨か』
 
『はぅ・・・疲れました・・・・・』(←あやうく食われかけた)


結局見つかりませんでしたv(爆)


ごろりと草むらに寝そべって、空を見上げる。
森に入った頃はまだまだ暗かったというのに、そこにあるのは澄み切った青空。

あー、空の青さが目に染みるぜ・・・・(遠い目)

「あー・・・なんかこのまま帰るのもシャクだし」

『シャクだし?』

「ロケット団でも痛ぶってかない?憂さ晴らしに。

八つ当たりがどうした。

こちとら一時間もぶっ続けで森のポケモン達☆うふふあはは と戯れ続けてたんだよ!?(いやまぁちょっと楽しかったけど!)
いいじゃないかちょっと有害指定人物痛ぶったって。

むしろ世界のためになる!
(無駄に爽やか)

目をランランと輝かせ 、そう提案すれば。

『悪くないな』

『だよな』

『・・・私もちょっと暴れたいです』

全員賛同だ、やったね☆

つうか、紫苑まで賛同するとはちょっと思ってなかったな。
・・・・・・やっぱり食われかけたのが響いてるのか?(慌てて助けて噛みつかれて白夜と天空がすごい勢いで始末してた。怒られたのはちょっと理不尽だと思った、何故怒られるんだろう。紫苑は泣いたし。大げさだよちょっと噛みつかれたぐらいで)
腹筋を使って、勢い良く上半身を起こす。
誇らしげに表情を輝かせ、ぐっと握りしめたこぶしを空へと突き出す。

「んじゃ、憂さ晴らしの後ポケモンセンターって事で!」

高らかな宣言に、そこらでなごんでいたポッポが驚いて飛び立った。
ロケット団、サンドバック決・定☆(笑)

おめでとう、容赦はしないぞ!



 ■   □   ■   □



R団の野郎共まとめて憂さ晴らしサンドバッグ化計画。(←長い)

とは言っても、ただむやみに闘いを挑むなんてそんなひねりの無いやり方はイマイチ面白くない。
じゃあどうするか?答えは簡単。


罠を張るが基本だろう!(グッ/何の基本だ)


こっそり木の上から様子を伺えば、(無駄に)ミュウ探しを頑張るご一行様。
一年後にもこの辺りで頑張ってたよなぁ なんて微妙に微笑ましい気分はとりあえず置いておく。

来た来た♪ 罠にかかりに♪♪

浮かんだ笑みは非っっ常〜に邪悪さこぼれ落ちんばかりのものであったが、幸い、見た者はいなかった。 

「紫苑ー、準備できてるー?」(←小声)

『バッチリですv

「よーし、白夜、天空、準備できたー?」(←こっそり)

『当然だ』

『おう!』



「いっくよー・・・・・・せーのー・・・でっ!」




くいっ





「なっなんだッ!?」

「こらっ踏むなーっ!」

「ぎゃー!?血がっ血がーっっ!!!!」


見事に引っ掛かるR団。
説明しよう!
来るだろうと予想付けた辺りに、やや緩めに紫苑の糸を張っておいたのだ!

見事に転んでくれたよ(笑)
だがしかぁしっ!これで終わりではないのだ!

「天空、‘火の粉’っ!!」(←小声ですよ?)

紫苑の糸は、当然燃える。
そして最近は、空気も乾燥カラカラ気味。

ここに火の粉を使えば―――――


「「「「「「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!?」」」」」」」


当然引火します(鬼だお前)


「白夜、‘カマイタチ’」(小声なんだってば)


どぉぉぉぉぉ・・・ん


カマイタチを受けた木が、地響きを立てて倒れ込む。
――――――勿論、内側に、だ。
生木は燃えにくいし、これで森に引火する心配もないだろう。

自然は大切にしなきゃね☆(放火かましたお前が言うな)


悲鳴をあげ、わらわら逃げ回りのたうち回るロケット団。
中にはこんがり焼けてチリチリパーマ状態 やらパンツ丸出し(←服が燃えたor破れた)の者もいて。

「うわ、カッコ悪ー・・・・・・

いやまぁあたしのせいだけど!(事実は変わらない・・・そう、カッコ悪いと言う事実はっ!)
あまりの無様さにか、紫苑は肩を震わせ笑いを漏らし、天空に至っては遠慮のカケラも無く爆笑しまくり。
白夜は―――――・・・・・・うわぁ、声押し殺して笑う姿がちょっと怖い。

まぁ、それはそれとして。
とにかく吹き出しそうになる自分を押さえ、木の上で腹(?)を抱えて爆笑し続ける天空に向かい、

「天空ーあんま笑うと」


バキッ


『うぉっ!?』

やけに耳に響く音。
次いで、視線の先で笑い転げていた天空の姿が消失した。

「落ちるよって・・・遅かったか」

木の上で暴れるから・・・・・・(重いのに)
下を見てみれば、見事に地面にめり込んでいるのが見えた。
後ろ足っぽいのがぱたぱたしてる姿を見る限り、死んじゃあいないようだが(←当たり前)

おー、ロケット団驚いてる驚いてる。

「しゃーない、行きますか」

『見捨てるわけにもいきませんしね』

『ドジなやつだ』

肩をすくめ、軽く反動を付けて飛び降りる。
それなりに高さがあったため、地面に付いた途端にかかった重力を膝を曲げる事でやり過ごす。
足元でばたばたしている天空を引っこ抜き、服の裾をはたいて立ち上がる。

「貴様か!?俺たちをこんな目にあわせたのはっ!!」

改めて対峙すれば、怒りに満ちた第一声を捧げて下さるロケット団の方々。
空気に満ちる、殺気混じりの怒気。
ここにいるって事は、あたし等がやったに決まってるだろうよ。
口に出して挑発するのも楽しそうだが、唇に嘲笑を刻むだけでぐっとガマン(いや充分挑発してるって)

「なんのつもりだっ!?俺たちが誰だか、分かってるんだろうな!」

いや、分かってるからやったんだし。(←外道)

「俺たちの恐ろしさ、思い知らせてやるっっ!!」

結局こーなる訳か(判っちゃいたが)
しかし――――――戦う前に、これだけは言いたい。



「パンツ一枚ですごまれても・・・・・・」

『同感だな』

『見苦しいです・・・』

我ながら的を射た発言に、
白夜が深く同意を示し、紫苑がさり気なくキツイ発言をした。

『〜〜〜〜〜〜っっっ!!!』

そして、なおもしつこく笑い続ける天空。


「「「「「「うるせぇぇぇぇっっっ!!!(泣)」」」」」」」









             わけのわからん混乱の中、バトル開始。(カーン)










ざわざわと、森がざわめく。
多方向から迫る複数の殺気、直接間接を問わない多彩な攻撃。
連携や策略と言う言葉とは縁の無さそうな攻撃に、呆れた気分になる。

溢れんばかりに迫り来る敵意に、お前等隠す事を知らんのかと突っ込みたくなった。
そして狙いは定めろよ。時々、仲間巻き込んでんだからさぁ。

「しっかし、キャタピーって成長早いねぇ」

しみじみと呟きながら、後ろから襲い掛かろうとしていた奴(パンツ一枚)に、振り返る事無く肘鉄加えて足蹴にする。
足の下でぐぇ、とカエルの潰れたみたいな音が出た。

「白夜‘電光石火’!紫苑‘念力’っ!」

言葉に応え、純白と紫暗の色彩が舞う。

濃い赤紫の瞳。
落ち着いた色彩の、紫暗の身体。
黒で縁取られた桃色の翅は、先端へ向かう程に淡くなっている。

ああ、愛でたい触りたい撫でさすりたいっ!

戦闘が終わったら絶対スリスリしようとか心に誓ったあたしは、間違ってないハズだ(多分)
木を薙ぎ倒し、敵を叩きつけ、叩きのめして戦いは続く。
自分のポケモン諸共脱落・気絶した連中が、そこいら中に転がっていた。

自然は大切にしなきゃいけないのに!(←だからお前が言うな)

「天空‘頭突き’!!」


ずぅぅぅん・・・・・


音を立てて、イシツブテが地に落ちた。

「おっしまーい♪」

ふぅ、いい汗かいた☆

軽く乱れた呼吸を整え、身体を伸ばす。
見上げた太陽の位置から、昼頃かなと見当を付けた。

「ごくろーさま白夜、紫苑、天空」

『手応えのない連中だったな』

『進化できて嬉しいですvv

『あ゛ー、ハラ減ったーっっ!!』

の労いに、それぞれに感想をもらす三匹。
そういやもう昼飯だよな、と思い出したあたしの耳に、おかしそうな笑い声が届いた。

「?誰いま笑ったの」

首を傾げて振り返る。

『ボクだよ☆』

「うぉうっっ!?」

振り返った途端のどアップに、反射的に後ずさってたたらを踏んでよろけた。
問答無用・前置き無用で“彼女”に飛びかかり、白夜が割り込む。

『・・・・誰だ貴様』

低く、唸るように問う。
冷ややかな声の底に、明らかな敵意が見え隠れしている。
それをまったく意に介することなく、“彼女”はふわふわ浮かびながら笑って名乗った。

『ボク?ボクはミュウだよ☆』

そして、のかぶっていた帽子を取り、顔を近づける。
再度襲い掛かろうとした白夜を目で制し、真っ直ぐに見返す。

『トレーナーさん、何て名前?』

だよ。ちなみにあれが紫苑で、あっちは天空。こいつが白夜」

あたしの指し示すのにあわせて、紫苑は一礼し。

天空は飛びはね。

白夜は冷たい視線を向けた。

『ふぅん。ねぇ、ボクにも名前ちょーだい♪』

「え、何で?」

『欲しいから☆』

首を傾げてそう問えば、にっこし笑って即答するミュウ。

軽いなオイ。まぁいいけどさ、名前ぐらい。
それに、伝説のポケモンに名前付けるなんて、めったにできる事じゃないしねー。

あごに手を当て、一番しっくり来そうなのを考える。

「んー・・・・・・・じゃあ、貴姫ってのでどう?」

浮かんだ中で、もっともイメージ的に似合いそうなのを挙げる。
高貴なる姫君――――――そんな意味合いの、名前。

『ふーん、貴姫かぁ・・・・・』

そう、呟いて。
嬉しそうに、ミュウが笑った。

『ありがとv

「どーいたしまして」

ミュウから帽子を受け取り、笑い返す。
気に入ってくれたみたいで良かったなー。ま、礼を言われるほどでも無いけどさ。

『!!後ろっ!』

「っ!?」

表情を強張らせ、貴姫が叫ぶ。
反射的に振り向き――――――見たのは、ロケット団(やっぱりパンツ一枚)の姿。






何をされたのか悟る間もなく、目の前が真っ暗になった。








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