物心つく前から、まとわりついて離れないのは罵声と嘲笑。









『やーい色違いー!変なのー!!』

『近づかないでよ!あんたと遊んでたら、こっちまで仲間はずれにされちゃうじゃない』





             ・・・・・・・わたしだって、好きでこんな色なわけじゃない。

               言ってみた所で、何かが変わるわけでも無くて。
                  誰もが私を、気味が悪いと言って拒む。







『ウザイんだよね、お前みたいなのが森にいるとさぁ』

『泣けばなんとかなるとでも思ってるわけ?誰も助けないわよ、あんたみたいな気色悪い子』









            どうしてそんな事を言うのだろう・・・・・・傷つかないはずがないのに。




                    ほんの少しの違いすら、攻撃する材料で。
                 力のない私には、自分を認めさせる事すら出来ない。


           拒まれて、傷つけられて。それでも願うのは・・・・・・・祈るのは、ただ一つの事。





               ――――――嫌わないで。 どうか、私を受け入れて・・・・・・・・・・・・・・





                       哀しみと絶望に、溺れてしまう前に。








      【 異質な存在・特別な人 】








―――――森林浴とは何か。

緑あふれる森林の中に入ると、すがすがしく爽やかな気持ちになる事がある。
その原因は、木の香り:「フィトンチッド」という揮発性の物質の効果なのだという。
これは主に樹木が作り出して発散しており、心身をリフレッシュ&リラックスする効果を持つ。

そして、こうした物質を浴びることを「森林浴」と呼ぶのだ。


まぁ、そんな知ってても知らなくてもいい知識はともかく。
結論から言えば、体感するのが一番良いのだ。
論より証拠、百聞は一見に如かず。


その心地良さは結局、体感するのが一番なのだから。


「・・・緑はイイねぇ」

心の底から洗われるよvv

妙に満足げな笑顔で、そんな感想をもらす。
特に意味は無いだろう事は確実だ。

って言うか、人生で行う行為総てに意味を求めるのは無謀だしむしろ人生無駄に過ごしてみたいよね☆ とか言い出しそうな奴(しかもこれでも主人公)なんだからその辺りの意味を問いただすのはやるだけ無駄だろう。


『――――おい』

後ろから、氷の連想させるハスキーな声がかかる。
その声は、わずかに怒りを含んでいたりしたのだが――――――とりあえず黙・殺☆(あっはっは)

「ああ、まろ茶が呼んでる・・・・・vv




呼ぶのかまろ茶。


のー・こめんつサ☆(スマイル0円)




『何だよ【まろちゃ】って!』

今度は高めの、少年めいた声。
こちらは含むどころでなく、むしろ不機嫌丸出し状態だ。

それに気にするな!と帽子のあるせいで爽やかどころか怪しさ暴発☆ 状態 な笑顔で返す。


さて皆様毎度お騒がせしております(ホントにな)
異世界にトリップ・イン!などと言う普通あり得ねぇだろ と突っ込み 頂けるような全世界腐女子憧れの行為を実体験しております ほぼぴちぴち13歳独身です!(当然だって)
ちなみに現在逃亡中vvv



「しっかし・・・・・」

呟き、走りながらちらりと後ろをふり返る。
かなりの速度を出しているはずなのだが、息切れもしていない上に汗すらかいていない。
後ろを見ながら(しかしそれでもスピードは落ちていない)息を吸い込み―――――


「しつこいと嫁に行き遅れるよー?


あ、ヒートアップした。


『なんでいらんコト言うんだよ―――――っ!?』


何考えてんだよ!と走りながらくってかかる天空。
しかしは前を向き直して腕を組み、

「うーん・・・。反応するってコトは、すでに行き遅れ・・・・・?

聞いて無ぇえええええっっっ!??!

『あきらめろ、無駄だ』



まったく聞く気ナッシング☆状態の

状況悪化させといて反省の色のない主人の言葉に暴走気味な天空、

諦観の混じった雰囲気纏わせてきっぱりはっきり言い切る白夜。



そんな、追う側からしてみればかなりふざけた会話繰り広げつつ、森を疾走する一人と二匹。



さて、ここで問題ですv(じゃじゃん)
私たちは、何に追われているのでしょう!












チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッ・・・・・・・・・・・・・・・・



 












ブッブー♪







正解は、CMの後vv(笑/そんなモノはありません









『っだぁぁぁっ!いい加減やってられっかぁっ!』


しばらく森の中を走ったところで、天空がキレた。
うっわ忍耐力ねぇ。
この体力の限界に挑戦!ジョー・・・俺はお前を超えるぜ!!命名/誰だジョーって)大会が始まってから、まだ十分と経っていない。
まぁ、もともと天空は忍耐強そうなタイプでは無いが。

戦っていいか!?戦っていいだろっ!?

天空さん、目がギラギラしてます。
そこまで耐えてたのかお前。

『俺も殺る。許可しろ』

静かな殺気を漂わせて言う白夜。
しかも‘戦る’じゃ無くて‘殺る’と書いて‘ヤる’と読めですか。



うーん、好戦的だね☆(それで済ますな)



ま、他人のコトは言えないけど。

心の中でそう呟いて。
片足を軸にブレーキかけて、くるりと後ろをふり返る。

向かい来る< そいつ等 >に向けるのは、悠然とした余裕の其れ。
そして、彼女に従い動きを止めた二匹に向かって。

愉しげに、口を開いた。


「許可するよ―――――暴れようか♪」




それが、合図。
   ――――――戦いが始まった。




 ■   □   ■   □



「天空、“気合いだめ”と“頭突き”!白夜、“カマイタチ”っ!!」

指示と同時に、二匹がスピアーの大群(これが正解。解った人いますかー?)に攻撃を仕掛ける。
いきなりの攻撃に、何匹かのスピアーが脱落した。

こまごまと指示を出しながらも、一ヶ所には留まらない。

相手が多数なだけに、囲まれるとやっかいだ。
しかし群れを成していれば、それだけ個々の動きは制限される。
攻撃した場合に仲間を巻き込んでしまったり、逃げる場合も、上手く身動きが取れないのである。


攻撃をかわし、時には蹴りや拳で叩き落としながら、二匹の様子を見る。

天空は、かなり喜々とした表情である。
こちらの指示をしっかり聞き、予期せぬ攻撃にも(心底楽しそうに)対応している。

一方白夜は、普段と変わらぬポーカーフェイスだ。
こちらの指示に自分の判断も取り混ぜ、臨機応変かつ冷静に対応していた。





――――――どっちも、良い反応速度してる。
               かなりのバトルマニアってヤツだね♪




背筋を駆け抜ける、ゾクゾクするくらいの緊張感。
神経に形容しがたい嬉しさが走り、気分が高揚していく。
大気に満ちる、殺気さえも心地良い。

肌をひりつかせる敵意が、張りつめた空間が。


心を浮き立たせる。




「白夜、“電光石火”!」

いつしかの口元には、不遜な微笑が浮かんでいた。
指令を下しながら、背後に忍び寄っていたスピアーに、振り向くことなく肘鉄を加える。

段々と、その数を減らしていくスピアーの群れ。
しかしそれに反して、天空にも白夜にも、疲労の影は無い。


この調子で行けば――――――











                       『――――――!』












悲鳴。

聞き逃しそうな程小さな其れが、の思考を中断させた。
ほとんど反射的にその声の主を捜し―――――――



悲鳴の主を見つけた途端。
考えるよりも先に、身体が動いた。

滑り込んで小さなその身体を抱き上げ、転がる。





ガガガガガっっ!!!





つい一瞬前までいた場所を、スピアーの“ダブルニードル”が抉る。
さらに追撃をかけようとするが、どこからともなく飛んできた仲間の身体に弾き飛ばされ(そしてそのまま近くの樹に 叩きつけられて)阻まれる。

「ひゅぅ・・・・・」


片手で帽子を押さえ、息を吐く。
――――――すでに、スピアーは全滅していた。



 ■   □   ■   □



「ごくろーサマ、お二人さん☆」

片手で帽子の位置を直し、戻ってきた二匹をねぎらう。

『あー、張り合いねぇ連中だったぜ!』

多少不満が残る表情の天空が、ぶんぶんと腕を振り回しながら言う。
それに白夜が頷き、

『同感だ。それはそうと、そいつは何だ?』

に抱かれている存在に、視線を向けた。
その視線には、微量ながらも不快の色が滲んでいたのだが―――――気付かず、はのんきにああ、これ?と答え、

「んー・・・拾った?」

『なんで疑問系なんだよ!?』

「さあ」

『即答か』

即座に入った突っ込みを、あっはっは!と笑ってごまかす。
真面目に答える気は欠片もないらしい。

『あ、あの・・・・・・』

「んにょ?」

腕の中から響いた、か細い、可愛らしい声。
いっそ儚げな感さえあるその愛らしいソプラノの声に、初めては、腕の中から見上げる其れに視線を落とした。

腕の中にいたモノ――――それは、



「――――わぉ」




美しい、鮮やかな紫の色彩のキャタピーだった。
・・・・・うーん。助けたの、とっさだったから気付かなかったよ(←鈍いわ)


ー、なんだ?それ』

『ポケモンである事は確かだろうが・・・初めて見たな』

しげしげと、もの珍しそうに見つめる天空と白夜。
その視線に、びくりっと紫キャタ(略)が怯えた様に震える。

「まじまじ見ない!怯えてるっしょ」

二匹の視線をたしなめ、安心させるように、優しくキャタピーの背中(?)を撫でる。
あーあー、怯えちゃってるし。

「二人とも、マジで知んないの?」

キャタピーは、かなりポピュラーなポケモンだ。
まぁ確かに色違いは珍しいけど、見た事くらいは有ると思うんだけど・・・・・・・



『ポッポとかならあるけど、そいつは見た事無ぇ

『ケムッソに似ていなくもないが・・・変種のたぐいか?



本 気 だ ー !(驚愕)



うわMAX本気で言ってるよこいつ等!
何故に!?こんなポピュラーでありふれたポケモンなのに!

「・・・・・・・・あ、そーいやホウエンってキャタピーいないっけ」



謎はすべて解けた!(by金●一/冷静に考えれば解る事だろ/つーか謎って程でも無いし





納得するとキャタピーを持ち直し、身体を看てみる。
・・・・・何か震えているが、それはまぁ、人間に触られているせいだろう。決してあたしに脅えているのではないはずだ。
OHワターシトテモぜんりょーなイッパンジンですネー。うん、野生ポケモンだから人間に馴染みがないせいさきっと。

「―――ん、ケガは無し・・・っと」

外傷が無い事を確かめ、地面に降ろす。
そして、未だに震えるその頭を、出来るだけ優しく撫でてやった。

「じゃね。ホント、巻き込んでゴメンよ?」

『珍しく殊勝な態度だな』

『うわ、素直ー』

からかうように白夜が言い、感心した様子で、天空もそんな感想を口にする。
ケンカ売ってんのか、おい。(特に天空!)

「・・・・天空は土下座しとけvv

『限定っ!?』

「だいたい、あんたが最初にスピアー刺激したんじゃん!」

『・・・その後挑発してなかったかお前』

お前が原因!と言わんばかりにびしぃっと指を突き付けてのの台詞に、半眼で突っ込む白夜。
チッ、覚えていたか(←うやむやにする気だったのかお前)

過去にこだわるなv

『んじゃオレのもこだわるなよ!』

「ふっ・・・甘いね。他人の不幸は蜜の味って言うっしょ!」

『なにげに最低ぇだなオイ』

『微妙に使い時も間違っているしな』


そこかよ。

そんな細かい事はつついちゃイヤン☆ とでも言ってやろうと口を開き―――――


『あ、あの・・・・』

か細い声に、遮られた。
見ればそこには、未だにその場に佇むキャタピーの姿。
首を傾げ、近くにしゃがみ込む。

「ん、何?」

先を促され、戸惑ったように瞳を揺らしながら――――――口を開いた。

『どうして、助けてくれたんですか・・・・・?』

「んー・・・・・」

途端に困ったように眉を寄せ、頬を掻く。
あの行動に、特に意味など無い。
意識して、というよりは・・・・・ほとんど、反射に近いだろう。

あえて言うなら―――――


「・・・"助けたかったから"・・・・・・・かな?」


・・・・・我ながらクサイ台詞だ。

うわー言ったこっちが恥ずかしいし!
他に言葉は無かったのかあたし!!つーかこのシリアスめいた空気が重いよ!?(言うな)


『―――気持ち悪く、無いんですか・・・?』

「何が?」

首を傾げ、言葉の意味を問う。
どっからどう見ても“気持ち悪い”と言う要素は無いのだが。
あたし虫って平気だし?(ゴキ●リも平気なのさ!/←すごい自慢そう)

『わたし、です・・・・・・・・・・・だって、いろ、こんなのだし・・・・・

だんだん、小さくなっていく声。
それに、不思議そうに瞬きして(帽子があって見えないが)言う。

「いい色じゃん?夕暮れ時の雲の色みたいで」

キャタピーの全身を彩る紫。
其れは、日が沈んでいく空の、濃く、深く沈んだ・・・・落ち着きのある紫紺の色彩。

気持ち悪いというよりは、むしろ奇麗と言えるだろう。

『・・・でも・・・・・』

なおももごもごと呟くキャタピー。
その姿に、悟る。




――――――ああ、そっか・・・この子は――――――――




「・・・"違ってる"事は、一つの個性だよ。
誇りに思えばいいんだよ。せっかく、綺麗なんだから、さ」


自分で、貶めちゃダメだよ?


その言葉に。

キャタピーの表情が、歪む。
まるで、今まで堪えてきた何かを・・・・・溢れ出させるように。

『――――――っふぇ・・・・っ』

次から次へと、涙を零すキャタピー。
その小さな身体を持ち上げ―――――そっと、抱きしめる。


くぐもった悲しみの声が、いっそう高くなる。

好きなだけ、泣けばいい。
【 涙の数だけ強くなれる 】なんて陳腐な言葉、使う気も無いけど。


それでも、
泣く事で、表に出す事で・・・・・すっきりするものがあるのは、確かなんだから。






きっと、寂しかったんだろう。
受け入れてくれる存在が居なくて。










心なんてモノは、繊細で儚い。

だけど、《他人》はそれを平気で傷つける。
例え言葉だけであったとしても、心は傷つき血を流す。

其れが、予想できる事であったとしても。

知っていて、平気で行える。


それは、多分。

痛みを、その辛さを。



           ―――――――感じた事がない故の、罪。











                     無知である事は、罪ではない。

                   学ぼうとしない事こそが、罪なのだ。














                          『 ありがとう 』














                  < 私 >を、受け入れてくれて―――――











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