目立つ、と言う行為。

それが好きな人間と、嫌いな人間が居る。


あたしはどっちかと言えば・・・・・・目立つの好きな方に入るんじゃないかな?
他人驚かしたりからかったり騒ぎ巻き起こしたりするの大好きですし!(笑)

だから別に、目立つのは嫌いじゃ無い。


どうしてもそこに混じってくる、勝手な性格判断が嫌いなだけだ。
第一印象なんかは、けっこう強固だったりする。



見た目に囚われていては、本質は決して、見抜けないのに――――――







      【 犯罪者にクラスチェンジvv −前編− 】






はぁ。

軽くため息をつく。
それに伴い、周りからも何やら感嘆(だろう、多分)を含んだ吐息が漏れた。

ぴくりと眉宇を寄せ、辺りでこちらを見ている者達に視線を向ける。
赤くなって下を向く者、ぼうっとした顔でこちらを見ているままの者、照れた笑顔でぶんぶんと手を振ってくる者 など、反応は実にさまざまである。

それに反応することはせず、は再度、面倒そうなため息をついた。

「しっかし・・・・・・」

周りには聞こえない程の小さな声で、呟く。
その声には当然ながら、全身全霊を込めた面倒・タルい・ウザいのスリーニュアンスが含まれている。

「目立つねぇ」

なんとなく、黄昏れ気分で空を見上げる。
薄曇りの空は、自分の気持ちを忠実に再現しているようで微妙にムカつく。

まぁこれで晴天だったとしてもムカついただろうけど!(笑)


いや意味は無いけど。
無性に空がムカつく事ってあるよな!(無駄に爽やか)


道ですれ違う人間の大半が(つーかほぼ全員が)彼女の方を見て、何やら色んな反応示して去っていく。
老人・・・はまぁまだマシとして。
同性異性問わず、しかも元気なお子様sまでもこっち見た途端に魂抜かれたようにほけっとした表情になる。


そこまで美人ですかこの姿!?(確かにあたし自身ちょっと見惚れたけどさ!!)


お前の美人の基準が高すぎるだけだ(By作者)


そこまで反応しなくてもいいだろ・・・?
こうも注視されているとはっきし言って、監視されてるような気分だ。

マサラは人が少ない事や時間帯の関係もあって、かなり視線は少なくて済んだのだが。
ここまで来ると、うっとーしい以外の何物でもない。

「見せ物じゃないっつーの」

気分はすでに、オリの中の珍獣である。
毒づいて、フレンドリィ・ショップに入る。

さいわいにも店内には客が少なかったので、視線の嵐は免れた。



 ■   □   ■   □



店員の視線を綺麗に受け流しつつ、陳列棚にある品を物色する。
いやぁ、店内で売ってるのがめっちゃおもしろ珍しいよ。

ポケモン世界万・歳!(喜)

「えーっと・・・キズ薬とあなぬけのヒモだけでいーよねぇ?」

ちょい、と視線をモンスターボールへ向ける。

『俺に聞くな』

不機嫌そうな冷たい声で答える白夜。

・・・・・・はて、何でこんな機嫌悪いんだ?
いつも(って言ってもまだ付き合い短いけど)より悪いぞ、これ。

「やだねー冷たい子だこと。おかーさんは悲しいワ・・・・・」

内心首を傾げつつ、よよよとおどけて見せる。
うん、周りの視線がうざいけどまぁ無視の方向で!(笑顔)

貴様に産まれた覚えはない

「奇遇な事に、あたしも産んだ覚えがない」

即座に返ってきた返答に、大げさに肩をすくめる。

その時。
何か黒いモノが、視界に写った。

「お、帽子だ。こんなのも売ってたんだねぇ」

手に取り、色々角度を変えて検分する。
多分、あたしには大きいだろうと思われる、漆黒の帽子。

言ってしまえば、大量消費されるような単なる安物。

【 シルフカンパニー 】と明記され、値札の付いているタグには“防水仕様”と書いてある。
へぇ、シルフってこんな事までやってんのかー・・・意外に幅広いでやんの。

ゲーム内では、R団にビル乗っ取られたりマスターボール提供したりするぐらいしか考えられないが。
ぽふっとかぶり、備えつけてあった小さな鏡を覗き込む。
そこには、かなり怪しいヒトがそこに居た。

なんたって、着てるのが全て黒だ。
しかも帽子のつばに隠れて、鏡には顔の下半分しか映っていない。


・・・・・・訂正。


かなりどころか怪しさ大 爆 発v




「――――――ふむ・・・・・・」

まじまじを鏡に映る自分を見て、呟く。
そして何やらニヤリと笑みを浮かべ、帽子を取ると、ランランラーン♪と冷静な人ならちょっとヒく ような楽しげな足取りで、はレジへスキップしていった。



 ■   □   ■   □



トキワシティポケモンセンター。
そこに入ってきた人物を、数人が何気なく見て――――――――



その全員が退いた。



「オイ・・・あれって犯罪者じゃ無ぇの?すっげー怪しい!!」

「てか何故全身黒ずくめ?」

「やだ、何しに来たのかしら・・・」


即座に顔をそらし、そばにいた人物とひそひそつつき合ったり無意識に突っ込んだりする一同。
言われて気付いたり、何となくそちらを見た人間も、同じ様な行動を取る。
しかしその渦中にいる人物はと言えば、それをさして気にしたふうでも無かった。

すたすたとジョーイに歩み寄り、ポケモンの回復をしてもらう黒ずくめ。
にこやかな天使の笑顔を1ミリたりとも微動だにさせないジョーイ。

この瞬間その場の全員が、ジョーイを尊敬する恐れを抱くかをした。

回復してもらったポケモンを受け取ると何か会話し、軽く一礼する。
そして、黒ずくめは廊下の奥へと姿を消した。



 ■   □   ■   □




「よっしゃ、思った通り☆」

部屋に入って白夜を出すなり、勝利のオタケビ(←何に対してだ)を上げる
どうやら、あの状況をかなり楽しんでいた様です。

『確信犯か』

「おふこーっす!」

ツッコむ白夜に、親指押っ立て笑顔で即答。
いつの間にか白夜の声から不機嫌な感じが消えていた。

やっぱ、視線がウザかったのかな。
うん、だって帽子かぶって路地出た辺りから何か雰囲気やわらいだし?

間違いない!(はずっ!)

勝手に自己完結し終わると、もう一つのモンスターボールを取り出す。
そう。
あの、レッド達と一戦やらかしていた、青いポケモンの入っているボールである。
扉に鍵を掛け、白夜に向かって笑いかける。

「もしもの時は、フォローよろしく♪」

『フン・・・無用な心配だ』

その、ぶっきらぼうだが心強い返答に、は更に笑みを深め、ボールからそのポケモンを出した。
その途端に、そいつは二人(正確には一人と一ポケ?)と距離を取る。

その行動に、楽しそうに目を細めると――――――は、その視線をタツベイへ向けた。
すぐそばの簡易ベッドにぼすんと腰掛け、足を組んでほおづえをつく。

「さーて。あんたに聞きたい事があるんだけど――――――答えてもらえるかな?」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

奇妙に笑みを含んだ言葉に、しかし返事は返らない。
明らかにふて腐れた表情で、タツベイは無言で視線をそらした。
凍てつく視線はそのまま、白夜がわずかに殺気を漂わせる。

それを制する事もせず、更に笑みを深めて問う。

「あたしの記憶が正しければ、あんたの生息地はホウエン地方流星の滝。
ところが、ここはカントー地方の片隅だ。・・・・・・・・・さて、本来いるはずの無いここに、どうしているのかなー?」

むしろ楽しそうですらあるの問いに、タツベイは答えない。
その代わり、更に白夜の無言の殺気が強烈なものになったが。

しばし、沈黙が部屋を支配する。



『――――――っあーもう分かった答える!答えるからその殺気引っ込めろって!!』



無言の圧力に、とうとうタツベイが折れた。
少し高めの、悲鳴の様な声が部屋に響く。

へぇ、こーゆー声かぁ。
なんか声の感じが少年っぽいな・・・元気ハツラツ!みたいなタイプ。
白夜は少年って感じが全く無いしなー、やっぱり進化したら声も低くなったりするのか?
あ、でも白夜進化しねぇや☆(アッハー!)

くりっと首を動かし、未だ殺気を収めない白夜に声を掛ける。

「だ、そーだよ。いーかげん、その殺気引っ込めてあげたら?」

『・・・分かった』

ちらりとこちらに視線を向けて(何故か)ため息をつくと、白夜はの足元に来てうずくまる。
もちろんタツベイに何かする気配があれば、すぐさま襲い掛かる気満々☆のご様子だが。
それが分かったらしく、ちょっと引きつった顔になるタツベイ。

うーん・・・こればっかは何ともなんないよなー(苦笑)

きっと、白夜に威嚇を止めるように言っても無駄だろう。
基本的に自分の意思を貫くタイプっぽいし。

「・・・・・・気にしないでいーよ。そっちから襲ってくるんならともかく、こっちからは絶対攻撃しないから」

苦笑混じりに促すと、少しほっとした顔でうなずいた。

『確かに、オレは流星の滝出身だ』

あ、やっぱりそっか。
あそこしか無いしなータツベイの生息場所って。

「それが、どうしてあんなトコに?」

問うと、何となく言い辛そうに目をそらすタツベイ。
しかし白夜に睨まれ、しぶしぶといった様子で、また口を開いた。

『オレ、よく人間の町に遊びに行くんだけど・・・こないだその帰りに、鳥ポケモンに捕まっちまってさ』

「・・・・・・ふんふん?」

一瞬「攫われたって・・・餌にする気だったのかその鳥ポケ。 つーか人間の町に遊びに行くなよ野生ポケモン!」という考え(突っ込み)が頭を横切ったが、 取りあえずそれは口に出さずに先をうながす。

うん、良くこらえたあたし!

微妙に方向性がアホらしくなってきたのに気付き、寝る体勢に入っている白夜。
すでに付き合う気は皆無に等しいらしい(寝てはいないけど)

『そのまま連れてかれるのもヤなんで、足に噛みついたら落とされて。
でも落っこちたとこで、また別の鳥ポケモンに捕まって連れてかれて――――――』

「・・・んで、最終的にあそこに落ちたと?」

『まーな』

どっかのマンガか。

あー・・・なんか頭痛してきた。
どこぞのお姫様かもしくはヒロインですかお前。

『・・・・・・・・・・・・・・呆れた話だな』

心底脱力した様子で呟く白夜。
うんまぁ、これじゃ話したがらんわなー。

くしゃりと前髪をかき上げ、天井を見上げた。
その時、ふと頭をよぎった考えに、眉を寄せて視線を戻す。

「まさかとは思うけど・・・さっき子供らを襲ってたのって、八つ当たり?」

『冗談!んな見境無ぇマネ、するワケ無いだろ!!
あの、お前が助けたヤツ!あいつと居たガキのかたっぽが、石投げてきやがったんだよ!』

さすがにこれには憤慨して否定するタツベイ。
まぁ要するに、ケンカを売られたので買ったらしい。

『・・・成る程、筋は通ってるな』

多少、感心した様子で白夜が呟く。

「だね。――――――で、最後に一つ」

びしっ!と人差し指を立て、にやっと笑う。
これで質問(尋問?)は終わりだと思っていたタツベイは、とたんに不審そうな顔になる。
白夜は言いたい事を察したらしい、わずかに渋い顔になった。


「あたしと一緒に来る気は無い?」


『・・・は?どーゆーイミだそりゃ』

ますます不審そうな表情で、タツベイが問う。
うーん、それは一体何処の部分についての疑問だろう。

1.【 ゲットされたんだからオレはお前のモンだろ 】的な意味!
2.【 何でお前なんかに付いてかなきゃなんねぇんだよ!?冗談も休み休み言え! 】な意。
3.【 え、オレが選んでいいのか? 】な事を意味!

さぁどれ!・・・・・・ってまー多分全部かな(そんな感じがするし/矛盾したオトコゴコロってヤツだね!)

「ポケモンって、ゲットされたら、その相手についてかなきゃなんないじゃん?
たとえイヤイヤだったとしても。あたしとしては、強制したくないんだよね、そーゆーのって」

相手の意思を無視する事はしたくない。
せっかく言葉が通じるんだし、どうせなら自分の意思で仲間になって欲しいしね?

「だから聞く。あたしの仲間になってくれないかって」

『・・・もし、オレがヤだっつったらどーすんだ?』

「別にどうも。
故郷に帰りたいんだったら、帰る手伝いくらいはしたげるし。
帰る気がないんだったら、この先のトキワの森か、どっかあんたの住みやすそうな所で放したげるよ」

さらっと言い切ったその言葉に、くくっとタツベイが笑みを漏らした。

『変わってるって言われるだろ、お前』

その言葉に、唇を吊り上げる。
言われ慣れてますし?それ系の言葉って。

「今更言う様なヤツは知らないね」


『――――――いいぜ、仲間になってやるよ』

まるで挑発するような言葉。
しかしはその返答に、微笑をさらに深くしてみせた。

「なかなか言うねぇ。
あたしは。んで、こっちは白夜。これからヨロシク♪」

『おう!よろしくな!!』









『おい、オーキド博士に電話しなくていいのか?』




・・・・・・・忘れてましたv (滝汗)






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