あたしは何で、すぐにその事実に気付かなかったのだろうか。 とても単純な事だったのに。 うかつ、としか言いようがない。 期待と好奇心で目先のモノしか見えないのは、後悔を招くと知った。 まぁこの事態自体、あたしの好奇心の産物だけどな!(笑い飛ばせ自分!!) あっはっはー・・・・・・って、 うんまぁどうしよっかお風呂って(あきらめろ) 【 家無し宿無し金はある。 】 「よっしゃ抜けた――――っ!!」 あの後何回かのバトルを終え、そして何時間となく放浪した後、とうとう街にたどり着きました。 感激のあまり、思わず叫んじゃいました☆(えへ) そんなあたしに、続いて現れて冷ややかに突っ込むアブソル。 『叫ぶな。五月蠅い』 「アブソルってば冷たいなぁ、おねーさん泣いちゃうっ!」 よよよ、とわざとらしく泣き崩れるとアブソルが舌打ちする。 『やめんか鬱陶しいっ!』 「ちっ冗談の通じんヤツだ」 ぺろっと舌を出し、何事もなかったかの如くさっさか歩き出すあたし。 嘘泣きでも充分鬱陶しいとぼやくアブソル。 ひょっとして泣かれると弱いのか? ふっとそんな考えが浮かぶ。 イヤでも黙れとか言ってカマイタチ跳ばすか無視しそうな気も・・・・・・ 『お前の冗談は寒いんだよ』 アブソルが呆れたような、疲れたような声で言い切った。 初顔合わせから数時間。 いっしょに歩いた甲斐もあって、お互いに少し、信頼が生まれた・・・様な気がする。たぶん。 まぁ少なくとも、最初の冷ややかなトゲは無くなったようだ。 馴染んだかもしくは呆れてるかのどっちかだろなー呆れてる方かなうん。 ま、人様を自分のペースに巻き込むのって得意だし? 薄く唇を笑みの形にし、空を見る。 まだまだ明るいけれど、西の方はうっすら赤く染まってきている。 きっと、すぐに沈んでしまうだろう。 「早めに泊まるトコ、見つけないとなー」 ぼそっと呟き、すぐそこに見える街に視線を戻そうとして―――――ふっと、横のアブソルをちらりと見る。 同じように街を見つめる彼が浮かべているのは、紛れもない嫌悪の混じったモノで。 ・・・・・・ここでお別れ、かな? この表情だと、ついてきてくれと頼むのは無理だろう。 絶対断るって、これ。 あーあー・・・アブソル欲しいんならホウエンまで行けって事かなー。 口には出さず、残念な気分でぼやく。 確かに、無理強いしようと思えばする事もできる(モンスターボールあるし) アニメのサトシとピカチュウみたいに、旅の中で育むモノもある。 だけど。 こいつは、人間が嫌いなんだと気付いているから。 いっくらこいつが気に入ったからって・・・・・・無理矢理は、ねぇ? そんな事して手に入れても、空しいだけだ。 こいつも、あたしも。 「アブソル、ここまでついてきてくれてありがとねー」 にこっと笑ってそう言うと、何故かアブソルが驚いた気がした。 ・・・はて?あ、お礼言ったからか!?そうなのかっ!? 言わない程礼儀知らずじゃないぞあたし!! (失礼な!) 「約束。近くの街までって言ったじゃん」 『―――――・・・・・・あ、ああ。そうだったな』 なんか歯切れ悪いなアブソル。 あの斬って棄てる冷ややか突っ込みはどうした? まじまじとアブソルを見る。 こちらを見上げ、冷ややかで鋭い――――それでいて困ったような、何かを持て余しているような雰囲気で。 深い紅の瞳が、こちらを見返す。 ・・・すいません触っていいですか抱いていいですか悶えていいですか?(NO!) うわなんかヤバイよ?アブソルが! 何だかすごい可愛く見えるようわなにその子犬のような目!反則反則っっ!気付いてないだろ自分でも!?(暴走中) 悶える自分を無理矢理押さえてなだめすかし、一番冷静な部分を回転させる。 んーっとこれってひょっとして・・・ 駄目で元々、と割り切り、しゃがんで手をさしのべる。 「・・・・・・・・・一緒に来て、くれる?」 目を見張り―――――アブソルは、躊躇った・・・・・・と言うか、迷ったようだった。 本当に、この人間についていくかどうか。 あたしに何を感じたのかは知らないけどさ。 それに正直な所・・・こいつの事は、かなり気に入っている。 出来る事なら、一緒に行きたい。 だからは、きっと、彼の後押しになる言葉を口にする。 「人間に付き合うのが嫌になったら、いつでも自由にしてあげる。 だからさ、――――――― 一緒に来ない?」 その、一言に。 小さく―――――本当に小さく、初めて見る笑みを浮かべて、アブソルがうなずいた。 『・・・・・・・・・ああ。付き合わせてもらおう』 「じゃ、決まりだ」 よっしゃアブソルゲットー!(喜) 心の中でガッツポーズ&勝利のVサインを出す。 そんなに、笑いを含んだ声で、アブソルが続けた。 『お前は放っておくと、何をしでかすか解らないからな』 「ひどっ!」 きっと、こいつは一生の相棒になる。 そんな予感がした。 ■ □ ■ □ モンスターボールにアブソルを収納したは、ふらふらと町中を歩き回っていた。 外見が外見なだけにかなり注目を集めているが、気付かないフリで通す気らしく気にも留めない。 「まずは、ポケモンセンター探さなきゃだよね〜」 たしか、トレーナーなら無料でポケモンセンターに泊まれるはずだ(前にアニメでやってたし!) きょろきょろと辺りを見回す。 が、それらしき建物は見あたらない。 ふと、看板が目にとまる。 「えーっと何々・・・『ここはマサラタウン。マサラは真っ白汚れ無き色』・・・・・・・・・」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(思考停止) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・狽ヘっ! 「うーわぁー・・・マジ?」 ゲーム中では、マサラにポケモンセンターが無いのは 常識中の常識 である。 つまり、 ここはマサラタウン=野宿確定☆ ぐっばい柔らかいお布団。 こんにちは堅い地面。 ・・・せっかく言葉解るんだし、野生ポケモンにでも道聞くべきだったかなー・・・ いやぁうっかりうっかり。 「・・・ま、いっか」 なにせ所持金三千円の現状だ、装備を整え終わるのは確実に遠い未来だろう。ノン装備野宿確定。 ノーガードは正直痛いが、まぁ要するに慣れが肝心☆と言う事だ。 今の内に慣れておけばよし。 それにこれくらい、たまにある事だしな!(笑顔) なつかしいなぁ放浪先で凍死しかけて通りすがりの親切なおじーさんに救出されたあの日(えぇ!?) まぁよくある話よくある話。(常人はそんなサバイバルしません) そういや、ここにオーキド博士の家があるんだっけ。 せっかくだし、生で見てみよう。 好奇心の命ずるままに、オーキド研究所を尋ねる事にした。 ■ □ ■ □ 「へー・・・ここがオーキド研究所かぁ」 なんか感激☆・・・するワケ無し。 思ったより普通だし。 ちんまりしてるし(でも普通よりは大きい) つーかんちの方がでっかいよなーうん。 それになんと言っても普通だし。 ちきしょうっ!期待して損したっっ!!(←何を期待した) 「あら、お客様かしら?」 声をかけられ振り向くと、そこにいたのはどっかで見た事のある女の人。 長い濃い茶の髪に、柔らかそうなワンピースの上から、ポケットのいっぱいついた上着を着ている。 穏やかそうな美人のおねーさまだ。目の保養な人種なので是非ともお茶に誘いたいところ、なのだが。 ・・・・・・どっかで見たような? だれだっけ・・・・・・? 「いや、単なる通りすがりの者です」 内心首を傾げつつ、とりあえず否定。 ここに来たのって純粋に好奇心湧いたからだし。 いろいろ質問されても面倒なので、さっさかその場を立ち去ろうする。 それに何かあたしの第六感が、ヤバイと告げてる気が・・・ 「うふふ、遠慮しなくて良いのよvvv」 「いやしてませんし」 てゆうか何故そんなにがっちり掴んでるんですかね? 放してくれる事切に希望。 うふふv イ・ヤvvvvv 即答かよ。てかその笑い方ヤメテ。(何かコワイ何かコワイ) かくして。 何故か研究所へ 何でなぜなにゆえに?あたしなんかしましたかっ!?(知らねぇよ) ・・・・・・あ、そーいやこの人ってナナミさんだーあー思い出したよ(←遅い) ■ □ ■ □ ドーナドナドナド〜ナ〜♪売られていぃ〜くぅよぉ〜(演歌調) てな気分でナナミさんに引きずられ(すごい力なんだよー!逃げられないー!!)、オーキド研究所突入なワタクシ。 ふふふ、仔牛の気持ちが分かった気がするよ・・・・・・(遠い目) そのまま連れてかれた先は、応接間っぽい部屋だった。 「おおナナミ、帰ったか。・・・ん?その子は・・・・・・?」 お決まりと言うべきか予想通りと言うべきか、出てきたのはオーキド博士。 おおー、白衣!じっちゃん!なんかゴツい!!漫画とかゲームの通りだこの人!!! モノホン!モノホンの博士だよ奥さん!!(←誰) 「表にいたので、 笑顔が怖いです。 ってか果てしなく黒く見えるのは気のせいですかナナミ嬢(汗) そして今なんか重大な言葉が隠れていらっしゃいませんでしたかねってすいません嘘ですあたしの聞き間違いですねそうですね!いやだなそんな年でもないのに耳遠くなっちまったぜアッハッハ!! 「ほほう、そうか」 一言で済ますかオーキド博士。 気にしようよ!突っ込むとこだろそこは!? 今色々裏でドラマがあったぞ突っ込めよ注目しろよてか助けてくれよ頼むから!! 猫の子みたいに吊り上げられて、ソファーに置かれる。 にっこり笑顔で「逃げちゃダメよv」 と脅し・・・もとい注意するナナミさん。 何でそんな違和感無いぐらい迫力あるんでしょおか(滝汗) オーキド博士とあたしの前に、ナナミさんがお茶を置いた。 「ところでお嬢ちゃん、名前は何と言うのかな?」 「・・・ と言います」 お茶に薬とか盛ってないよなと警戒しつつ、素直に名乗る。 この世界って、名前と名字の関係がよく分かんないんだけどなー・・・これでいいよな? 「ほほう、変わった響きの名前だな。 ワシはオーキド ユキナリと言う。知っておるかもしれんが、ポケモンの研究者じゃ。 ところで、君は見たところポケモントレーナーのようだが、急ぎの旅かな?」 「いえ、そーでもないです。 いろんな所を見て回りたくて、ブラブラしているだけですんで・・・・・・・・と言っても、つい最近旅に出たばかりですけど」 多少本音も交えて、でまかせを言いつつ(何も盛られてはいないらしい)お茶に口を付ける。 本当の事を言う気は無い。 信じてもらえるどころか電波の国の住人と間違われる事確実だし。 人間として、それだけはさけたい所である。 この歳で精神病院行きは遠慮したいしな! 「そうか。では一つ、年寄りの頼みを聞いてはくれんかね?」 ・・・・・・えぇっと。 解りましたから「断ったらブッ殺すv」的ドス黒いオーラとばさないで下さい(だらだら) 口調はっ!柔らかなのにっっ!(滝汗) 怖い怖いマジで怖いよ助けてくれぇぇぇ(しくしく) ナナミさんの腹黒さってこの人ゆずりか・・・? ・・・・・・・・・血は争えんな。 「・・・・・・出来る範囲であれば」 慎重かつ無難そうな答えを口にしつつ、内心やっぱ来たのが間違いだったかなぁと呟く。 つーかそのブラックオーラ収めて下さい怖いです(泣) 表面ではポーカーフェイスを保つものの、流れ出る脂汗は止まりませぬ(ガマの油きぶんー・・・) どんな無理難題言われるんだろう。 「これを見てくれ。これは、ポケモン図鑑と言う物なのだが――――」 そう前置きしてオーキド博士がテーブルに置いたのは、懐かしの赤いポケモン図鑑。 ただし、妙にごてごてした、ゴツい造りをしている。 うわぉメタリックー。 「これを完成させて欲しい」 ぶっっ 驚きのあまり、思わず吹き出した。 「あらあら、気管に入っちゃったのかしら?」 ごほごほと盛大に咳き込むあたしを見て、にこやかに言いつつテーブルを拭くナナミさん。 咳き込むあたしを気にする事なく続ける博士。 「正確には、これはまだ試作品なのでな。 使ってみて、扱いづらい所や、欲しい機能などを知らせて欲しいのじゃ」 あ、そーゆー事か。 あーよかったよかった、本気で完成依頼されたのかと思った。 「げほっ・・・・解りました。いいですよ」 なんか面白そうだし。 なにより、請け負わないと無事に帰れない気がするし(怖) 「そうか。お礼を言わせてもらうよ」 「いえ、あたしも興味あったし」 あたしはまだ命が惜しいし!(真顔) うん何て事ないさ、五体満足でここを出るためなら! 「そう言えば、オーキド博士にはお孫さんがいると伺ったのですが・・・」 話も綺麗にまとまった所で、さり気に話題転換を試みる。 ちょっと興味あるし。 それに、今が<いつ>なのかと、<どのポケモン世界か>を確認しとかないとね。 「ああ、グリーンの事かな?グリーンなら修行のため、ジョウトのタンバジムに行っておるぞ」 『グリーン』、そして『修行のためにタンバジムに行っている』って台詞。 そしてここに来るときの扉の事を合わせると・・・・・・ ・・・・・・・・・ここはポケスペの世界って事か。 どーせならサトシとかシゲルに会いたかったかも。 選択、間違ったかな。 その後、どうでも良い様な雑談をへて、オーキド家に泊まっていく事になった。 やったぜお風呂と柔らかお布団ーっ!(喜) ■ □ ■ □ 「あー・・・つっかれたぁ・・・・・・」 おいしい手料理をごちそうになり、あったかいお風呂にじっくりつかると、どっと一日の疲れが身体を支配する。 それに逆らう事もなく、割り当てられた部屋のベットに勢いよくダイビング。 もぞもぞお布団に潜り込みながら、雑談の中から判った事をざっとまとめてみる。 その1・ここはポケスペの世界である。 その2・話によると、グリーンとは4歳差(あたしが中一、あっちは本編開始時点で10歳だし) その3・2から推測すると、今はポケスペの話の始まる一年ちょっと前くらいらしい。 「うーん、4歳差かぁ」 完全にショタですなvv( そ こ か ) どうせなら年齢10歳で設定すりゃ良かったか。 一日でいろいろありすぎた反動で、壊れてきた気がします(いや元からだ) せめて安らかな夢を見れる事を期待しつつ、あたしは意識を手放した。 TOP NEXT BACK ナナミさんやオーキド博士のファンの人ごめんなさい。愛はあるんだ。 |