迷子の迷子の子猫ちゃんー♪ あなたのおうちは何処ですかー♪♪ やっぱりと言うべきか何と言うべきか、ゴールド少年(仮)は本物だった事・判明! つーかこの子迷子ですよ迷子の子猫ちゃん☆だったようわお!!(←何) ポジション的にはい・ぬ・のーおまわりさん♪なあたしこと 、母猫探しにれっつごぅ!! ―――――の、前に買い物済まそうと思います☆(笑) 【 世界って狭いよね −後編− 】 戦闘中の素早さアップの“スピーダー”。 特殊攻撃力が上がるのは“スペシャルアップ”で、“エフェクトガード”は能力低下の防止用。 他にもポケモン捕獲の“モンスターボール”に、これは旅の必需品です“キズ薬”。 便利な道具は多種多様。 幾らだって揃えてあるし、見て回るのは楽しいけれども。 やっぱり買うのは最低限☆が旅の基本です重いから。 「えーっと・・・・あーやっぱキズ薬のいいのは高いな、一個700円ってもっと安くなんないのかね、これ。 つーか前から疑問に思ってたんだけど、どーして“ピッピ人形”で気がそれるんだろうな野生ポケモンって」 買い物カゴを片手に、真剣に一つ一つ検分しつつ選ぶ。 バトルで結構金を巻き上げている―――――相手は選んでいるが―――――ので懐具合は非常に豊かなはずなのだが、それでもお金を惜しむのは、いつどこで大量の出費を強いられるか分かったもんじゃないからか、はたまた少しでも節約して遊ぶつもりだからなのか。 どちらにせよ、黒ずくめで怪しい彼女が買い物カゴを持っているサマは似合わない事この上なかった。 似合わなさすぎて、笑える通り越して逆に恐怖感すら覚える程である。 『そりゃやっぱ、いきなりそんなモン投げられりゃ気になるからだろ?』 『目先の敵を優先する奴もいるだろうがな』 「あー、確かに。逆に警戒心を抱く奴もいるだろうしねー」 うんうんと頷きながら、“何でも治し”を手に取る。 えーっと“毒消し”100円で“麻痺治し”200円、“眠気覚まし”“火傷治し”“氷治し”は250円。 バラで買った方が安く上がるけど・・・・そうするとかさばるんだよねぇ、どうしよ。 近くでウロチョロしているゴールドとエイパムのえーたろうは気にせずに、“毒消し”以外は全部“何でも治し”にしとこっかなーと呟いて、ひょいひょいとまとめてカゴに放り込む。 モンスターボールのストックもほとんど無く、せいぜい3個ぐらいだが・・・・・・・まぁ、どうせ捕獲に力を注ぐつもりは無いから問題は無い。トレーナーとの戦闘が多いので、むしろキズ薬の方が需要が高かったりする。 “元気の欠片”も買っとこっかなぁでも高いしなぁとぼやきつつ、2個ほどカゴに放り込んで。 「おーいゴールド、エーたろうー。 そろそろ精算に・・・・・・・って、どしたの。その帽子」 「へっへー!にあうだろー!?」 きょとん、として首を傾げるに、鏡を覗いていたゴールドは、誇らしげに胸を張る。 何とも得意そうな彼の肩の上で、うんうんと頷くエイパム。 「まぁ、確かにね」 微苦笑を浮かべて、その言葉を肯定する。 彼が被っていたのは、イエローとブラックのツートンカラーをした帽子で。 少し大きめだが、彼自身の雰囲気には非常にジャストフィットである。 ・・・・つうか、このデザインに見覚えがあるよーな気がするのは何故だろうか。 『ゴールドかっけー!』 ひゅーひゅー☆とノリノリで冷やかすエイパム。 それが分かっている訳でも無いだろうが、それでも「へっへー♪」と嬉しそうなゴールド。 ノリいいな、エーたろう。 「・・・・・買ったげよっか?」 しばしそんな二人(一人+一匹)を見ていたが、ふと、何となく提案する。 いやぁ、何かすっごい気に入ったみたいだしさ。 気分はさしずめ有閑マダム?(笑) よしよし、お姉さんが何でも買ってあげるよー・・・・ってそれは誘拐の常套手段か!(爆) その一言に、ぱぁああっとゴールドの顔が喜びで輝く。 反応が素直で非常によろしいです。 「マジっすか!?よっしゃー!!!」 『さん気前いいー!よっ、女の中の女!』 「はっはっは、崇め奉れ」 歓声を上げてはしゃぐゴールド、はやし立てるエーたろうに威張る。 かなり騒いでいる訳だが―――――全身で不審者オーラ出してるような怪しい風貌の彼女に、直接意見してくるだけの度胸のある店員も客もいないようだった。 迷惑そうな視線を受けつつ、意気揚々とカウンターの方へ向かう。 『・・・・・・・・・・』 モンスターボールの中で、白夜がこっそりため息をついた。 ■ □ ■ □ 「で。」 びしっと指を一本立てて、目の前の少年とエイパムに視線を向ける。 大人しく彼女の前に正座(←何故?)する彼等の手には、先程買ったコイキング焼きが握られている。 はむはむとそれを食べながらも、ちゃんとこちらを見るゴールドとエーたろうに向かって、うむ、と頷き口を開く。 「お母さんとは迷った時の待ち合わせ場所は決めていない、そして更に言うなら何処に行くのかも聞いていなかったと」 「うん。母さんが買い物に来たのはまちがいないけど、オレがはぐれたのって買い物のあとだったし」 『こっそりゲームセンター行こうとしたんだよなー♪』 「ほほぉ、それであんなトコで絡まれてた訳か」 エーたろうの言葉に、半眼でゴールドを見る。 今思えば、ゴールドが絡まれていたのは―――――コガネのゲームセンター近くだった。 ああいった場所が楽しいのは確かだが、その反面、ガラの悪い連中も集まってくる。 その眼差しに、居心地悪そうにもじもじしながらゴールドが目をそらす。 往来の隅で繰り広げられるこのやりとりを、道行く人々が興味深そうな視線を向けて通り過ぎていっているのだが。 そこは図太い当事者達、まったく気にしていなかった。 「いや、でも・・・・ふかこーりょくってゆうか、その」 何とも歯切れの悪い口調で、ごにょごにょと言い訳する。 エーたろうはと言えば、ニヤニヤしながら見ているだけだ。 「へー、ふーん。こっそりゲームセンター行こうとしたって辺りからもう、不可抗力じゃなくって天誅って感じだけどねぇ?」 『そーそー・・・・って、へ?』 「やー・・・・あの、そのー・・・・・・・・・・」 ずいいいっっと身を乗り出して凶悪に唇を歪ませる。 同意して、彼女の言った台詞の違和感に気付いたらしい。まのぬけた声を出して、目を丸くするエーたろう。 ゴールドは、どう言い訳しようか考えているらしい―――――――うろうろと目を泳がせる。 その肩から身を乗り出して、信じられない、とでも言いたげにエーたろうが問う。 『・・・・・ひょ、ひょっとして。オレの言葉分かってる?』 恐る恐る――――といった感じで、不審そうにこちらを指差すエーたろう。 『何だコイツ、いまさら気付いたのかよ?』 『・・・・鈍いな』 「はいそこイジメ禁止ー。うん、はっきりしっかりきっぱりと」 モンスターボールの中で、ケケケと意地悪く笑う天空、さらっと酷いコメント吐く白夜を軽くたしなめる。 エーたろうに向かって返された言葉に、ゴールドが意味不明、という表情をして。 「?何がはっきりしっかりなんスか??」 「ああ、こっちの話こっちの話」 『すっげ!オレ初めて会ったよ言葉の分かる人間って!!おいゴールド、この人すげぇぞ!!!』 「わっ何だよエーたろう!?」 首を傾げるゴールドにぱたぱたと手を振ってそう返せば、興奮した様子でエーたろうがばしばしと彼の頭を叩く。 通じてないぶん、面白いモンってあるよなぁとか思いながらその光景を傍観する。 「ま、それはそれとして。そーなるとゴールドのお母さんも、ゴールドの事捜してるだろうね」 仕切り直しの意味を込め、告げられた言葉にげっ・・・と呻いて顔を引きつらせるゴールド。 自分が怒られる様でも思い描いてしまったのだろう。 『ま、自業自得だわな』 やれやれと、エーたろうが笑いながら大げさにジェスチャーした。 自分は怒られないので、いい気なもんである。 「何たってゴールドの親だし、大体行動パターン把握されてるだろうから・・・・・ゲームセンターに行った可能性もアリか」 そっちに行けば会えるかな、とあごに手をあてて呟くと、ゴールドはあああああと悲しそうに呻きながら頭を抱える。 この年頃は、親に怒られるのは怖いもんなぁ。 あたしの親は放任主義者だったけど、やっぱ怒られると怖かったしー、と口には出さずに懐かしむ。 『あっ!』 「うぎゃっ!?」 唐突に、エーたろうが大声を上げた。 耳元での大音声に、びくっと大げさなくらいに反応して悲鳴を上げるゴールド。 『さん、あれあれあの人!あれ、ゴールドのお母さん!!』 「マジ!?」 見つかるの早っ! エーたろうの指す方向に視線を向ければ、そこには微妙に摩訶不思議系な髪型の(あれはサ○エさん並みだって!それ以前にどーやってセットするんだよ一体!!)女性の姿が。 こちらには気付いていないのだろう――――きょろきょろと、誰かを探すように周囲を見回しながらこちらへ向かってくる。 「ゴールドー、お母さん見つかったよ?」 「もうっスか!?」 悲痛な声を出して顔を歪め、じっとこちらを見つめてくるゴールド。 いや、そんな必死な目で見られてもどうにもできないから。 死刑執行秒読み段階の死刑囚のような表情のゴールドを立たせ、ぺんぺんとその頭を軽く叩く。 「ま、がんばれ」 慰めにすらならない事をきっぱり告げられ、がっくり肩を落とすゴールド。 そのうち良い事あるって!と、エーたろうが笑いながら彼の背中を尻尾で叩いた。 大きくため息を吐き出す小さな背中を、ククっと笑って押し出す。 「じゃーねゴールド。しっかり怒られて来い?」 「ういーっす・・・・・」 『そんじゃねー☆』 気が重そうに返事をして、のろのろと母親のほうへ向かうゴールド。 その肩の上で、こちらを振り向いて手を振るエーたろうにひらひらと手を振り返して。 その姿が、雑踏に紛れて消えたのを見届けると―――視線を、空へと向けた。 快晴とは言い難い、薄く雲が広がった空。 まるで曇りガラス越しに見えているような青は、どうにも生彩に欠けている。 「さって、紫苑と氷月を迎えに行きますか」 黒衣の裾を翻し、自然公園に向かって歩き出す。 空に輝く太陽が、薄明るい午後の日差しをアスファルトの上に注いでいた。 TOP NEXT BACK “コイキング焼き”=“タイ焼き” |