窓から差し込む日差しは、どこまでも優しく暖かく。
そして適度な室温湿度と静寂を基本とする空間は、どこまでも心地良く眠気を誘う。

「きゅげぇええー・・・・・・」

何処の怪鳥だお前、てゆうかそれでいいのか乙女の寝言!とでもツッコミたくなるそんな寝言を零しながら図書館の一角で本棚を背もたれに、ぐっすり安眠をむさぼっているのは黒衣の少女だった。
黒い帽子は日差しを避けるためにか、その口元より上をほぼ完全に覆うまでに引き下げられているので表情は分からない。分からないがぐっすり寝ている事だけは、その口元から垂れたヨダレが雄弁すぎるほどにその事実を物語っていた。かなりアホっぽい。
時間にすれば、数ヶ月。
およそ半年という期間は彼にしてみれば長いものだったが、再会に備えて充分に力を貯えるには短いものだった。
記憶とほとんど変わらぬ少女の姿に、少年は口元を緩ませた。
少女の膝の上には、『世界神話全集』とゴシックで記された本が置かれている。
読書の途中で寝入ってしまったようだ。
起こさないように、細心の注意を払って眠り続ける少女に近付く。
記憶に残っている彼女はかなり気配に聡かったのだが、今は気が抜けきっているらしく、起きる様子はまったく無い。
無防備な姿にだらしなく緩みそうになる表情を意識して引き締め、その隣に片膝つく。
そうっと、少女の顔を覆う黒い帽子に手を伸ばし―――――

「・・・・・・ん゛ぁ?」

「っ!」

ややドスの効いた寝言と同時に伸びた少女の腕が、少年の手を即座に掴んだ。
一気に少年の顔が赤くなる。
少女はくぁああああああああ、と大きくあくびをすると、とろんとした目で少年を見て、―――



「ってぐりぃいいいいいいーんんっっ!?!?」



セキエイ高原一帯に響きそうな大音量で、力一杯そう叫んだ。
図書館ではお静かに。







     【 リセットボタンはDOKOですか。 】






奥さん事件です。
グリーンが帰ってきましたよ!遠いお島から帰ってきてましたよ!!
これはポケスペ本編開始の合図でしたねそうでしたよね!?
そう、何度となくポケスペ読み返したあたしの記憶に――――えぇーっとまぁ確かに約一年前にトリップしてきたからぶっちゃけちょっぴり記憶が遠のき気味だけれども!でも!!狂いはない、はずっ!!!

うぉおおおおおおおおおおおおおほんぺぇーん!!!(叫)

これでこれであれやこれやな名シーンが見られるんだね!ナマで!!
萌ゆる少年少女のあんな姿やこんな姿も見られるんですぜ うへへへへへへ (じゅるり)
しかも参加できるって特権付き。これぞ ト  リ  ッ  プ  の  醍  醐  味 ・ ・ ・ ・ !

「やーそれにしても久々だねぇ。帰って来たのっていつよ?」

連れ立ってマサラの道を歩きながら、はグリーンに尋ねる。
成長中真っ盛りなお年頃なだけあって、前に会った時より背も少し高くなってよりイイ男っぷり上昇中でなんつーかもうおねーさんたまんねぇっす ハァハァ (危)
欲を言うならもうちょっとすてきせくちーぼでーの鎖骨チラリズムとかナマ足露出とかが拝める服であれば嬉しさ倍 増なのですがっ!いやでも、まだまだグリーンは10歳の少年。いわゆる青い果実
もうちょっと色気の出るお年頃になるのを待つべき?

「おとといだ。それから、を迎えに行くようにおじいちゃんに言われた」

脳内フルスピードでそんな ヨゴレな算段 を立てるには当然ながら気付けるはずもなく、半歩後ろを歩きながら答えるグリーン。ぬぅ。お迎えに萌えキャラ寄越すとはなかなか腐女子のツボ心得て――――っていやそれより。

「わざわざ会いに来てくれたんじゃなかったのグリーンッ!?」

おつかいだったから来ただけですか緑っ子!
タンバで育んだ愛のリベンヂしに来たんだと思ったのに!
だから じっくりねっとり その辺りいぢり回して遊んでやろーと思ってたのに!!もてあそばれたー!!!!

「・・・・・・当たり前だろ。オレだってヒマじゃないんだ」

ふいっとそっぽを向いて唇を尖らせる。
くぬぅ、なんか仕草可愛いけど騙されんぞ!惑わされんぞあたしは!
ほっぺうっすら赤くしたって許してあげませんってツンデレかお前ぇえええええええええ知ってたけど!
あれかじいちゃんに頼まれたってのは口実かそうかそうだなよし断定!ラブリーボーイだ!!

『オーキド博士、どういうご用なんでしょう・・・・・・?』

「あ、そういやそーだ」

ぽつり、と呟かれた紫苑の言葉に正気の世界に舞い戻る。
頼まれてた、図鑑の試作品の使い勝手報告する仕事はもう終わったはずなんだけど。
まさかまたなんか頼まれる?頼まれちゃいます??
MAXで不吉な予感駆けてくるのですが。

「博士があたし呼んだ理由、グリーン知ってる?」

「いや、知らない」

グリーンの声に動揺は無い。が、あたしは見逃さなかった。
聞かれた一瞬、グリーンの右肩が動揺を示すかのように僅かに跳ねたのをっ!
実は知ってやがるなこいつめ。
歩調を緩めてグリーンの隣に並び、がっしとその肩を抱いて(とたんに身体が強張った。ふっ、可愛いヤツめ☆まだまだポーカーフェイスの修行が足りんわー!)抱き寄せ、少し屈んで唇をグリーンの耳元近くに寄せた。

「・・・・・・・・ホ・ン・ト・に?」

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」

ふぅ、とトドメに息を吹きかけられて、グリーンは耳の先まで真っ赤になった。
いやぁセクハラって楽しいね!(最悪)

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

えーと紫苑の目がなんか恨みがましいのは気にしない方向で。
ついでに真っ赤になりながらも口を開かないグリーンの根性はあるイミお見事。
うぅん、もう一押ししたら話すかね?(楽しいからしばらく黙っててくれてもいーんだけど/ ボソッ

はにたり、と邪悪としか表現できない笑みを浮かべて。



―――っっ!!!!!」



「ぉギュぎッ!?!?」

「ぶっ!!!」




背後から不意打ちくらい、

そのままグリーンを巻き込み突貫してきた人物に 押し倒されてスライディングかました。

『ご主人さまーッ!?』

「誰だ突っ込んできたのーッ!?」

紫苑の悲鳴をバックミュージックに、勢い良く飛び起きれば。

「久しぶりっ!オレの事、覚えてる!?」

ものすごくってゆうかもうこれ以上無いってくらい記憶と思考回路にピンポイントで思い当たる少年が、馬乗り状態での顔を覗き込んでいた。まぁ。かーいらしー少年でございますこと。
期待と再会の喜びにキラキラと輝き、その純粋なキラメキにあたしはうっかりノックアウト寸・前☆
いやんまるで押し倒してと言わんばかり!(言って無い)
半ズボンは卒業されたようで残念の極みですけれども、そのムキ出しナマ腕があるから良しとしてしんぜよう。うん。

「えーっと。レッド、久しぶり?」

「おう!」

満面の笑みがまぶしいよレッド・・・・・・ こ、これがポケスペ主人公の貫禄かっ・・・・・・!!違います
あたしに馬乗りになったまま、レッドは降りる気配を見せない。えーっと密着体勢には非常にトキメきますが、あたし的には押し倒すほうが超好みなので降りてくれませんかね。その後押し倒し返す!

「また会えてオレ、すげえ嬉しいよ!!」

レッドはきらきらした表情で両腕を広げて抱きついてこようとして――――――



ドゲッ



「がぎゅっ!?」

手加減無用の蹴りで吹っ飛んでいった。
わぁ、すげぇ飛距離☆(汗)

、行くぞ。おじいちゃんも待ってる」

の腕を、グリーンがやや強めの力で引っ張る。
不機嫌そうなのは地面に強制スライディングさせられたせいですか、やっぱ。
ぐいぐい引っ張られてよろけながら立ち上がり視線を向ければ、レッドは腕の辺りを押さえてのたうち回っていた。

「いやあのグリーン、あれ放っとくのはまずいんじゃ」

「あれって何だ?」

「あんたが蹴った相手だけど」

害虫の生死に興味は無い。てゆうかむしろ のたれ死ねばいい

ナチュラルに害虫呼ばわりしたーっ!! こえーよオブラートに包め本音!!!

つーか何気に軽くブラック状態ッ!?
助けて紫苑ちゃんこの子ヤバいわ!黒っぽくなってきてるわ!!へるぷ!!!

「〜〜っっお前何してんだよっ!」

いつの間にやら復活を果たしたレッドが、強引にグリーンの手を引き離してに抱きつく。
・・・・・・・・・・・・・役得(ぽ)

「なぁ、久々に会えたんだし、オレのうち来ない?
 前の時はろくにお礼もできなかったんだ、その分も含めてオレ、頑張ってもてなすからさ!」

――――もてなす、ですと?
レッドが頑張って、誠心誠意、真心込めて




                    M O ・ T E ・ N A ・ S U で す と ッ ! ? 




これは行かねば!行かねばならんでしょう腐女子としてはっ!!
ポケスペキャラに抱きつかれてるってだけでも鼻血モンなのにこんなかーわいー笑顔で「もてなす」とか言われちゃったら行くしかないッ!レッド、君がもてなしてくれるのならあたしは地獄までだって行くぜ萌えの為に!!!
思考は一秒、決断は一瞬。
迷わず頷こうとしたは、しかしその瞬間に引っ張られて後ろから抱き締められた。
身長差があるせいで覆いかぶさるように、とはいかなくても、首筋に吐息がかかる至近距離にはさすがに胸キュン
くすぐったい上なんか恥ずいんだけどなこの体勢。

はお前になんか付き合ってやるほど、ヒマじゃないんだよ」

「なんだと!?」

さっさと消えろと言わんばかりなグリーンの言葉に、かなりご立腹なご様子のレッド。
うんまぁ、かーなーりー挑発的だしなァ、態度が・・・・・・。
出会った頃の生意気っぷりを思い出すね!

「大体、さっきは人の事ふっ飛ばしておいて謝罪の一つも無しか?ずいぶん都合のいい頭だな」

「そっちだってオレの事蹴っただろ!おあいこだろーが!!」

「先にやってきたのはそっちだろ。第一、ずーっとお前になんかに乗っていられたらが穢れる

そこまで言うかグリーン。
ブラック降臨カウントダウン始まってたりしますかそうですか。
うんごめん、 マジで逃げていい?

「やるか!?」

「ふん、後悔したいらしいな」

腰に手をあてるレッドを、グリーンが余裕たっぷりにせせら笑う。
あたしは既に当事者から傍観者にジョブチェンジだ。

「おお、レッドVSグリーン初戦が始まりそうな感じですよ・・・・・実況の紫苑さん、どう見ます!?」

『ふえっ!?え、ええっと、レッドさんが戦うのは初めて見ますし、グリーンさんも成長してるでしょうし私にはなんとも!』

「それもそうだっけ的確な実況!」

数メートルの距離をおいての所でしばし睨み合う二人(主にレッドが)。
むぅ、なんかおかしな展開になってきましたな。
つうかあれ、レッドとグリーンの出会いってもっと違うものじゃなかったっけか。
そんな疑問に軽く表情の引きつったを、二人は同時に振り向いて。


「絶対勝つからな!見ててくれよ!!」

「少し待っててくれ。すぐカタをつける」


モンスターボールが、宙を舞った。

ライバル二人の出会いが台無しになったのって、やっぱあたしのせいなんでしょうか。
やり直しを要求しますいやホント。(リセットボタン何処!?)






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しょっぱなからものすごい 改 変 ですが気にしない。ドリームだもの気にしない!
時間の経過と共にレッドとかグリーンの壊れっぷりにも拍車がかかっていくので乞うご期待。