くもをつきぬけ てんまでとどく
それはそれは おおきなおやまがありました

やまは みのりゆたかで はながさきみだれる
まるで らくえんのようなばしょで
ひともぽけもんも そのおやまを とてもだいじにしていました





〜 THe oLd sTOrY 〜




けれど いつのころだったでしょうか
らくえんのようだったおやまに おにのこがやってきて

「このやまは きょうから おれさまのものだ」

そういって それまでいたひとやぽけもんを ひとりのこらずおいだしてしまったのです
だれもいなくなったおやまに おにのこはてしたのぽけもんをよびよせ
おやまをすっかり じぶんのものにしてしまいました

それからというもの

らくえんのようだったおやまは じごくのようなばしょへとかわりはて
ひんぱんに むらをあらしにおりてくる
きょうぼうなおにのこや てしたのぽけもんに
ひとびとは くるしめられるようになりました

いろんなひとや ぽけもんが
おにのこをたおそうと おやまへ でかけていきましたが
だれひとりとして かえってくるものはいませんでした

「あいつを たおせるものはいないものか」

ひとびとは こまりはてました


あるひのことです
ひとりのたびびとが むらにやってきて
おにのこのはなしをきくと にっこりとわらい

「それなら わたしがたいじしてみせましょう」

と いったのです
だれもがびっくりとして たびびとをとめました
けれど たびびとはとめるのもきかずに
おともの ぽけもんだけをつれて やまへいってしまいました

「おにのこよ このやまから でていきなさい!」

たびびとのことばを おにのこは わらいとばしていいました

「いやだね おまえのいうことなんか きくもんか」

そうして おにのこはたびびとをにらみつけて
でていかないと あたまからたべてしまうぞ とおどしたのです
しかし たびびとはひるみませんでした
おにのこには それがおもしろくありません

「おれさまをおいだしたいなら ちからづくで おいだしてみるがいい」


おにのこと たびびとのたたかいがはじまりました


そのたたかいはとてもはげしく
じめんがゆれ そらがわれ
はげしいあめがふり たいようがてりつけ ひかりがおち
おおきかったおやまが ひとまわりちいさく けわしくなってしまうほど
とてもとても はげしいたたかいでした

ひるもよるも たたかいは つづき

みっかみばんたって ようやく たたかいはおわったのです


はれわたるそらに ひとびとは


おやまのてっぺんから とびさっていく いくつものひかりをみました


おにのこは にどと むらにあらわれなくなり
また もとのへいわがもどってきました
ひとも ぽけもんも てをとりあってよろこび
きっとあのたびびとは やまのかみさまだったのだと うわさしあいました



それからというもの



やまのかみさまの かみと めのいろからとって
ひとびとは おやまを




“しろがねやま”




とよぶようになったのです
しろがねやまの しろがねさまは

いまでも

おやまのうえから
ひとと ぽけもんを みまもっているのだそうです




− 世界神話全集三巻「シロガネ山伝説」より抜粋 −



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