何か作りたいな。



私は思った。

混沌とした混然とした漠然が広がっている。
私だけがそこにいる。




私。




そう、私は私だ。
私は産まれた瞬間から私だったわけじゃない。
遊ぶものは漠然とした中から意図すれば取り出せたので、その経験を多く積み重ねていく中で私は漠然としたものたちとわかたれ、"私"という不安定でありながらも確固としたものを手に入れた。

別に欲しいものも無いけれど。

別に、欲求を抱くほどのなにかを追い求めるわけでも無いけれど。



それでも――――そう。



こうして意思を抱いた以上。

こうして、意識として凝った以上。

せっかくわかたれたものとなったのだから、手慰みに凝った何かを作るのも悪くない。
どうせやらなければならない義務も無い。


何か作りたいな。


私は思う。

材料はある。思うままに作れるだろう。
少しくらい不恰好でも悪くない、少しずつ作っていけばいい。
少しだけ迷った。
けど、一度くらいはやってみるのも面白い。


ここは私の家。


私の居場所。


私の空間。




わたし、じしん。




混然とした混沌の漠然は遠くて近いから、影響は及ぼされても壊されたりしない。
バックアップを取れば多少の問題は回避できるはず。私は決めた。


作ろう。


造ろう。


創ろう。


何かを。





†   †   †


初めに創造主が在った。

天地は渾然たりて判然とせず、あらゆるものは混沌であった。

創造主はたゆたうばかりの場を憂い、秩序を与え、世界を創り出す事をお決めになられた。


第一日目、志聖日の事である。








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