板っ切れユニバーサルアンプ
いつかは作ろう作ろうと溜め込んだ真空管が出力管だけで約100本あります。まともに一台づつアンプを作
っていては一生かかっても全部使えそうにありませんが、一度位点灯してやらないとかわいそうです。
特に学生時代(20数年前)にバイト代をはたいて買った虎の子のVT-52やら45やら…、
いくら球はめったに腐らないと言っても、そろそろ何とかしなくちゃと思ってました。
最近ちょっとした実験として、板っ切れの上にいろんな回路をバラック組みして遊んでいたのです
が、これがなかなか面白い。 ラグ板やソケットなど、好きなように木ねじでとめて、自由自在にレ
イアウト/部品交換できます。 そこで、いっそこのままユニバーサル・アンプをでっち上げて、
溜まった真空管をとっかえひっかえして使っちゃえと言うことになり、板っ切れアンプが出来上がりました。
板っ切れだから部品交換は容易ということで、まずは手持ちの部品を優先につかうことにしました。
未使用の古い部品が結構あるので、虫干しというか、在庫処分セ−ルというところです。
電源トランスは250V-120mA(整流後)のものがありましたので、これを使いました。 ヒーター巻線
は6.3V-2Aが2つと5V-2Aが一つですから、45、71A、2A3は次の機会として、とりあえず6.3V管専用です。
(71A位はフィラメントに抵抗をシリーズにして使えそうですが…。)M6の長ナットにインサートを入
れてスペーサーにし、板から浮かせて付けています。 OPTは秘蔵?のU-808、まさに
ユニバ−サルタイプです。 チョークは買い置きの安いバンド型(5H-150mA)です。
CR類はかなり古いものもありますが、高圧ケミコンだけは比較的新しいのを使いました。
前段は単段にしたかったので、やはり手持ちのE180F(高周波用Hi-gm5極管)を使いました。 小さ
なMT管の割には電流をたくさん流して使う球です。 バラックで負荷抵抗10kΩと低くとって実験する
と、Ebb=240V、Esg=120Vのとき、カソードパスコンなしで、140Vp-p以上の出力が得ら
れました。 これなら直熱三極管も楽勝でスイングできます。 ただし、Ip+Isgは15mAも流れますので
、2本で30mAと言うことは、電源トランスの容量が120mAですから、出力管は1本当たり45mAがMaxに
なります。 まあ、どの道、これも溜まっている整流管を使うつもりでしたから、チョーク/OPTのロス
も考えれば、Epは自己バイアス込みで250Vをかなり下回りそうです。普通の球なら軽い動作になって、
そんなに電流は流れない(流せない)だろうと言うことで、よしといたしました。
出力管は割り切って三極管か三極管接続専用としています。 NFBはちょっとだけかけています。
(もはや出力などどうでもよくなっている…100dB/Wm級のスピーカーを使っていますから、出力は1W
を切る位でも十分です。)
出力管部と整流管部は端子盤を使って交換が容易にしてあります。 ソケットはスペーサーで浮かし
て木ねじで止めてあり、ソケットからの配線は圧着端子で端子盤にビス留めですから、
ドライバー一本でソケットごと交換できます。 カソード抵抗も同様にビス留めですから、これも
交換容易です。 全部端子盤でも良かったのですが、手持ちの関係で、前段と平滑回路は
ラグ板ではんだ付け配線としました。 その他、ハムバランサは太い銅線を折り曲げて締め付け固定、
入力のボリュームはケーシングに圧着端子をはんだ付けして直接ビス止めと、かなり安直になっています。
配線はちゃんと色分け…と思いましたが、足らない色も多く、買いに行くのが面倒で結局なんでも
ありになりました。
(写真のオクタルソケットは
にゃんこさん
に頂いたものです。マイカノールの素敵なソケットです。)
基本回路図(PDF)です。
さて、そんなわけで、とっかえひっかえしてみました。 いずれも出力は1W前後のようです。
詳しい特性はそのうち楽しみながらじっくり測ろうということで、EpとEkをチェックしただけです。
途中でいくつかの整流管がヒーター巻線の電流規格をオーバーしていることに気が付きましたが、
トランストータルとしてはまだ定格内ということで試聴はしてみました。(でもやっぱり気持ち悪いので
、あとでシリコンダイオードに150Ω10Wの抵抗をシリーズにしたものをモジュール化して、差し替えられるように
しました。)
下の管名をクリックすると写真が見られます。
VT-52/5Z3
大学時代に購入した秘蔵管とジャンクの5Z3。 交流点火ゆえ、夜はハムが気になる…。
6L6G/5R4G
会社の先輩にもらったマツダの6L6G(新品)と、自分で昔買った5R4G。
6L6GC/5Y3
小学生時代にジャンク屋で買った6L6GC。ちょっとへたっている。 5Y3は新品。
6V6GT/5Y3
大学時代に買って、別掲のアンプに使っていた6V6 (別掲アンプには今6G-A4がささってます。)
6CA7/5G-K18
とある企業の廃却品に混じっていた14本の中古6CA7だったが、ほとんど劣化していなかった。
UZ-42/80K
小学生時代に粗大ごみの5球ス−パ−から抜いたもの。 80K(傍熱管)は珍しい。
6GB8/5G-K18
会社の先輩にもらった6GB8(新品)と粗大ごみのテレビから抜いた5G-K18。
6AR5/5Y3
手持ちの6本の6AR5(1本は生まれて初めて買った球、あとは抜き球)のうち、NECの黒プレート2本。
さて、音はというと、明確な違いは言えないのですが、正直42が一番好きな音でした。その次が6AR5と6GB8です。
別にラジオ球をかわいがっているわけではありませんが、Ep=230V位だとちょうどいい条件なのでしょう。
逆に、6L6、6V6は冴えないです。 このへんのビーム管の3結は相性が悪いのでしょうか?
VT-52は6GB8の次ぐらいです。 ちょっとこの結果つらいですが、この回路だけでの評価は「虎の子」にかわいそうですし、
鳴ってくれればそれでよしとしましょう。
それにしても42と6AR5の3結には改めて驚きました。プロ用高周波管E180FドライブのU-808トランスは、
彼らが現役バリバリ時代には考えられないようなステージだと思いますが、ちゃんとした舞台なら
この位のパフォーマンスはあるんだぜと言われてしまったみたいです。
<2004.5.1追記> 71A-80
手持ちジャンクからダイオードブリッジと5Vの3端子レギュレータを外し、6.3Vの整流-安定化で71Aのヒーターを点灯できるか実験
したところ、ダイオードあとのコンデンサを2000μFにすればなんとか綺麗な直流で点灯可能であることがわかりました。
(これ以下の容量だとリップルの谷が残ってしまいます。)
そこで、満を持して(?)71Aの登場です。 ハムバランサを外して、そこに3端子を
乗っけたラグ板をつけました。 Rkはフィラメントのマイナス側に直付けですが、VT-52用に1.5KΩが用意してあったので、
これに500Ωをシリーズにして2kΩにしました。 Epは効率の良くない80を整流管に用いても、そのままではまだ10Vくらい高い
(バイアス抜き190V)ので、整流管直後に150Ω10Wを挿入しました。
結果:ダントツです。前王者の42(3結)に奥行きというか、空気感をプラスしたような感じでしょうか。
これで2.5V球、MT9ピン、水平出力管以外は手持ちを大体試したことになりますが、当分71Aで音楽を楽しむことにしましょう。
真空管ホームへ
このページはリンクフリーですが、内容の無断複製・転載はおやめください。