E180F 単段シングルアンプ





 E180Fは通信用高gmフレームグリッド五極管で、高さ40mm程度のかわいいMT管です。  手持ちに頂き物が6本ありますが、図体に似合わない太いカソードスリーブに金 メッキ足が印象的です。 見かけによらず結構電流の流せる球ですので、別掲の 板っ切れアンプのドライブ段にプレート電流15mA、負荷抵抗10kΩで使って みました。 約3年毎日のように使っていたのですが、さすが高信頼・高寿命管だけあって、 ほとんど特性が変わりません。 なにより見た目の精密な造りが気に入りました。 

 プレート電流15mA、負荷抵抗10kΩって、よく考えればちょっとした出力管です。 高gmを生かして 単段のシンプルアンプができないかなということで、東栄トランスのT-850(Zp=7-10-12kΩ)という小型 OPTを買い込み、ベニア板上のバラックで試作することにしました。 もちろん出力は期待していません。
 実はこのアンプに先行して、ALTECのCF-204でQWTスピーカーを作っており、これ用のアンプということで 計画したものです。かなり高能率(95dB/Wm)のスピーカーですから、0.5W程度の出力でも実用になる だろうというもくろみでした。 

 バラックではいろいろな回路を試してみましたが、結局オーバーオール負帰還なしのKNFのみの回路としました。 高gmだけあってKNFがかなり深くかかるため、OPTの8Ω端子から掛けると深すぎてゲイン不足になり、 4Ω端子で掛けています。 それでもダンピングファクター4.3が得られ、聴感上も(私の駄耳には) なかなかいい感じです。 このときのアンプゲインはちょうど0dBで、1.8V入力でクリップ出力1.8V(0.4W) が得られました。 CDプレーヤーをつなぐにはまあいいのですが、もともとモバイルオーディオのヘッドホン 出力をつないで楽しむミニシステムのつもりでいたので、それにはやはりちょっとゲインが足りません。 そこで 本機製作時には、手持ちのST-26トランスの一次/二次を逆にして入力に入れてみることにしました。 これでゲインは4倍程度 稼げるはずです。
 最終的な回路です。 簡単すぎて拍子抜けするようなものですが、入力は通常の CDプレーヤー用(STD)とモバイルオーディオ用入力トランス付(Mobile)の2系統切替可能としています。

 ケースは、ヒータートランスはじめ4つ(ST-26を加えれば6つ)のトランスにカバーを作るのが あまりに面倒だったので、普通の直方体の筐体になりました。 100円ショップで見つけたアルミのペントレイを天板と底版に使い、側板は板っ切れに適当に着色 したものを使いました。 内寸100mm(W)×60mm(H)×220mm(D)ですが、結構詰め込むのは大変でした。
内部写真と、入力部拡大です。

 E180Fのお姿が見えないのは癪なので、放熱をかねてシャーシパンチで30mmの孔をあけ、廃品の自転車かごから 切り取った金網をつけて上から球が見えるようにしています。 100円商品やら廃品やら、とってもお安くなっていますが、 こういうのを工夫してあれこれ考えるのが私には楽しい時間です。 結局こんなシステムが出来ました。



 ・最大無歪出力 0.4W+0.4W(クリッピングポイント)
 ・ダンピングファクタ 4.3 
 ・入出力特性
 ・周波数応答特性
 


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