「創世記の人類最初の殺人」=旧約聖書(創世記第四章)

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(一)

さて、アダムは妻エバ(イブ)を知った。彼女は身ごもってカインを産み「わたしは主に
よって男子を得た」(苦痛がともなう出産)と言った。 彼女はまたその弟アベルを産ん
だ。弟のアベルは羊を飼う者となり、兄のカインは土を耕す者となった。 時を経て、兄
のカインは土の実りを神(ヤハウェ=エホバ)のもとに献(ささ)げ物として持って来た。
弟のアベルは羊の群れの中から肥えた初子(ういご)を持って来た。神は弟のアベルとその
献げ物に目を留められたが、兄のカインとその献げ物には目を留められなかった。兄のカ
インは激しく怒って顔を伏せた。神は兄のカインに言われた。「どうして怒るのか。どう
して顔を伏せるのか。もしお前が正しいのなら、顔を上げられるはずではないか。正しく
ないなら、罪(怒り)は戸口で待ち伏せており、お前を求める。お前はそれを支配せねば
ならない(怒りを抑えなさい、罪に支配されず罪を支配しなさい)」兄のカインが弟のア
ベルに言葉をかけ、二人が野原に着いたとき、兄のカインは弟のアベルを襲って殺した。

(二)

神はカインに言われた。「お前の弟アベルは、どこにいるのか」カインは答えた。「知り
ません。わたしは弟の番人でしょうか。」神は言われた。「何ということをしたのか。お
前の弟の血が土の中からわたしに向かって叫んでいる。今、お前は呪(のろ)われる者と
なった。お前が流した弟の血を、口を開けて飲み込んだ土よりもなお、呪われる。土を耕
(たがや)しても、土はもはやお前のために作物を産み出すことはない。お前は地上をさ
まよい、さすらう者となる」カインは神に言った。「わたしの罪は重すぎて負(お)いきれ
ません。今日、あなたがわたしをこの土地から追放なさり、わたしが御顔(みかお)から
隠されて、地上をさまよい、さすらう者となってしまえば、わたしに出会う者はだれであ
れ、わたしを殺すでしょう」神はカインに言われた。「いや、それゆえカインを殺す者は、
だれであれ七倍の復讐を受けるであろう」神はカインに出会う者がだれも彼を撃つことの
ないように、カインに印(しるし)を付けられた(その印が人類最初の文字だとも言われ
ている)。カインは神の前を去り、エデンの東、ノド(さすらいの意味)の地に住んだ。
そして、カインは妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。カインは町を建ててい
たが、その町を息子の名前にちなんでエノクと名付けた。

(参考)

@エデン追放以前に、「産めよ、増えよ」で、苦しみをともなわない出産によってカイン
の兄や姉が多く生まれていたと言われている。又、カインは苦痛がともなう始めての出産
で、アベル以降も子供がいると言われている。

A「モーセの書」には「カインはその兄弟の娘の一人を妻とし、彼らは神よりもサタンを
愛した」とあり、アベル以外にも兄弟や人間がいたことになるという。