「創世記の人間の原罪」=旧約聖書(創世記第三章)

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(一)

神が造られたあらゆる野の獣のうちで、蛇が一番狡猾であった。この蛇が、すなわち、
悪魔(サタン)の化身である。蛇は女に言った「あなたがたは、園のどんな木からも
食べてはならない、と神に言われたのですか」女は蛇に言った「私たちは、園にある
すべての「木の実」を食べてよいのです。 しかし、園の中央にある「木の実」(伝説
ではリンゴ)について、神は「あなたがたは、それを食べてはならない。それに触れ
てもいけない。あなたがたが死ぬといけないからだ」と言われました」そこで、蛇は
女に言った「あなたがたは決して死にません。 あなたがたがそれを食べるその時、あ
なたがたの目が開(ひら)け、あなたがたが神のようになり、善悪を知るようになる
ことを神は知っているのです」 そこで女が見ると、その木の実は、まことに食べるの
に良く、目に美しく、賢くするように思えた。それで女はその実を取って食べ、一緒に
いた夫にも与えたので、夫も食べた。このようにして、ふたりの目(知識)は開かれ、
それで彼らは自分たちが裸であることを知った。そこで、彼らは、無花果(いちじく)
の葉をつづり合わせて、自分たちの腰のおおいを作った。

(二)

そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神の声を聞いた。それで人とその妻は、神
の御顔(みかお)を避けて園の木の間に身を隠した。神は、人に呼びかけて彼に言った
「あなたは、どこにいるのか」彼は答えた「私は園で、あなたの声を聞きました。それで
私は裸なので、恐(おそ)れて、隠れました」すると、神は言った「あなたが裸であるの
を、誰があなたに教えたのか。あなたは、食べてはならない、と命じておいた木から食べ
たのか」人は言った「あなたが私のそばに置かれたこの女が、あの木から取って私にくれ
たので、私は食べたのです」そこで、神は女に言った「あなたは、一体なんということを
したのか」女は答えた「蛇が私を惑(まど)わしたのです。それで私は食べたのです」神
は蛇に言った「おまえが、こんな事をしたので、おまえは、あらゆる家畜、あらゆる野の獣
(けもの)よりも呪(のろ)われる。おまえは、一生、腹ばいで歩き、塵(ちり)を食べな
ければならない。 わたしは、おまえと女との間に、また、おまえの子孫と女の子孫との間
に、敵意を置く。そして彼は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく」
また女には、神はこう言った「わたしは、あなたの身ごもりの苦しみを大いに増す。あなた
は、苦しんで子を産まなければならない。しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼は、あなた
を支配することになる」

(三)

そして、神は男にも言った「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないと私が命じ
ておいた木から食べたので、土地は、あなたのゆえに呪(のろ)われてしまった。あなた
は、一生、苦しんで食(しょく)を得なければならない。土地は、あなたのために、荊(い
ばら)と薊(あざみ)を生(は)えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。あ
なたは、顔に汗を流して糧(かて)を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから
取られたのだから。あなたは塵(ちり)だから、塵に帰らなければならない」男は、その
妻の名をエバ(イブ)と呼んだ。それは、彼女がすべて生きているものの母であったから
である。神は、アダムとその妻のために、皮の衣を作り、彼らに着せた。そして、神は言
った「見よ。人は我々の一人のようになり、善悪を知るようになった。今、人が、手を伸
ばし、いのちの木から取って食べ、永遠に生きないようになった」そこで神は、人をエデ
ンの園から追い出したので、人は自分がそこから取り出された土を耕すようになった。 こ
うして、神は人を追放して、いのちの木への道を守るために、エデンの園の東に、ケルビ
ムと輪を描いて回る炎の剣を置いた。

(参考)

ケルビム・・・神のそばにいる生き物で、人間のように手足があり、翼で飛び、顔が二つの
ものと4つのものがいる。天使のような存在。