「創世記の男女の誕生」=旧約聖書(創世記第二章)

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(一)

神(ヤハウェ=エホバ)が天地を創造したとき、地には、まだ野に一本も木がなく、まだ
野の草も一本も芽を出していなかった。それは、神が地上に雨を降らせず、土地を耕す
人もいなかったからである。ただ、霧が大地から立ち上り、土地の全面を潤(うるお)
していた。その後、神は、大地の塵(ちり)で人を形(かたち)づくり、その鼻に命
(いのち)の息を吹き込んだ。そこで、人は、生きものとなった。神は、東の方(かなた)
エデンに園を作り、そこに人を置いた。神は、その土地から、見るからに好ましく食べる
のに良いすべての木を生(は)えさせた。エデンにある園の中央には、いのちの木、それ
から善悪の知識の木とを生(は)えさせた。一つの川が、この園を潤すため、エデンから
出ており、そこから分かれて、四つの川の源(みなもと)となっていた。神は、人をエデ
ンの園に置き、そこを耕させ、またそこを守らせた。神は、人に命じた「あなたは、園の
どの木からでも思いのまま食べてよい。しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはな
らない。それを取って食べるその時、あなたは必ず死ぬ」その後、神は言った「人が、ひ
とりでいるのは良くない。わたしは彼のために、彼にふさわしい助け手を造ろう」

(二)

神が、土からあらゆる野の獣(けもの)と、あらゆる空の鳥を形づくったとき、それにどん
な名を彼(人)がつけるかを見るために、人のところに連れて来た。人が、生き物につける
名は、みな、それが、その名となった。こうして人は、すべての家畜、空の鳥、野のあらゆ
る獣に名をつけたが、人にはふさわしい助け手が、見あたらなかった。そこで神は、彼に深
い眠りを与えた。そして、彼のあばら骨の一つを取り、そのところの肉をふさがれた。 こう
して神は、人(彼=アダム)から取ったあばら骨を、ひとりの女(エバ=イブ)に造り上げ、
その女を人のところに連れて来た。すると人は言った「これこそ、今や、私の骨からの骨、私
の肉からの肉。これを女と名づけよう。これは男から取られたのだから」それゆえ、男はその
父母を離れ、妻と結(むす)び合い、ふたりは一体となるのである。 そのとき、人(彼)と
その妻は、二人とも裸であったが、互いに恥(は)ずかしいと思わなかった。

(参考)

神は、アダムの心臓(ハート)の近くの、男の両腕に守られるところの肋(あばら)骨をとっ
て女を創造した。もし、アダムの足の骨からエバ(イブ)をつくったら、男が女を見下し、
また、頭の骨からつくったら、女が男を押さえつけるからである。