岐阜県 岐阜市 鍼灸院 鍼 はり 経穴 ツボ つぼ 治療 東洋医学 経絡 三陰交 中極 天突 血海 至陰 |
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東洋医学研究所®グループ 井島鍼灸院院長 井島晴彦 |
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今回は婦人科疾患に使用される経穴について紹介させて頂きます。 |
東洋医学的な治療に経穴は切っても切れないものです。私は黒野保三先生のご指導のもと、経穴について文献から調べさせて頂いています。
前回のコラムでは、風邪の時に使用される経穴について、その名前がどのような理由でつけられたか、漢字のなりたちから読み取ることにより(穴名考)紹介させて頂きました。
今回は、月経困難症、不妊症、更年期障害などの婦人科疾患によく使用される経穴として、三陰交(さんいんこう)穴、血海(けっかい)穴、中極(ちゅうきょく)穴、さらに特に逆子の治療に使用される至陰(しいん)穴について、文献を参考に紹介させて頂きたいと思います。
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婦人科疾患に使用される経穴はたくさん有りますが、その中からどうして、三陰交穴、血海穴、中極穴を選んだのかを説明させて頂きます。 |
病気の治療に使用する経穴を選ぶ根拠に、古典文献があります。いつも黒野先生から教えて頂いているように、古典文献の内容ががすべて正しいわけではないので、実証医学的な証明が必要です。
そこで、黒野先生の発案により、約7年前から、各病気に対してよく効くといわれている経穴のうちから古典文献や穴名考などを根拠に数穴優先順位をつける作業をさせてもらうことにしました。
方法は、中国や日本の代表的な鍼灸に関する古典文献50冊あまりを調査・分析して著された「鍼灸医学ー経絡経穴の近代的研究ー」(濱添圀弘著)に掲載されているすべての主治症と経穴との関係をコンピューター(エクセル使用)入力し、主治症別(590疾患・症状)、科目別(21科目)、経穴別(357穴 のべ経穴数4715穴)に抽出・集計できるようにしました。
その結果から、婦人科疾患について抽出すると、主治症が49疾患あり、経穴が125穴掲載されていました。その中で多く使用されている経穴は、三陰交9回、血海8回、中極7回、陰包6回、腰陽関5回、水泉5回、水道5回、四満5回、命門5回でした。
さらに、回数の多い経穴を1穴づつ細かく検証したうえで、古典文献からの婦人科疾患の代表穴として三陰交穴、血海穴、中極穴の3穴を選びました。
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意味から名前のつけられた、三陰交穴は最も多く使用されます。 |
位 置 内果の上三寸、脛骨後縁で、圧迫すると、骨が少し陥んだように感じるところに取る。
穴名考 三は数の三、陰は宇宙の二大元気の一つ、交は交わる。三陰は太陰、少陰、厥陰で、足の三つの陰経=太陰脾経・少陰腎経・厥陰肝経で、三つの陰経が交わるところ、交会穴の意 である。
主治症 婦人科疾患および、生殖器疾患を主る。月経不順、子宮出血、胎動、横産、遺尿、陰萎。食欲不振、消化不良、胃酸過多、腎疾患、下肢内側疼痛。
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血海穴は血の道=婦人科疾患の主治穴として使用されます。 |
位 置 膝蓋骨内上角の直上二寸五分の大腿骨内縁で、陥凹部と感じるところに取る。
穴名考 血は、先天の元気、海は、多くあつまところ、先天の元気の多くあつまるところ、いわゆる、気血の血が多くあつまるところ、陰の気の多くあつまるところの穴の意である。また、血の道=婦人科疾患の主治穴の意である。
主治症 血病および婦人科疾患・生殖器疾患を主る。子宮出血、子宮充血、帯下、月経異常、血尿、淋疾、睾丸炎、膣炎、悪穴、不妊症、その他三陰交穴と合わせて用いる。
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中極穴は意味から名前のつけられた経穴です。 |
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位 置 臍(へそ)の下四寸、白線中に取る。
穴名考 中極は膀胱を表す意と、中は一致する、極は最上部、最上部に一致するという、二つの意の重なったもので、膀胱の最上部に一致する穴の意である。
主治症 膀胱疾患を主る。尿閉、血尿、尿意頻数、陰萎、陰茎痛、尿道炎、淋疾、子宮出血、子宮痙攣、卵巣炎、膣炎、月経不順、不妊症、産後胞衣下らず、腎疾患、腹水、腰痛。
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最後に逆子の治療に使用される至陰穴を紹介させて頂きます。 |
位 置 足の小指の爪の外側1分(3o)にとる。
穴名考 至は行く、陰は少陰の陰で腎経を表す、陰に行く、いわゆる、膀胱経の経気が、末端である本穴・至陰穴より、足底の少陰腎経に行く・至るところの部にある穴の意である。また、陰は地で、地に着くところ=陰の部、いわゆる、足底に至るところの穴の意か。
主治症 風邪、解熱、結膜炎、鼻閉塞、耳鳴、頭痛、脳充血、高血圧、半身不随、腰痛、坐骨神経痛、脚痛、膀胱炎、尿閉、遺精、逆子
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経穴名の由来を知って鍼灸診療に役立てましょう。 |
今回は、経穴名の由来を知ることで鍼灸診療の役に立つことを、婦人科疾患の場合を例にあげて紹介させて頂きました。
鍼灸治療をさせて頂く場合でも、経穴名のもつ意味を正しく理解し、さらに、位置・形・深さを知り、豊富な知識に基づいて、適度な刺激を加えることは効果をあげるために非常に大切なことだと考えます。
そこで東洋医学研究所®グループの先生方は、黒野保三先生のご指導のもと学・術・道の練磨につとめております。安心して鍼治療を受けてください。
次回の私のコラム担当のときは、精神神経症状に使用される経穴を紹介させて頂きたいと考えております。是非、楽しみにしてください。
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文 献
黒野保三.鍼灸医学概論〈改定増補〉.エフエー出版.1996.
黒野保三.臨床鍼灸医学.エフエー出版.2001.
竹之内診佐夫.濱添圀弘.鍼灸医学.南山堂.1977.
日本経穴委員会.標準経穴学.医歯薬出版株式会社.1989.
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