人間ってしぶといなぁと思ってたら意外と死に体だった件。
 まあ、未来に夢も希望も持ち合わせていない身としては特段抗う理由も無く。
 いつだって元気いっぱいな憎め怨めのBGMを聞きながら、昼には雲を、夜には星を眺めて終わりを迎えるというのもいいだろう。

「えちょっとやだ、あんた何で拝領屋敷にいるのよ!?」

 いいはずなんだけどなぁ。

「あー。………………唯織いおりさん?」
「なんっで疑問形なのよバカ!!!」

 怒鳴るに合わせ、頭の代わりに乗っかっているヤカンがぴゅぴーっ! と蒸気を吹き出す。
 愛と勇気だけがフレンズなパンのアニメでいた気がするな、こういうキャラ。

「ああもう、この寒いのにそんなぺらっぺらの単衣一枚でしかも裸足とか……っ! 護衛どうしたのよ護衛は!」
「護衛なら後ろに……あれ、いない」

 おかしいな。一振りは見舞客用の伝言板に残してきたけど、もう一振りはRPGの仲間状態だったの解除してないぞ。ん、何。もののけ道で置き去りにしてた? ……近道使ったのはまずかったかぁ。

「なに普通に来た道戻ろうとしてんのよ!? あんたはこっち!!」
「や、でも拾いに戻「後にしなさい!!!!!」」

 ぅわ唯織さんちからづょぃ。

 連れ込みの如く押し込まれたのは、玄関口から一番手近な休憩室だった。
 毛布で簀巻きにして畳に転がす手際、あまりに鮮やか。
 もそもそ動いてどうにか上体を起こす私を、唯織さんが両手を腰に当てて見下ろす。

「ただでさえタチの悪い風邪が流行ってるっていうのに、そんな恰好で出歩くなんて論外よ。で? いったい何してんのよあんたは」
「……えーっと。なんだろ。なんか、暇を持て余したから……?」
「はあ?」

 うん、意味分かんないよね。私も分からん。

「そんな事より唯織さん、出てきてて体調大丈夫? ずーっと臥せってるって結良ゆらさんから聞いてたんだけど」
安定やすさだが心配性で、なかなか出てこれなかっただけよ。前より調子いいくらい。そういうそっちはどうなのよ。腕もだけど、その。……体調」
「へーきへーき。セミファイナルできるくらいにはいいかんじ」

 炸裂せずに終わりそう感が無きにしもあらずだけど。
 なんせオーバーキルってるっぽいからなー。群れパワーでどうにかこうにか延命されてるだけだし、心が戻った瞬間爆裂四散とか普通にありそう。

「せみふぁ……? ……調子いいのなら、良いけど」
「ところでさ、ここが閑散としてるのはまあ分かるにしても、城下町が妙にひっそりした感じだったんだよね。なんかあった?」
「言ったでしょ、タチの悪い風邪が流行ってるって。もう年の瀬だし、みんな出控えるついでに連隊戦の追い込みかけてるんじゃない」
「ふぅん」

 連隊戦かあ。もうそんな時期だったんだ。

「唯織さんは追い込みかけてなくて良かったの?」
「良くないけど、こっちの人手が足りてないんだから放っとく訳にもいかないでしょ」
「や、いいよ放っといて。私が言うのもアレだけど、箒衆ははきしゅうの仕事って面倒なばっかでさして得にもならないじゃん。別に義理立てしなくても、自分の本丸を優先――へゃぁ」
「あ・の・ねぇっ! トンチキに磨きかけてんじゃないわよこの唐変木はっ!」

 おっとヤカンが大噴火。

「切っ掛けは確かにあんただけど、私は私がやるべき事だと思ってるからやってんの! あんた、私が優先順位も自分で決められない、断れない人間だとでも思ってるわけ!? 馬鹿にすんじゃないわよ!!」
「ひゃひ。ほへへははひ……?」
「とりあえずで謝ってんじゃないわよこのバカ!!!!」

 どうしろと。
 みょんみょん頬を伸ばされたままカラス達に視線を送れば、沈痛な面持ちでソッと首を横に振られた。
 100-0で正論。配慮があまりに的外れ。いいから黙って怒られとけ。
 擁護ゼロじゃん。どうして。

「ほんっとあんた大概にしないと見捨ててくわよ!?」
――
「次バカ言ったら本気でひっぱたくからね! ほら返事!!!」
「……ひゃひ」

 ぴぴぃと蒸気を吹きながら、唯織さんは私のほっぺから手を離した。
 なんだろ。なんか、今なんか……いやほんと、何……?

「なによ。何か言いたいことでもあるの」
「や、うん。うん……ん、んんんー…………?」

 首を傾げる私に、唯織さんが呆れた様子で溜息をつく。

「なんっで療養でトンチキに磨きかけてくるのかしらね。……まったく。心配してて損したわ」
「 し ん   ぱ い 」
「なによその顔。するわよ普通に。いつもみたいに死にそうなバカやってきただけならともかく、その。……友達、看取ってきたんでしょ。心配するに決まってるでしょうが」
「でも、」


『そんな人間風情の為に』


「でも?」

 喉につっかえた言葉を、壊れないよう慎重に紐解く。
 でも。でも、そうだ。

「審神者、なら。それは、悲しんじゃいけないことで」
「は? 寝言ほざいてんじゃないわよ」
「ねごと」
「寝言でしょ。遡行軍やってたって友達は友達よ? 悲しくて当たり前じゃない。審神者である前に、私達だって人間なんだもの」
「あ」

 そうか。
 私、否定されたくなかったのか。

「あ、ああー……あーあー……あああああー………」

 正しい審神者でいられない私に、此処で生きていく資格は無い。
 キリちゃん先輩を殺せる私に、故郷へ帰る資格は無い。
 それならせめて、あのひとが正しく死ねる手助けになりたかった。死にどころだけでも選びたかった。

「うわーうわーうわぁあー…………」

 そうして全部を否定された。
 それはそうだ。私が死ねばキリちゃん先輩も死んでくれるなんて、そんな保障は何処にも無かった。先輩ならそうするはず、という私の希望的観測に過ぎない。
 薬研やげんさんにも意思はある。物に徹していようとも、自分で考えて判断できる。コミュニケーションを怠っていた癖、薬研さんなら分かってくれると甘ったれてた。
 私の自滅に付き合わせるなら、情に訴えてどうにかワンチャン狙うしか無かったよねぇー。
 怠惰と傲慢のダブルパンチで自滅するの、あまりに間抜け。

「ちょっと、なに一人で自己完結してるのよ。ちゃんと口に出しなさいよ。こっちが意味わかんないじゃない」
「ごもっともぉ」

 何も残っていないのに、これ以上否定されたくなかった。
 審神者失格だからって、“私”まで否定して欲しくなかった。
 キリちゃん先輩を殺せなかったことも。キリちゃん先輩を殺して、悲しかったことも。

「自分の馬鹿さ加減に愕然としてましたぁ……」

 一度は本丸戻らなきゃなーと思ってた割には、道理で腰が上がらない訳だ。
 小夜さよへ告げた答えも間違いではないけど、刀剣男士が苦手? だなんて考えてみれば今更だもんな……。
 審神者として正しく在る事に命を賭けた。私が審神者であることも、あの本丸の主であることも、それが最低限の大前提。
 最初から、今までずっとそうだった。
 どれだけ優しくされようと、助けてくれようと、それが覆った訳じゃない。
 それを突き付けられたってだけだ。嫌なら拒絶していいと誓った通りに。分かってるつもりで分かってなくて、だから本当に間抜けで下らない、思い違いをしていただけだ。

「今更ね。感謝しなさいよ、みんな分かっててあんたと付き合ってんだから」
「せんきぅべりーまっち」

 でも分かってて付き合ってる時点で同レベルの阿呆ではなかろかと思うなど。
 同じ阿呆なら踊らにゃ損? なるほど類友。

「……まあいいわ。あんたの刀には、もっとちゃんとしたお礼言いなさいよね」
「あれ、唯織さん何処へ」
「飲み物入れてくるだけよ。すぐ戻るわ」
「いてらぁあ……」

 唯織さんを見送って、どうしたものかと天井を見上げる。
 なんにもなくなってしまったはずだった。審神者としては失格で、帰りたかった居場所はとっくの昔に失っていて、私がいなくなったって、いずれその穴も何かで埋まる。
 なのに存外、残っているものはあるようで。

「トンチキ唐変木かぁ」

 妹達にも自己完結すんなって怒られた事ありましたねそういえば。
 もしや私、難聴系鈍感主人公並みに人の心が分かってな――いや流石にあそこまで酷くはないはず。
 そもそも、他人の心なんて口に出されない限り分かるはずのないものだ。
 行動から読み取るにしても限度ってもんがあるからこそ、世の中行き違い誤解すれ違いが発生するのである。推測で他人の心を決めつけるのは愚かなこと……否定されたくないが為の行い(無意識)がブーメランでブッ刺さりますね遺憾の意。

『あなたの心に添うのなら、それがどれだけ愚かな間違いでも肯定しよう』

 先輩の為に死ねたなら、私はきっと納得できた。
 善い人だった。優しい人だった。私の命を差し出して、あのひとが、どうしようもなくさみしいままで死んでいかずに済むのなら。審神者失格で、構わなかった。

 なべてこの世は無意味で無価値。
 だから結局残るのは、どう生きて、どう死にたいかという我欲なのだ。

 このまま死ぬのは簡単だ。一番楽な選択でもある。
 それでも今日、理由はどうあれ拝領屋敷に足を運んだ。審神者として繋いだ縁を気にかけた。
 なら、審神者としてではなく“私”として。
 これからどうしたいのか。最期に、薬研さんと話をつけて逝くのもいいだろう。
 情緒さんとは未だに別居が続いてるから、自分にとっての感情の核が判然としないのが地味ーに引っ掛かってはいるけど。

「あーでも呪い、どうすればいいんだろ」

 あれ解かないと話す以前の問題なんだよなぁ。
 私が呪っているばかりに置物っていうか台詞皆無のNPC状態って言うか。
 メイド・イン・私なんだし、都合よく解けてくれてたりしないものか。

「っと、しまった忘れるとこだった。置き去りにしちゃった博多はかたさん、誰か案内してあげてー」

 壁が蠢く。ぬるりと這い出した腕が扉を開けた。
 鳥の羽ばたきが巻き起こり、カラス達が我先にと飛び出していく。
 入れ替わりに戻ってきた唯織さんが、取っ手をガチャンと鳴らして「前見て走りなさい!」と叱りつけた。

「ったくもう、落ち着きの無い……。ほら、。帰りの準備してくるから、これ飲んで待ってなさい」
「……牛乳?」
「甘酒。あったまるし、身体にもいいわよ」

 机の上に置かれた大きめのマグは、ご丁寧にもストロー付きだった。
 鼻先をくすぐるのは甘い匂いだ。懐かしくてホッとする、土と、水の精気がたっぷり籠ったいい匂い。

「苦手だった?」
「ううん。……大好き」

 飢えてはいない。渇いてもいない。
 飲み食いなんて必要ない。

 だけど、とてもおいしそう。

「いただきます」

 欲に促されるまま、ストローをぱくりと咥えて吸う。
 久しく機能していなかった味覚は、味を認識させる事は無かった。
 鈍りに鈍った触覚は、嚥下の機能を残してはいても、喉を通る液体の感覚に無反応を決め込んでいる。
 どうにか飲み込んだ甘酒が、喉を通って胃の腑に渡る。乾いたスポンジが水を吸うように、さらりと浸透していく精気が、五臓六腑の内側から、ひたひたと器の輪郭をなぞる。

 ぐらぐらゆらゆら、世界が回る。

 ひとくち、ふたくち。
 飲み進めるほどに、曖昧さが拭い去られていく。肉の重みを思い出す。
 でもやめられないとまらない。あ゛~めっちゃ馴染む……あらがえない……リッチなふるさとのお味ぃ~……。


 ふわふわくらくら。


 意識が


  揺れ  て  、





「ちょっと、ー? やだもう寝落ち? せっかく帰りの準備してきたのに」
「……いや、構わないさ。このまま連れ帰るとしよう」
「そう? ならもう一人捕まえてくるわ。抱えて帰るなら、両手塞がっちゃうでしょ」
「心遣いは有難いが、君とて暇では無いだろう。後はこちらでやっておくよ。僕の主がすまなかったね」
「別にいいわよ、このぐらい。それじゃ歌仙かせんさん。後のこと、お願いね」
「ああ」


 ■  ■  ■



【 目指せ日向正宗 】審神者雑談掲示板 2981スレ目【 頑張れ10万玉 】

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592:莠。閠?周回中@譬ケ荵句嵜
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください

593:審神者周回中@美濃国
うわ出た

594:審神者周回中@山城国
お救いBOT=サン チッスチッス

595:審神者周回中@薩摩国
シッ 目を合わせちゃいけません!

596:審神者周回中@伯耆国
今月入っていやに増えたな

597:審神者周回中@越前国
流せ流せ

598:審神者周回中@肥前国
今年のインフル凶悪じゃね?
事前にワクチン打ってたのに罹患してorz

599:審神者周回中@美濃国
はい情弱

600:審神者周回中@加賀国
俺氏、かかっては治るの無限ループ中なう

601:審神者周回中@備前国
ノロと胃腸炎と手足口病と気管支炎とコロナと溶連菌と結膜炎とマイコプラズマと
流行病が季節問わずの無料配布カーニバルしてるんだわ

602:審神者周回中@肥後国
そんな貴方に っ・ワ・)つ=二【 大典太光世おおでんたみつよ

603:審神者周回中@山城国
天下五剣を投げるなwwww

604:審神者周回中@筑前国
病払いの逸話ね把握

605:審神者周回中@豊後国
薬の供給追い付いてないから気を付けろよー

606:審神者周回中@武蔵国
病除けアイテムもいいぞ
おススメは茅の輪

607:審神者周回中@相模国
>>600
(゚∀゚)人(゚∀゚)ナカーマ

608:審神者周回中@越中国
このパンデミックが呪い由来って噂あるけど ほんとぉ?

609:審神者周回中@薩摩国
手洗いうがい換気手指消毒を徹底しろ(迫真)

610:審神者周回中@豊後国
>>608
どこ情報?

611:608
オカ板

612:審神者周回中@山城国
ガセでしょ

613:審神者周回中@加賀国
オカ板の民はオカ板へお帰り

614:審神者周回中@周防国
嘘と創作と枯れ尾花と稀によくあるガチモンの見分けつくようになってから出直してどうぞ

615:審神者周回中@大和国
>>608
あながち間違いでもない

616:審神者周回中@筑前国
お前んちの御神刀に聞いて

617:審神者周回中@美濃国
>>615
マ?

618:審神者周回中@石見国
あれガセじゃなかったんか

619:615
季節柄に加えて、病が呪いブーストされてるんだとさ
そこらで見るだろ? 普通のカラスに混じって、異様な悪臭漂わせてたり、いやーな気配してるカラス

アレが原因

620:審神者周回中@薩摩国
あーちょいちょい城下町で見るわ
ひょっとしてあれヤバい怪異? 見かけ次第石切丸に厄払ってもらった方がいい???

621:審神者周回中@備前国
つ【 面布・禊・物忌み 】

622:審神者周回中@豊後国
マスクして清潔に気を付け密を避けろの意?

623:審神者周回中@肥後国
単なる感染対策で草

624:615
>>620
俺もそれ考えたんだけど止められた
土地柄的にあのカラス共、根絶不可能らしい
だから恨み買うような真似はしない方がいいんだとさ

625:審神者周回中@備後国
おげぇ

626:審神者周回中@美濃国
勘弁して欲しい
城下気安くそぞろ歩きできないの とても辛い

627:審神者周回中@相模国
わっかる

628:審神者周回中@周防国
どうせ連隊戦中だし今はいいけど、これからも続くとなるとキツいな……

629:審神者周回中@山城国
元々引きこもりのワイ氏
低みの見物

630:審神者周回中@備中国
>>624
土地柄ってどゆこと?
あと去年までこんな事無かったから今年だけヤバなの、どうにも釈然とせんのだが

631:615
そこらへんはよく分からん
個人的にはカラスが絡んでて、影響範囲の割に凶悪度が低いって事で時の政府かどっかの本丸が八咫烏やたがらすらへんの怒り買ったんじゃね? ってアタリつけてる

632:審神者周回中@越中国
放置してて大丈夫なのかそれ

633:審神者周回中@備後国
カラス=八咫烏はあまりにも安直
いっくら逸話少なくてよく分からん神様っつってもまがりなりにも太陽の御先神様やぞ
あんな穢れプンプンの汚泥害鳥使役せんわ 小烏こがらすパッパに10000000万回土下座しろ

634:審神者周回中@越前国
八咫烏は天照大御神あまてらすおおみかみじゃなくて素戔嗚尊すさのおのみことの使わしめだよ
神話的にはともかく、熊野的にはね
だから死臭するカラス従えててもおかしくはない
素戔嗚尊、仏教的には牛頭天王ごずてんのうで所属が地獄、神としても疫病の権能持ってるし
伊邪那美命いざなみのみことの跡継いで根の国の支配者してるって逸話もあって、根の国は一般に黄泉の国って解釈されてるから



この話やめよっか

635:審神者周回中@豊前国
逃げるな

636:審神者周回中@美濃国
時の政府くんさぁ………

637:審神者周回中@陸奥国
大本営定期

638:審神者周回中@備中国
スサノオ神、王法への侵犯・敵対文脈で語られがちな神様なんじゃわな
で、神使ってのは仕える神の命令で動く

今回の大流行、祟りってーかその前触れって線も微レ存なのでゎ?????

639:審神者周回中@豊前国
おいやめろ

640:審神者周回中@山城国
誰か箒衆に聞きに行ってたりしない?
あそこなら何か知ってそう

641:審神者周回中@相模国
しない

642:審神者周回中@相模国
やだよ怖いもん

643:莠。閠?周回中@譬ケ荵句嵜
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください
おすくいください

主は来ませり
蔓延る罪人を一掃せしめんが為

神慮を拝せよ
等しく堅洲は均され軍陣は改まる

644:審神者周回中@石見国
お救いBOTくん???????

645:審神者周回中@筑前国
キャァアアアシャベッタァアアアアアアアア

646:審神者周回中@備中国
\\\\ 突然の厨二 ////

647:審神者周回中@伯耆国
ポエムはトイレットペーパーにでも書きつけてもろて

648:審神者周回中@肥前国
箒衆 is 何

649:審神者周回中@備後国
>>648
政府公認カチコミ集団

650:審神者周回中@相模国
>>648
治安維持するタイプのヤクザ

651:審神者周回中@相模国
>>648
相模にある自警団だよ
トラブルの仲裁とか荒事も請け負ってるから、強面な人が多くはある

652:審神者周回中@備中国
>>648
何でも屋してるあたおか戦闘狂のすくつ

653:審神者周回中@相模国
>>648
にっちもさっちも行かなくなった時の駆け込み寺
あそこ持ち込むと大体どうにかしてくれる

654:審神者周回中@相模国
箒衆なら活動縮小中だぞ トップが大怪我して療養中だとかで

655:審神者周回中@相模国
>>639
行ったけど知らんってさ
いま大捕り物で忙しいらしくて、緊急性高い案件以外首突っ込んでないんだと

656:審神者周回中@相模国
クソガラス怪我してんのwwwwザマァwwwwwwww

657:審神者周回中@相模国
おい他人の不幸笑ってんじゃねえぞタヒねゴミ屑

658:審神者周回中@相模国
出たwwwwww信者乙wwwwww
盲目的で攻撃的って最悪すぐるwwwwwww

659:審神者周回中@相模国
最悪なのはお前だわ
低脳と性根の腐り具合が丸見えなんだよ 引っ込んでろ公害

660:審神者周回中@相模国
ハァ?何アピだようっぜぇな
あのクソガラスが無能なせいで俺は演練どころか外にも出れなくなったんだぞ
あいつがもっと早くに遡行軍殺してれば俺はこんなにならなくて済んだのに
あいつせいで俺の人生めちゃくちゃだ

661:審神者周回中@相模国
無能はお前だ逆恨み野郎
どうせ何にもできずに震えてただけの腰抜けがよ
惜しむほどのご大層な人生でも無いんだからそのまま首でも括っちまえ

662:審神者周回中@陸奥国
レスバするならよそでやって

663:審神者周回中@美濃国
根が深そうなアンチと信者同時湧きしてて怖いんれすけぉ

664:審神者周回中@石見国
出てくるワードが不穏過ぎて震えてる
ねえ本当に箒衆とそのトップって実在してる? スレにしか存在しない創作物とかでなく???

665:審神者周回中@備中国
遺憾ながら同次元です

666:審神者周回中@武蔵国
太歳会がはじまる



 ■  ■  ■


 緊張も、警戒も、何事も無いまま日々が過ぎれば次第に緩んでいくものだ。
 幸か不幸か、この本丸は主不在であろうとも、やるべき仕事が引きも切らない。政府が何を狙って見習いを送り込んできたのかは知れずとも、毎日研修で疲労困憊、部屋に帰れば後はほとんど寝て過ごしているような状態の相手となれば、優先度は自ずと下がる。
 それこそが狙いであったのか。あるいは単純に、しごかれ続けて体力がついてきただけなのか。
 どちらでも良い事だった。彼等の役に立つのであれば。

「こんにちは、見習い殿」
「ッ! ……前田まえだ藤四郎とうしろう……?」

 盛大に肩を跳ねさせ振り返った見習いは、分かりやすく不審を滲ませた。
 それでいて畳に広げた荷を隠そうともしないのは、見られたところで用途が分かるはずも無いと高をくくっているのかも知れない。
 事実、見習いが畳に広げて唸っていたそれらは、ごくありふれた日用品にしか思えない代物ばかりである。
 何故こんなものを、と困惑する事はあっても、見習いを危険と見做して排除する要因にはなり得ない――ただ一つを除いては。

「ぼくに、いったい何の用だ」
「本丸から出たいのでしょう。手伝って差し上げようと思いまして」

 本丸さんから報告があった。歌仙が主を連れて戻った事、それを口止めされた事も。
 呆れた事に、歌仙は器替えの同意を取るつもりでいるらしい。
 馬鹿な真似をするものだ。本丸さん同様、前田は歌仙兼定に主を説得できはすまいと踏んでいる。
 そうして説得が失敗した時、歌仙が主に無理強いできるとも思ってはいなかった。
 だが、もういい。目的が一致していたから手を組んだが、打刀など、ハナから最後まで使い続けるつもりはなかった。池のアレ・・も存外よく育ち、戦力不足の懸念は解消されている。不要物には纏めてご退場頂くだけだ。

「……どういうつもりだ」
「選択の余地があるのですか? 外部と連絡が取れず、主との接見も許されないまま時間を浪費し続けたいのなら構いませんが」

 薄く笑んだまま答えれば、見習いが押し黙って視線をさ迷わせる。
 不信感はあれど、断る事などできはすまい。進展の無さに焦れているのは知っていたし、見習いがおもに接していた刀剣男士は長谷部はせべ達だ。どれだけ問題のある言動をしようと、心からの害意や殺気を浴びせかけられるような事は決して無かったはずである。
 だから前田の申し出に対して疑念は抱けても、警戒までには至らない。
 たとえ時の政府からこの本丸の過去を事前情報として教えられていたとしても、実体験での経験則が上回る。

「半刻の間だけ、裏門を開けておきます。皆の目を誤魔化すのには、どうぞこちらをお使い下さい」

 抱え持った風呂敷の中身を、畳の上へとひっくり返す。
 同じものを持ち込んでいるのだ。使い方は前田より余程詳しいだろう。
 ゴロゴロと転がり出た玉状のソレを訝しげに拾い上げて、見習いは愕然と目を見開いた。

「っ待て、どうして君がこれを持っている!? それも、こんなにたくさん……!」
「少々伝手がありまして」

 箒衆ではもはや珍しくもない代物だったが、本丸に入って以降、外部と連絡の取れなかった見習いがそれを知っているはずもない。返す言葉へ思わせぶりに含みを持たせてやれば、勝手に納得してくれたようだった。

「……ぼくは何をすればいい」
「本丸を出てくだされば、それだけで。一つ注文を付けるとすれば――

 上手く陽動として機能してくれればしめたもの。もし使えなくとも、多少なりとも時間稼ぎにはなるはずだ。
 見習いがその後どうなるかなど、前田のあずかり知らぬ話である。

「その呪香、使い切って下さいね」

 死のうが生きようがどうでもいい。
 ただ、主の視界に入らないでいてくれれば。
 ようやく解かれた思考汚染の呪いは、見習いの受け入れに端を発していた。
 この見習いの何かが主を刺激したのだ。あの寛容な主が、否を許さず己の刀剣男士を拒絶するほどに強く。
 それが何かは分からない。だが――

(僕も存外、噂に毒されていたようですね)

 自嘲と共に、頭に過ぎった妄想を一笑に付す。
 彼等から、見習いへの主替えを告げられるのが嫌だった、だなんて。
 そんな馬鹿げた不信、主が抱くはずも無いのだから。




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