過ぎ去ってしまえば、荒稼ぎの日々は良き思い出でしたね!(小判的な意味で)
大阪城攻略とか、練度あれば余裕だよね。高速槍は厄介だけど、無理なくペース配分して進めば百階くらい鼻歌交じりで到着できるレベル。無理しないで撤退できて、余裕で始末できる程度の敵しか出現しない日常って素敵。
政府からのお祝い? やたら達筆な額縁だったよ。薪にしかならんわ。
階層突破で出た報酬の方がよっぽど良かったぞ。何故そうなるし。
それより、問題なのは――
「……どうしたものかな」
戦闘するたびにやったらめったらポロッポロ落ちまくってくれた刀剣類だよねっていう。
鍛刀所だけじゃなくて受け取り箱にも山ほど突っ込まれてるんだよなぁ……鍛刀妖精さん達がいい加減どうするのか決めろ邪魔だって苛ついてるし。うん。正直すまん。既にいる刀剣男士分のドロップは全部錬結と刀解に回したけど、問題はそれでも残ったこの山の処理だ。顔も見知らぬ刀剣男士と折れたてホカホカ男士がこんもりと。
あいつら私のSAN値削りに来てんの?(真顔)
「顕現すれば宜しいではありませんか。戦力は多いに越した事は無いでしょう」
ぐぬぬと眉間に皺を寄せる私の足元で、こんさんが冷静にコメントする。
正論だ。演練場での一件で、元々少なかった刀剣男士は十六人にまで減っている。
薬研さんは顕現する気がないので実質動けるのは十五人。
第四部隊まで運用するとして、きちんと頭数をそろえるとなれば後九人は必要である。
隊が出払っている間の本丸の防備も固めるとなれば五部隊分、要するにあと十五人は欲しい訳で。
想像するだけで頭痛いんですがね!
「問題は育成の手間だなぁ……。それに、あんまり一気に顕現しちゃうと今いる男士ともめそうな気がするし」
普通に着任している余所様の本丸ですら、刀剣男士同士の経歴やら因縁でごたつく事があるらしいのだ。
未だに微妙にギスついている面子もいる現状、顕現する男士はきっちりしっかり選ばないと、本丸内部で泥沼の派閥闘争か流血沙汰が発生しかねない。
今いる男士の手綱握るのでも苦労してるってのに、これ以上面倒事は要らんぞ。
「そう悩まずとも問題を起こしたり、刃向った者は刀解していけば宜しいではありませんか。
そうすれば選考の手間も省けますし、不心得者のあぶり出しには丁度良いでしょう」
「やだこんさん、通常運転で刀剣に鬼畜」
「おや、私情で本丸を割るような者に慈悲をかけるおつもりで?」
「わざわざ不和の種をまく必要もないでしょ。
……んー。今回顕現するのは三……いや、四人にしておこうかな」
今後の育成と先住メンバーとの兼ね合い考えると、これ以上はまだきついかな。
問題は誰を迎え入れるかって事なんだけど。
「博多藤四郎って、今後の戦場で役に立つ短刀なんだったっけ」
「政府の発表ではそうですね」
「じゃあ一人は確定で。あ、太刀と槍欲しいなぁ。
今いる槍とか蜻蛉切さんだけだし。太刀も獅子王さんと和泉守さんだけだしなぁ……」
「では、御手杵様も確定ですね。太刀はどなたになさいますか?」
「山伏国広かな。あのどっしり構えた感じは魅力的」
国広さんの兄弟刀だそうだし、メンタルケア要員にはピッタリだろう。多分だけど。
余所様の国広さんみたいに分かりやすく鬱々としてはいないけど、あのひと私が要らないって言った瞬間に自分で自分の刀へし折りそうな危うさがあるからな……迂闊な発言ができなさすぎてつらたん。本丸でくらい肩の力抜いていこうぜ。
「一人、と言えば大太刀もですが。顕現なさいませんので?」
「や、大太刀増やすのは次回でいいよ。
味方にすると頼りになるのは分かってるけど……うん。まだちょっと怖い」
今回の戦果としてドロップしたのは石切丸と蛍丸。
方や物騒な由来のある御神刀(しかも古い)、方や器という頸木を失って久しい付喪神(しかもレア)。付喪神を従える上での自分の器も力量も十全に把握できてないのに、そうホイホイと顕現できる相手ではない。特に蛍丸さんな。演練で高練度なあの分霊と対戦する時の詰んでる感は異常。演練の悪魔の異名は伊達じゃないね!
石切丸さんもなぁ……。一部で流れてる三条派=ラスボス説とか、演練で追い込んだ時のあのキレっぷり見てると、どうしても二の足踏むんだよな……。
っていうかレアの蛍丸さん来てるのに太郎さん来てないっておかしくね?
物欲センサーでも働いたの? まっさらな曇りなき心の審神者のところにしかドロップしたくない系なんです? 超解せない。そもそも私はどうして顕現するにあたっての内部での兼ね合い以外で、謀反起こす可能性まで視野に入れてのメンバー選定をしているのか。
今ナチュラルにそれ含めて選んでた自分の思考回路がしょっぱい。
いやまぁ世の中絶対なんてものは存在しないし、指揮にさえ従ってくれるのなら別に絶対の忠誠が欲しいとか言わないけど……。脳裏を過ぎる初期刀の顔に、思わず溜息が零れた。
うん。まぁ、できれば気安く気軽に付き合える男士が来てくれると、すごく助かる。
「そうですか。では、後一人は誰に致しましょう」
「……同田貫正国、かな」
噂や演練で会う分霊を見る限り、あの男士は戦馬鹿という分類で良さそうだ。
つまり、戦えればそれでいい。よほどのヘマさえなければ指揮の良し悪しには頓着しないだろう。新撰組と陸奥守のように、他の男士と元持ち主同士で因縁があったという話も聞かない。
しかしこれ、綺麗に三条派、来派、伊達組、虎鉄三兄弟が欠けたな……。
…………。
うん。次の顕現とか、その辺りは次決めればいいかな!
刀帳見る限りまた次々新しい刀剣男士も実装される事だろうし、そしたら選択肢も広がる訳だしね!
レアリティなど飾りなのです。人間的相性に勝るものは無いのです……。
でも結局男ばっかっていうね。ちくしょうつらい。
「……刀剣男士って何処削ったら女士になるかな?」
「何処を削っても女士にはなりませんので、試すくらいなら刀解なさって下さいね」
「こんさんったら通常運転で刀剣にドライ!」
そして刀種変更に至る。
「こんさんや」
「なんでしょう」
「和泉守さんと同田貫さんが打刀になった」
「存じておりますが……その知らせがどうかなさいましたか?」
「うちの太刀が二人だけになりやがりましたよねっていう!
なんなの太刀組のレア率おかしくね!? 打刀はやたら出るのになんだこの差異!」
「殿、小狐丸様と明石国行様はそこまでレアでもありませんよ?」
「あんだけ難民製造しといて!?」
TOP
第一回大阪城攻略戦@終了頃。
刀種変更? が頭抱えただけで、さして何事も無く終了しましたが何か。
なお、折れた組がやたらドロップしてはSAN値チェックを要した。偶然か必然かは悩ましいところ!