それは、バレンタインの日の出来事でした。
おりしも時刻は午後のティータイムとしゃれ込む頃合い。
と仲間のポケモン達が、バレンタインに相応しく製作された巨大チョコレートケーキ(半径1メートル、高さ1.5メートル)を取り囲んでいた時の事です。ちなみに製作担当は・紫苑・貴姫の女性組。
ケーキのてっぺんではホワイトチョコレートで書かれた『イラストお礼ドリーム文』の文字が躍っています。


ひゅるるるるるるるるるるるる・・・・・・・・


上空から妙な音が聞こえてきました。
その音に、睡蓮が夢うつつ状態から覚醒し、氷月が音源を見て首を傾げ、白夜が眉をひそめ、天空がチョコレートケーキをつまみ食いしようとする手を止め、貴姫がサイコキネシスでケーキを個々の皿の上に分ける作業を停止し、紫苑が飲み物を用意するのを中止し、が天空に喰らわせようとしていた回し蹴りを取り止めました。




どぉおおおおん!




地響きを上げて、その落下物はチョコレートケーキ付近に着地しました。
微妙に地面にめり込んでいるその箱は、結構なビックサイズです。しかも鉄製です。
表面には蛍光ピンク色のペンキでデカデカと、


まいはにーへw


とか書いてありますこの時点で差出人が絞り込めますねコレ。
あらかた予想がついたはこれ以上ないくらい露骨にイヤな顔をしています。
なんてゆーか百年の恋も褪める顔です。美人が台無しですねそうですね。
他のメンバーも大体予想はついたらしく、結構アレなリアクションをしています。苦虫の中の苦虫、偉大なる苦虫キングを噛み潰したような表情で白夜が見上げた空では、とっても強そうなカイリューが旋回していました。

贈り主確定。

「・・・・・ちょ、アレ何だと思う?」

『・・・・・・・・・・・・バレンタインですし、それに関係する何か、なのは確かだと思うんですけど・・・・・』

『オレなんかすっげーヤな予感すんだけど』

『箱。捨てる?』

『埋めるか沈めるかが問題ですねぇ』

『欠片も残さず壊す、という選択肢もあるが』

『でもアレってさぁ、何入ってるんだろうね?』

視線を交わしてひそひそ言葉を交わしていた全員が、貴姫の何気ない一言に口を噤みました。
巨大チョコレートケーキより、一回りほど大きい鉄の箱。
確かに中身は気になりますが、贈り主を考えると中身を確認する気が失せるのも事実です。

どうしようか。どうするよ。

そんな感じでアイ・コンタクトを取り合う仲間達。
何となく全員が動く事を躊躇っている状態の中、突如、箱から白い煙が噴出しました。


ぶしゅううううううううううッ!!!!


「っ!スモーク!?」

だるだるな空気から一転。
瞬間的に、全員が戦闘態勢を取ります。
遠距離攻撃ができる面々が白煙に覆われた箱をロックオン、いつでも狙い撃てるように構えを取り、近・中距離が得意な面々が、どんな状況でも敵を迎え撃てるように体勢を整えました。

やがてあらわになっていく箱の壁面は、何かの舞台背景のようにオープンになっていました。
見据える視線のその先で、ゆっくりと晴れる白煙のその中には。










なんつーか 濃いアレ がいました。




ポーズまで決めてスタンバイです。
つーか結構な高度から落下してきたのに、どうしてこの男は何事も無かったかの如く佇んでいやがるのでしょうか不思議ですね変態ですね未知の物体いわゆるUMAですね。誰かNA○A呼んで来い。
速攻で標的を仕留めるべく攻撃が放たれたのは、当然の成り行きと言えるでしょう。
平穏なティータイムはあっちゅーまに修羅ひしめく戦場へと変化します。



鮮やかな青色の空を、カイリューは我関せずとばかりに悠々と旋回していました。





悪ノリして文が多くなるという罠。(なんてこったい)
いや・・・・・思いがけず愉快なイラストを頂戴したもので・・・・妄想が盛り上がりまして・・・・・
未穏さんイラストありがとうございます。そして神な絵を崩壊させる夢文で大変申し訳ない(しかし悔いはない)(悔いろ)