白くて丸い、球状に密集した花を咲かせるシロツメクサ。 淡くて濃い、ピンクの花を咲かせる蓮華。 一本一本摘んで順々に束ね、長い茎でくるりと巻いて纏めていく。 手馴れた様子で編まれる花はやがて、連なった一つの長い紐へと変化していって。 自分で編んだ花の紐をぐるりと輪にしてみてはまた編む、といった行為を繰り返していたは、やがてそれが人間の頭ひとつ半くらいの大きさになったのを見て、満足そうに頷いた。 「よし、これくらいかなー」 花畑に座り込んだは長い紐で一つの輪をかたどり、足元から長めに摘んだシロツメクサで繋げる。 綺麗な形に造形された輪を見て、紫暗の髪の少女が手を休めて歓声を上げた。 『わぁ・・・・ご主人さま、すごく上手なんですね!』 「はっはっは。工作は得意なのさ」 火炎瓶とか爆弾の信管作りよりは楽だぞ☆ 「はい、紫苑」 物騒極まりない言葉に突っ込む者もおらず、は出来上がったばかりの花輪を、紫苑の首にかけてやる。 身を乗り出し、両の手を首の後ろへ差し入れる。花輪に潰された髪を開放してやると、柔らかな髪がふわりと舞った。頬を染める可憐な少女を至極満足そうに見て、笑って。 「紫苑きゃわゆぅいいぃいィィ !!!vvvvvvvv」 そんな叫びを上げて抱きついた。(病んでるよコイツ ) 『ふひゃぁ!?』 いきなり抱き締められ、驚きの声を上げる紫苑。 しかし「あーかわぃいいいいいいいーやっべぇ犯罪だコレー」とか言いながらすりすりと頬擦りする己の主人にさして抵抗を示す事は無く、むしろ嬉しそうにはにかんでされるがまま状態である。 「はッ!そういや、紫苑が作ってるのはどこまでできた?」 唐突に正気に戻ったらしい。 それでも緩んでる表情のままで尋ねるに、紫苑は申し訳無いとでも言いたげに眉根を寄せる。 『あぅ・・・・あの、まだ・・・・・・・・・・・・・・・・これだけ、です』 おずおずとした様子で差し出されたそれは――――初めてだという事もあってか、の作ったものの半分程度しか無かった。使用されている花も、作っている間に潰れたり花弁が千切れたりしてしまったらしい。 いっそ哀れなほどにみすぼらしく、緑の茎を露出している。 「んー、初めてならこんなもんじゃない?気にしない気にしない」 『・・・・・・でも、せっかく作り方、教えてもらったのに』 まるで耳を垂れてしょぼくれる子犬のような雰囲気で落ち込む紫苑の頭を軽く叩き、 はボロボロのそれを器用に輪にして。 「はい、冠ー」 明るく笑って、ちょこんと紫苑の頭上にのっけた。 「お姫様は笑顔が一番ってね♪つーか、いっぱい作れば嫌でも巧くなるんだからくよくよしーなーいーのー」 『いひゃいれひー!』 「第一、あたしの技術に真っ向から歯向かうなど百年早いザマスよ」 『ごひゅひんひゃみゃー!!!』 むにむに両頬を抓まんで伸ばすに、紫苑はぱたぱたと両腕を振り回して抗議する。 ひょほほほほと笑いながら手を離した主人を見据えて、ふくれっ面で頬を押さえて。 『・・・・・・・ぜっったいにご主人さまより上手なの、作ってみせますからっ!』 紫苑の宣言に、は「がんばれー☆」と余裕の表情で意地悪く笑った。 |