邪説・シンデレラ
とある時代とある異世界にて。 ハンター帝国と呼ばれる、世界最大の版図を誇る一国家がありました。 その国の貴族である伯爵家に、クラピカというそれはそれは美しく聡明な女の子がおりました。 早くに母を亡くしたクラピカ嬢は、それでも父であるヒソカ氏とギブ&テイクなビジネスライクでそれ以上でもそれ以下でも無いドライ極まりないってゆーか私生活上では絶対干渉しない、だけど時々父親なヒソカの奇行怪行変態行動に悩まされる平穏という言葉の意味を見失いそうになる生活を送っておりました。 しかしそんなある日の事、何の脈絡も無く前置きもすっ飛ばして唐突に父・ヒソカが再婚しました。 クラピカが知ったのはその再婚相手が二人の連れ子を伴ってやってきた時です。その時点ですら父不在です。 顔を合わせた瞬間にクラピカVS継母クロロの戦いが始まりかけたのは言うまでもありません。 連れ子である義姉その1のが必死こいて止めなければ、速攻で屋敷は血の海と化していた事でしょう。 義姉その2のイルミは傍観です。時々を援護してくれる以外は徹底して傍観を貫きました。 ちったあお前も手伝ってやれよ。 「いいけど、いくら出す?」 有料かよ。 ゾルディックに依頼する金なんざ無いので話を戻します。ともあれ初対面から殺し合いを繰り広げようとしただけあって、クロロ夫人とクラピカの仲は果てしなく険悪でした。主にクラピカが敵視している感じですが。 「くっ・・・・・何故止めるんだ、!」 「いやこれ番外編だから。パロディーにまで原作のノリ持ち込んだら話にならないでしょ!」 「放してくれ!いくらの言葉でも、これだけは譲れないんだ!!奴は私の同胞を・・・・・・・っ!」 「だーかーらぁああ!その辺の設定無視しないとパロなんて成り立たないでしょーが抑えてシンデレラーッ!!」 必死でシンデレラを取り押さえる義姉その1。 シナリオを成り立たせようと頑張っている姿は立派なんですが、ぶっちゃけ家庭がミスキャストすぎて不可能ってな気がしてきましたマジで。 「ならなんでこんなメンバーにするかなッ!?」 ああうん、クジなんで問答無用で運ですかねー。 クラピカが主役な辺りから一家のメンバーが物騒なの揃い踏みな所まで、仕込みはまったくしてません。 「アタシ以外にストッパー入れてくれてもいいと思うんだけど!!」 そこは犬に噛まれたとでも思って。 「思えるかぁあああああ!!!!!!!!」 そんな感じで義姉その1が精神的にも肉体的にも磨り減る日々を送っていると(あれ、シンデレラ苛めは?)、お城から武闘会の招待状が届きました。ちなみに舞踏会ではありませんし誤字でもありません。武闘会です。 当然ながら武闘会というのは建前で、ハンター帝国の第一王子・キルアの花嫁探しが目的なのは周知の事実でした。参加者は全市民全家庭の妙齢の女性です。節操が無いにも程がある収集ですね。 しかも武闘会で嫁を決めるとか何考えてんでしょうね、まぁネテロ国王ですしね。 その一言で重臣のみならず全市民が納得する辺りは国王クオリティ。 「は居残りだから」 「シンデレラじゃなくて!?」 「当たり前だろう。お前が嫁に行くとなったら煩い奴が多いからな」 妹のイルミの言葉にツッコミを入れる。 クロロ夫人もさらりとシナリオ無視な発言で肯定しやがりました。 「不本意だが同感だ。二人で留守番でもしていよう」 「お前は行って王子を誑かせ」 「ストップ二人とも睨み合わない構えない念も発動させちゃ駄目ー!」 かくして、何故か居残りをさせられる羽目になったと自主的に居残りを勝ち取ったクラピカが家に残る事になりました。誰もいない家にお年頃の男女が二人っきりとか、ラブロマンスでも発生しそうなシチュエーションですね。しかしそんなお年頃思考は、本気で久しぶりの穏やかな時間に対する喜びを噛み締めるのに忙しい二人には存在しませんでしたよ残念ながら。普段が偲ばれますね。 「こんばんわ、クラピカ!」 そこへやってきたのが親切な魔女のゴンでした。 シナリオ通りに魔法で不法侵入です。今更ですが犯罪ですね。 「ああ、こんばんわ」 「いらっしゃい!ゴンが魔女だったんだ」 「うん。クラピカに魔法かけに来たんだけど・・・・なんでもいるの?」 不思議そうなゴンのストレートな問いかけに、はひたすら遠い目になりました。 うんまぁ色々あったからね。ちょっと泣きたくなりました。 何故自分はこんなポジションなんだろうか。 たそがれるを優しく放置して、クラピカはゴンの魔法で武闘会へ行く事を丁重にお断りしました。 そもそも行く気自体皆無です。男が男に惚れられても嬉しくないですからね。 女顔で女役(しかも主役)ですけど。 こうして、魔女のゴンとシンデレラのクラピカといじわるな義姉のは優雅かつ癒されるティータイムを満喫し、「ゴンの魔法で家出とかできないかな」「うーん・・・・・やれる、と思う」「じゃあ家出しよう。荒んだ日常はもーヤだ」「私はここに残って奴と決着をつける」「いや、もうちょっと修行して力付けてからの方がいいと思う」てな成り行きで、魔法の力を使って見事、荒んだ生活とおさらばしたのでした。 めでたしめでたし。 |