■ ファーストコンタクト−拾得物って、拾い主のモノになるんだっけ?− ( GetBackers無限城時代 )



その子は、とても綺麗だった。
自分と同じ黒い髪に黒い瞳のはずなのに、本当に同じものなのかと思うくらいに。

・・・・・どうしてだろう?

こくりと首を傾げて、眉根を寄せて。
そうやって考えてみれば、疑問の答えなんか直ぐに出た。

存外つまらない解答に、なァんだと唇を尖らせる。


「ねぇ、死ぬの?」


ちょこちょこと、其れに近付いて。
しゃがみ込んで聞いてみる。
絵の具で塗ったみたいな白くて血の気の無い顔。
赤い色が映えて、とっても綺麗。

黒い髪・白い肌・赤い血。

綺麗なのなんて、当たり前。
だってこの組み合わせは、ボクが一番好きな組み合わせなんだから。

・・・・・・でもこの子、男の子なのかな、女の子なのかな。
どっちなんだろ?

そんな事を考えながら、じいっと見つめる。
ちょっとだけ待ってみたけど、返事は返ってこなかった。

「・・・・・ちゃんと返事してよー」

長い髪を掴んで、強引に顔を持ち上げる。
その子は痛そうに呻いてたけど、返事しないのがいけないんだもん。

目を合わせてみれば、その黒はギラギラしてて。
動けなくて、死にかけなのに。

とってもとっても、素敵な目。

今にも襲い掛かってきそうなその目が。
すっごく、気に入った。


だから。


にこ、と笑って。

瞳をきらきらと輝かせて。




極上の、餌を撒く。




「助けてあげよっか?」


それは、ほんの気まぐれな遊びの一端。
風鳥院 花月と のファーストコンタクトは、そんなものだった。




 ■ 逆鱗に触れる−悪戯は時と場所を考えましょう。−     ( ハリポタ親世代でスリザリンif )



それは、昼時をやや回ったある休日の事だった。
人の気配もまばらな大広間―――――それでも本来ならば学生達のとめどないお喋りが響いていてしてしかるべきだと云うのに、今は誰もが言葉を発する事も、動く事すら忘れたように凍り付いて動かない。

「今日はまた、一段と激しかったねぇ」

のんびりとした、緊張感皆無の声が静まり返った大広間に響き渡る。
一目で東洋人と分る愛らしい少女は、目の前で正座する二人組みを見ながら目を細める。
ほのぼのした口調だ―――ただし、その声にうっすらと憤りや怒りが含まれていると気付かなければだが。
その小柄な身体から放たれる空気は、周囲の者を萎縮させずにはいないような恐ろしいそれで。


ごくり、とその場の誰もが唾を飲み込んだ。


事の始まりは、まぁいつも通りと言えばいつも通りだった。
スリザリンの上級生であるに対する悪戯を仕掛けようとした、ただそれだけの事。
いつもケロッとした様子で避けきるこの先輩に一泡拭かせようと、今まで一度も彼女に対する襲撃を成功させたためしが無い二人(ちなみにリーマスはむしろ止めるし、ピーターは一度何かあったらしくやりたがらない)がクソ爆弾やらペイント弾やらあまつさえ呪文まで使っての大掛かりな悪戯―――むしろ成功していたらイジメだが―――を仕掛けた。
これは当然のようにあっさり避けられたものの、その余波によって引き起こされた惨劇は、見事にの逆鱗に触れた。

「いつもだったら、ちょっとオシオキして終わりなんだけど・・・・」

こくり、と首を傾ける姿はとても愛らしい。
ただしそれは表面上の言動だけに限定されるという事を、少なくともグリフィンドールの悪戯仕掛け人二人はよく理解していたし―――この場にいる者は、いやおうなしに肌で感じさせられる羽目になっていた。

姿形は小動物。
口調も声も動作も可愛らしく、実年齢より幼くしか見えない。
普通なら、その怒りが見る者の恐怖とはなり得ない。
だが、この少女は別だった。

怖いのだ。

それも、恐ろしく。

今すぐこの場から逃れられるのだったら、スネイプと友情を築いたって構わない。
そんな事すら真剣に思う彼等の内心など知る筈も無く―――知っていても容赦はしないだろうが―――温和な雰囲気は毛程にも纏っていない乱夜は、満面に怒りに満ちた微笑を浮かべて。


「ボクのポテトサラダを食べれなくした罪は、禁じられた呪文を使うより重いからね?」


発言は幼稚な子供の言い分でも、その先に待っている恐怖を思えば笑えやしない――――ジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックは、青白い顔面を紙より白くさせて後退りした。




 ■ 弱肉強食−弄ぶのは神の性−     ( オリジナル )



その日、そこらの世界を司る神様より問答無用に高位に所属していたりして、実は空が青かったからとかそんな理由で世界を滅亡させられちゃったりするという絶対的な力を持つ“黒の神子”こと さん(童顔)は何となく思いついた。
そしてソレを実行する事にした。思い立ったが吉日。面白そうだと思ったらその時行動した方が面白い。幸い力は無駄にありまくる楽しいこと好きな彼女の行動は素早かった。



「だからねぇ、ボクはキミを異世界トリップさせようと思う訳なんだよー」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

本屋で出会った初対面の人間が開口一番に発した電波なお言葉に、少女は思いっきり目を点にする。
前置き無しに手にしたマンガから出てきた無数の触手に絡めとられ、強制的に異世界へ飛ばされる羽目になる彼女がその後「あの時速攻で逃げるべきだった………!」と何度も悔やむ瞬間は、ただ間抜けに過ぎ去ったのであった。




※展開メモ
・説明しないし状況説明も省く、主目的が異世界に飛ばされた人間が戸惑う姿を見る事という最低な強制トリップ。
・見飽きたら捨てます。一番最初に目についたから飛ばした よ!(爽)