■ 雑談しよう−そんな彼らの華麗な午後− ( ポケモン プラチナ ) 「ラーメンっておいしそうよね」 そんな事をネオラントのホタルが言い出した。まぁ食えるものなら何でも食う感じの少女なので仲間達としてはどうでもいいかんじだが、止めておかないと本気で実行するのもよく分かっていた。 頭は悪くないのにどうしてこうなのだか、検討もつかない。 だって食欲の為なら数週間寝込んでもいいっておかしいだろう。 「わたしら食べたらまずいと思いますよー」 ムクホークのヌエが無難な牽制をする。 さりげなくホタルの浸食から己の好物のポフィンを守る手際の良さはもはやあっぱれだ。 なにげにラムパルドのナイトが、ぼーっと考え事してるレントラーのライデンの分に何かの汁をふりかけたのは見なかった事にしておく。あまつさえニューラのエッジと『してやったり』的に親指押っ立ててたのだって見てなんかいないさ。 「でもおいしそうですよねー。ねぇ?シュロ」 「なんでオレに振るのかな」 できなくても振らないで欲しいそんな反応に困る発言。 なんとなく視線を彷徨わせればナイトと目があった。なんでお前そこでにたって笑うんだ。 「なぁホタル知ってるか?」 「はぁい?」 うさんくさそうにホタルはナイトを見た。 ライデンが悲鳴を上げてエッジが笑い転げて雷の洗礼を受けたのはやっぱり知らないフリをしておこう。 てゆうかなんで今に限って一人で行っちゃうんだご主人。オレも連れてってくれればいいのに。 こいつらと一緒でどれだけオレの胃が摩滅すると。 「人間でもポケモンでもな、…………同族が一番旨いんだぜ」 「えー」 ホタルはうさんくさそうだ。 けどなんでそこで目が輝いてるのかな。 「マジだって。だから共食いって禁止されてんだよ。 どの種族も共食いはじめて絶滅したらマズいだろ?自然の本能ってヤツだ」 「うーん………一理あるかも」 「だろ?」 ごちそうさま、と手を合わせてお行儀良く食事を終えたその向こうで、本格的にバトルが始まっていたけどもう介入はしたくない。みんな気になるんだけど、四天王とリーグチャンピオン相手にした後なのになんでそんな元気あるんだ。 「たちの悪い誘惑しちゃ駄目ですよーナイト。いい加減にしないと水辺に突き落とします」 「 俺が悪うございました 」 「ナイトお前、オレ相手の時と態度違うよな?違うよな??」 「お前よかヌエの方が怖いじゃん。あ、ご主人別格だけどな?」 微笑んで言うお前にマッハパンチ食らわせたいよオレ。 「ライデンとエッジのポフィン、食べていいよね」 「聞いてみて返事がなかったらどうぞー」 バトル中で聞こえるはずもないの、分かってるよなヌエ。 後でとばっちり来そうな気がしたけど、気力が足りないからホタルの行動は黙認する事にする。 一番古株だからって、リーダーの素質があるとは限らないよなってつくづく思うんだ。 ご主人、早く帰ってきて。 ※設定メモ ・リーダーしてるけど統率しきれないゴウカザルのシュロ(素直キャラ) ・ゲーム設定チームメンバー。最強はヌエ(おっとり血の気が多い)だがしかし基本みーてーるーだーけー(笑) ■ SEKKYOU☆TIME!−現在成り代わり生後30分− ( 破妖の剣「翡翠の夢」派生 ) 転生した、死亡原因はテンプレに交通事故であったので割愛する。 それでは現状を的確に表現する発言を申し上げるとしよう。 「これはひどい」 地球産現代生まれのゆとり世代な元女子高校生。 現在「破妖の剣」世界にて、原作キャラでメインキャラな緋稜姫成り代わりをやっている。 ……………いやいやいやいや。これはない。ないから。 何故よりによって死亡フラグMAXなポジションのキャラに成り代わりなんだ。 NARUTO的表現をするならサスケと同い年でうちは転生並に面倒な展開なんだがコレ。 「何がですか、姉上」 目の前から、苛々と疑念を含んだ美声。 原作既読であれば言わずと知れたヤンデレ臭のしまくるシスコン弟、その名も乱華君である。 ちなみにチャームポイントはゴージャスな金髪くるりんロングな巻き毛だ。それが似合う辺りの美形っぷりは、流石最上美形同士のハイブリッドと感嘆の念を抱かずにはいられないが、現在は絶賛正座中である。シュールだ。なお、後方には愉快げに成り行きを見守る(ティータイム空間セット完備)翡翠の妖主――――の、守護者殿がいらっしゃる。 オプションで妖貴の下僕付きで。まぁ眼福。 ………話がそれた。 さて。現在の私は主人公であるラエスリールの“守護者”、緋稜姫である。 ここで原作未読の人にやさしい解説をば。 守護者とはライフポイントを削って身代わりを作成する術の事だ。ちなみに削るライフは1でもOK。 この削った1ライフに術をうにゃうにゃする事で、力量同等、しかし主人の欠点をすべて補完した、主人を守る事を第一義とする“守護者”が爆誕するのである――――断じてトリッパーの魂を宿す2Pキャラ作成の術ではない。 いや確かにラエスリールより口は回るしシリアス脳してないしにぶちんでないし小器用ではあるが。 原作の重要キャラの性格が違うって時点で既に立派な原作崩壊である。うん演技とか無理だ。魔性の感性はドン引きしたくなる程度にアレなので、正直前世一般人な小市民にはついてけない。 そもそも、産まれた段階で原作乖離はスタートしているのだ。なにせ原作の緋稜姫、産まれてすぐに弟君の魅了眼にキャッチされて本来なら主人以外には明かすべきでない名前を弟君に捧げちゃっているのである。 ゆえにポジショニングは初期から徹底して主人<弟君。 存在意義丸投げだろう。 ちなみにカンの良い読者はお察しだろうが、私は捧げていない。 なにせ魅了眼の効果とか弟君の庇護欲ガッツリそそる顔より、事故のショックといきなりな場面転換と脳内にいきなり注ぎ込まれた情報と原作知識と現状把握で手一杯だったのである。他人なぞ知るか。 困惑と混乱か過ぎ去ってから、とりあえず弟君には「親しみをこめてひーたんと呼ぶといい」 とドヤ顔で言ってみたんだが、絶妙な微妙顔で謝絶された。 まぁ真面目一辺倒な実姉と同じ顔した相手に言われればそのリアクションも頷ける。 だが自重はしない。 「君の感性が、だよ。弟君」 魔力謹製のホワイトボードを背後に、片手に魔力謹製ペンを持ってげんなり項垂れる。 私が私である以上、原作崩壊は免れない。 ならばもういっそこの話をほのぼのテイストで染め上げるべきだろう元一般人としては。 そもそも死亡フラグとか御免である。成り代わりとはいえせっかく転生したのに生後一年とせずに死亡とかなんだその鬼畜展開。こういう時よかったと思うのは、原作知識がある事だ。 死亡原因がわかっていれば対処のしようもある。そして私、緋稜姫の死亡原因は主人を庇ってだが、下手人は現在見物客に徹している翡翠の守護者殿で理由は痴情のもつれだ。 何故もっと上手く愛人と手を切らなかったのかあのヒーローポジションのサド野郎は。端的に死ねと申したい。 まぁ恋愛は周囲に迷惑振りまかなければ自由だ。 よりによってアレに捕食された主人には同情を込めて黙祷せずにはいられないが、基本的には自由であるしぶっちゃけて運☆命(作者のお導き的な意味で)なのでどうにでもなれと放置しておきたい。 ……こちらに被害が回って来なければ。 ともあれそういう訳なので、私は愛ゆえに実姉を拉致監禁したがるこのヤンデレ弟を躾け直し、きっと経緯は違うだろうけども確実に起きるVS翡翠戦までに、実姉と友好的な交流を築ける程度にせねばならんのである。 捻じれまくった姉弟関係修復とか本気で遠くに放って私関係ないですって顔してたいんだがな。 主人守るのは本能の域だしそうなると死亡フラグ避けようがないし。となれば戦力増強して生存率アップに繋げようとするのは自然な成り行きだろう。妖主クラスの力で嫉妬に狂ってるとか、できれば相手したくないのだがな。 「いいか、独占したいのは仕方無い。 だが耐えろ堪えろ我慢しろ。相手が身内に甘かろうと、拉致監禁も流血沙汰も自重しろ」 「何故です!?アレは私の物です!」 「至極自然に所有物宣言をするな自由意思を尊重しろ阿呆。力ずくで奪うだけなら獣にもできる」 うん、だがまさか基本から躾がいるとは思わなかったがなこのシスコンめが! 仮にも母親が人間で姉も人間寄りだというのに、人間らしい道徳観念が皆無であるこの弟君。 おい父親どういう教育してるんだ。 魔性教育ですねわかります、だから面倒に発展するんだよ。 無駄にプライドと図体と力だけ育てよって。 わかりやすいうんざり顔で、ホワイトボードをコツコツと叩く。 「いいか、ラエスリールの感性は人間寄りだ。そして優柔不断のお人好しだ。 そんなアレが周囲の人間を傷つけられて拉致監禁されて、あとまぁ自身も眼とか命狙われても君を殺さんのは一応まがりもなにも血の繋がった弟だからだ。私個人としては殺せんのなら再教育しておけと言いたいが」 弟君は不満そうである。だが正座は崩していない。 ちなみに本人の自由意思ではなくて魅了眼パワーによる強制である。 仮にも主人と同スペックなのだ、姉に叶わん弟に私が勝てん道理などない。 おかげで安心して教育指導ができている。 「姉上は、姉上は私の物です!何故他人と共有しなくてはならないのですか!?」 「だから譲歩しろと何度言わせる」 逆に、見物人の翡翠様は大変興味深そうにしていた。 まぁ、主人が甘い相手に手厳しい守護者は確かに珍しいかも知れない。 基本的に主人の感情絵図が守護者にも反映されるからな、うん。 トリッパーな魂持ったエセ守護者には適用されていないらしいが。なんとも好都合である。 先行きは暗いし再教育は前途多難。 だが。私は諦めん! 今回こそはベッドで大往生を遂げるために、な!! ……………うむ、ところで私は一体誰に説明しているのだろうな? ※設定メモ ・死亡フラグが些細なミスで成立しそうな安定の緋稜姫さん成り代わり。 ・前世は普通の女子高校生。ただし武力B−でカリスマA+の高スペック風紀委員長。 ・原作知識があるので如何に事態を丸く収めるかで奔走する羽目になる。 ・だがしかしあちこちに地雷が埋まっている上最大地雷は原作主という罠。がんばれ主人公ちょうがんばれ。 |