その1 2SK117/12BH7Aカスコード+ダイヤモンドバッファ
12Vで動く真空管ヘッドホンアンプっていうのがWEB上にちらほら出ていて、面白そうだからやってみるかってことでいろいろバラックを
組んで試してみました。YAHAアンプといわれるグリッドリークバイアスアンプはどうも食わず嫌い。(笑)
まずは電池でマイナス電源を用意して12AT7、12AU7、12BH7Aなどのグリッド前に2SA1015のエミッタフォロワを追加し、A2級に
してみました。やっぱりこんな領域だとユニットによってはグリッド電流>プレート電流だったり、歪が大きかったりとうま
くいきません。やっぱり無茶はするもんじゃないですね。まあ危なくはないですが。
そうこうしているうちに、手持ちの12BH7A(すべて40数年前の小学生時代に粗大ごみのテレビから抜いた球)の中の3本ほどが、
両ユニットともにEp=6V(Ebb=12V)、Ek=1VでもIp=0.1mA程度流れるものがあると分かりました。もちろんそのまま素直にカ
ソード接地すれば、歪が大きく、使い物になりません。
そこで、グリッドをア-スして2SK117とのカスコードにしてみました。
2SK117のIdを、12BH7AのEkが1V程度になるようすなわち0.1mA強になるように設定すると、まずはまともに増幅しました。
2SK117が強制的に12BH7AのIpを決めてしまうので、12BH7Aの個性というか非直線性は見事に隠されることになります。まあ
本末転倒ですね。とりあえず真空管はダミーじゃないけどっていう程度です。(笑)
右は回路図です。クリックするとpdfファイルが開きます。(戻るときはブラウザの戻るボタンで戻ってください。) 上記の初段に2SC1815/
2SA1015のダイヤモンドバッファ(終段3パラ)をつないで、利得が全体で約2倍になるようNFBをかけています。 2SC1815/2SA1015
をこだわって使ったわけではなく、たくさん持ってたというだけのことです。終段のベース抵抗は省いていますが、
特に問題はないようです。 以下その5に至るまで、一つ当たりのアイドル電流は5mA 前後と低めに押さえています。 触ってもほんのり
のほうが私のような素人には精神衛生上いいので。 電源のケミコンは在庫が無くなりかけていたので、貧乏くさく少ないです。 まあ、タカチのMX2-8シリーズの
ケースに収めたかったので、と言い訳しておきます。 電源には1AのSW電源アダプタを使ってます。 秋月の一番小さいのではヒーターの
突入電流で立ち上がりませんでしたが、中型?(かの有名なHPでご推奨のもの)は問題なく使えました。
一応特性の測定と方形波出力の観察はしました。歪率はWavegeneとWavespectraを使わせていただきましたが、サウンドボックスの機材がよくないせいか、
あまりあてにできません。まあ、傾向を見てもらうということで。
音は…、一応ちゃんと鳴りますよ。 バカ耳なんで音質などコメントはしませんが、ノイズは気になりません。
あ、大事なこと書くの忘れてました。 手持ち7本中3本の12BH7Aが使えると思ってましたが、最初に偶然使った日立のは2か月ほど使って
全く問題なかったものの、あと2本の松下製は電源ON後30分ぐらいで窒息?します。カットオフしっぱなしになるんでしょうかね。
こんな変な使い方するので、文句あるはずがありません。 真似する人はいないでしょうが、もしやるならやっぱり24Vぐらい
掛ける必要があるでしょう。でもそうするとヒーターの点火がめんどうだし…。 やっぱりお勧めできないです。
<特性> 負荷は100Ω三本並列
<方形波出力> 見難いですが1div=0.5Vです。 左から100Hz,1kHz,10KHz ちょっとひげがありますね。
その2 2SK117 一段差動+ダイヤモンドバッファ
その1が自分的にはそこそこの音でだったので、会社で話したら、欲しい人が出てきて、調子に乗って引き受ける、っていつもの
悪いパターンが…。 といって真空管式は球に制限有りなので、巷で噂のぺるけ式を参考にさせていただき、手持ちの部品に合わせて
作ってみました。その1同様に電源のコンデンサがプアーなので、あくまで「もどき」です。 実は真空管アンプ用に袋で買った2SK117Yから
Idssが割と揃ったペアがいくつか取れたっていうのが直接の回路選定理由ですが。
右は回路図です。クリックするとpdfファイルが開きます。(戻るときはブラウザの戻るボタンで戻ってください。) 今度はけちって
2パラです。
やっぱりバカ耳なんで音質などコメントはしませんが、あえて言えば非常にクリアな印象でした。依頼主も満足とのこと。 なお、ちょっと奥行きの
あるケースにして、秋月DACを仕込んでます。 ハイカットフィルターはぺるけさんの定数を使わせていただきました。
<特性> 負荷は100Ω三本並列
<方形波出力> 左から100Hz,1kHz,10KHz
その3 2SK117 SRPPもどき+ダイヤモンドバッファ
2台作って、面白くなって、さらに調子に乗って作ったものです。その1~2にはタカチのMX2-8シリーズ(もとは樹脂パネル)の
ケースを使ってますが、最初に3つ仕入れておいたので、ケースが手元に1つ残ってたっていうのも調子に乗った理由です。
もともと前後のパネルは木の板を削って取り換える予定で買ったケースですが、やっぱりその1、その2のパネル加工は面倒でした。
そんな中で、勤務先の協力会社さんに立ち寄った際に「パネル作ってくれたらアンプ作るよ。」というバーター取引が成立してしまいました。
せっかくだから違う回路で、それも多少はオリジナリティーのあるやつを、などと身の程知らずにやってみたのがこれです。
右は回路図です。クリックするとpdfファイルが開きます。(戻るときはブラウザの戻るボタンで戻ってください。)
たくさんある2SK117でどうにかしようってことで、SRPPみたいにしたらって安易に考えて作ってみました。でもよく見れば上のFETはもろに定電流
回路そのものですね。SRPPというよりは、要するに極めて高い交流負荷をもつ普通のソース接地アンプ(下側FET)ってことです。上の段のソースから信号取り出すって言っても
出力インピーダンスは半分にもなりません。(LTSpiceでシミュレートしたら70kΩ位だったと思います。(うろ覚え)
初段出力のDC電位の合わせこみはかなりシビアで、Idssがかなりよく揃ったFETでもソース抵抗を数Ω単位で調整しないとなかなか中点電位
に合わせることが出来ませんでした。 そんなわけ気休めですが上下のFETは熱結合しています。 オリジナリティーって言っても、浅学菲才の身では
この程度です。まあ、いろいろいじくって遊んでるってことで大目に見てください。
バカ耳にはやはりそれなりに良く聞こえます。 しいて言えばちょっと線が細い感じですが、アコースティックギターなんかはいいんじゃない、ってところです。これも秋月DACを仕込んでます。
<特性> 負荷は100Ω三本並列。10kHzの歪率がやや悪いです。理由はわかりませんが、絶対値としてはまあ良しとします。
<方形波出力> 左から100Hz,1kHz,10KHz
その4 OPA2134+ダイヤモンドバッファ
さて、しばらく楽しませてもらったヘッドホンアンプづくりですが、一応これで打ち止めかなと思ってたら、その3の納品先?である
協力会社の女子社員さんにも作ることになっちゃいました。 アルミパネルをかなり余分に作ってくれてたので、お返ししないとと思い
つつ、「スマホつなぐんでしょ、だったらスマホからの入力だけでUSBはいらないよね。」と聞けば、「ううん、両方欲しいですぅ。」と
はにかみつつ目をキラキラさせて(普段見たことない…同社専務談)おっしゃるので、秋月DACを追加発注しました。
右は回路図です。クリックするとpdfファイルが開きます。(戻るときはブラウザの戻るボタンで戻ってください。)
秋月DAC発注のついでに、巷で評価の高いOPA2134も仕入れて、王道/鉄板の「オペアンプ+ダイヤモンドバッファ」としています。
電源は簡単に抵抗とコンデンサで疑似両電源にしています。だんだん手抜きがばれてきた…。 この回路でもオフセットは0.2mVと0.5mV
と十分低く、当初出力コンデンサ追加もありかなと思っていましたが省略しています。下図のようにさすがOPアンプ、特性は見事ですね。
また、位相補正等は一切していませんが、高帰還にも関わらず方形波出力波形は極めてきれいなものとなりました。
OPA2134って使いやすいですね。(影の声:LM358とかTL072しか使ったことないんでしょ。私:失礼な、LF356やOP-07、もちろん741
もメタルカンで嫌ってほど使ってるよ…っていつの時代や。)
音についてやはり自分のコメントは控えますが、何人かに聞き比べてもらったところ、支持者は一番多かったです。(ダントツではないですが)
<特性> 負荷は100Ω三本並列
<方形波出力> 左から100Hz,1kHz,10KHz
その5 古典SEPP
OPアンプもいいですが、C1815とA1015だけで古典を楽しもうってことで、いわゆる4石構成の古典OTLアンプを作ってみました。
70年代サウンドは甦るでしょうか?(笑)
右は回路図です。クリックするとpdfファイルが開きます。(戻るときはブラウザの戻るボタンで戻ってください。)
終段の2SC1815についている22pは、一応完成後にC1815側だけに少しだけ発振が見られたため追加しました。たぶんベ-スに
1kΩでもぶら下げれば止まるんでしょうが、小さなユニバーサル基板にキチキチに詰めて作ったので抵抗のスペースがなかったのが
実態です。
出来上がって、とりあえず机の上にあった秋月の中型SWアダプタ(評判のいいやつ)で聞いてみたところ、16Ωのヘッドホンでは
ノイズ(ハムにしてはちょっと高いが、それほど高い音ではない)がちょっと聞こえます。オシロを最高感度にして見ると300Hz位の
ノイズが見えました。 初段のバイアス部分には結構な容量のコンデンサを突っ込んでありましたから、不思議だなと思いつつ何気
に小型SWアダプタ(一番小さい四角なやつ)に切り替えるとピタリと止まります。(もちろん高周波のパルスはオシロではちょっと見えますが)
詳しいことはわかりませんが、レギュレータの方式が違うんでしょうかね。初段のコンデンサを増やせばいいのでしょうが、
面倒なので小型アダプタのケーブルにフェライトかませて良しとしました。ノイズはバカ耳には気になりませんでしたし。
いまどき誰も作らないでしょうが、なかなかどうして、悪くないですよ。あえて言いますが、ちょっと荒っぽい感じもするけど、
飛び出してくるような躍動感があって、私は好きです。
<特性> 負荷は100Ω三本並列
<方形波出力> 左から100Hz,1kHz,10KHz
その6 番外編 OPアンプによるClass AA
ケースもボリュームもジャックももう一組あったので、OPアンプだけってのも一つ作ってみることにしました。
右は回路図です。クリックするとpdfファイルが開きます。(戻るときはブラウザの戻るボタンで戻ってください。)
WEBにはCMoyとかA47とかがいっぱい載ってますが、
new_western_elecさんのHP(勝手にリンクすいません)にあった「禁断のClass AA」ってのに惹かれて、OPA2143とNE5532
で真似させてもらいました。 テクニクスのClass AA、覚えてますよ、貧乏人には高値の花でしたが。
とりあえず補正コンデンサなしで組んでみて、やっぱり発振するんで、手持ちの22p突っ込みました。ちょっと値が大きすぎる気が
しましたが、手持ちがこれしかなかったので…。 実はホイホイとユニバーサル基板に組んでたんですが、OPアンプの配線が裏表
逆じゃんorz。ソケット使っといてよかった。オペアンプの足ひっくり返して挿して、足の曲げたとこに補強でちょっとハンダ盛って、
ケースの蓋閉めて知らん顔~。
古典SEPPを聞いた後ではちょっとおとなしい感じですが、バカ耳なんであてになりません。 ゆえに音質云々は語りませんが、
聞いてて心地いいのは事実です。
<特性> 負荷は100Ω三本並列
<方形波出力> 左から100Hz,1kHz,10KHz
真空管ホームへ
このページはリンクフリーですが、内容の無断複製・転載はおやめください。