6CA7(三結)シングルアンプ
ある日、会社の後輩たちと一杯やった後に自宅に招き(この時点では酔っているのでヨメのご機嫌までは考えが至っていない)、
コーヒーをご馳走しつつアンプに灯を入れてゴンチチなど聞いていましたら、えらく皆さん気に入って下さり、「僕にもひとつ
作って下さいよ」と頼まれてしまいました。 基本的に人様に素人が作ったアンプを渡すというのは安全面からあまりよろしく
ないのですが、その後も熱心に頼まれるので、ついつい引き受けてしまいました。
ここのところ本業が忙しく、アンプ関係は通勤電車の中でいろいろ構想を練るだけだったので、その反動というか、なんか
きっかけが欲しかったのかもしれません。
さて、入門用なのであまりお金はかけないという方針で、手持ち部品を活用し、球は中古良品のストックが十数本ある松下の6CA7(三結)
としました。前段はこれも新品の手持ちが大量にある12AT7です。 6CA7の三結というとIp=70mAの動作例が発表されていますが、
出力は3Wもあればいいだろうということで、Epを300V程度に押さえた上で、深めのバイアス(25V位)と大き目の負荷抵抗(5k)で
Ip=40mA位として設計しました。 40mAに抑えたのは、ステレオでも安価な100mAのパワートランスとチョークを使えるからです。
6CA7の三結特性は通常発表されているのはどうも実際と違うようですが、
サイト(リンク予定です)で見つけたムラードのカーブが、
別掲の板っ切れアンプでの実験結果とおおむね合って
いたのでこれを参考にしました。
回路図(PDF)に実測電圧を記入しましたが、だいたい良く合ってます。
OPTは40mAなら必要十分と思われる東栄のOPT-5Sを使いました。 内容の割りに安価で良いトランスと思います。 ただし端子がむき出しのため、人様に渡すアンプですから
アルミサッシ用角パイプでケースを作って収めています。 これで"張子の虎"ならぬ"張子のトランス"(外見)
、(中身)になり、見てくれも向上しています。(最初はPMF-6の予定だったのですが、6CA7の背が高いので
なんとなくバランスが取れないので・・・実はこれに一番時間がかかっていたりする。) Zpは5kと
7kのトランスですが、嫁入り先が6Ωスピーカーを持っているとのことで、5kと7k(8Ω端子に6Ωスピーカー接続で5.25k)を内部で
切り替え可能にしています。(ただし嫁入り先で切り替えてもらうつもりはありません。ちょっとアイデアを試したかっただけ。)
アンプ外観は、人に渡すので私には珍しくオーソドックスなものにしました。 リードの250mmX150mmの蓋付弁当箱に適当な板切れを
くっ付けただけです。(要するにちょっと手抜き。) ただし裏蓋には通気孔をたくさん開けてあります。
試聴結果としては、わりと高域がにぎやかな感じがしましたが、私の駄耳では気のせいかもしれません。 まあそこそこの音がします。
割合小型のシャーシに組んだのですが、動作が軽いためか一日中通電してもそれほど熱くはならず、特に問題は無さそうです。
・内部写真 (中央の端子板がZp切り替え用です)
・入出力特性(Zp=5kΩ 1kHz) 周波数特性(出力1Vrms)
・最大無歪出力 3.3W+3.3W(クリッピングポイント)
・NFB 6.0dB(Lch),6.2dB(Rch)
・ダンピングファクタ:4.9(ON/OFF法)
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